どれぐらい素振りとイメトレをしてただろうか。
けっこういいトレーニングになってる気がするよ、これ。
疲れを癒すため好物のメロンジュースを飲んで回復していると、スマホから着信音が流れ出した。
お、だお竜人だ。なんか見っけたのかな?
「もしもし、どしたの」
「それがな、今でかい山の前にいるんだが」
「でかい山?名前わかんないの?」
「居候を頼んだ俺が周りを知ってるとでも言いたいのか」
「お口が悪くってよ、竜人」
「ここで電話切ってもいいんだぞ」
「ご要件をお願いします」
「その山に大穴を発見した。大勢入れる広さと構造をしてる」
「そこが怪しいと踏んだわけね」
「怪しいも何も、見張りがいるからな。…竜の。」
「え、じゃあ確定じゃん!すぐ向かう!」
だお竜人の返事を聞く前に電話をブチ切ったオレは、すぐさまその場へと向か……えない。場所がわからん!
「すいませーん!この辺のでかい山ってなんかありますー?」
「えー?でかい山ー?そうだなぁ……竜角山?」
りゅうかくざん……?初めて聞いたよそんなとこ。ってか名前が''まんま''すぎるでしょ、どうなってんの?まぁいいか、行こ。
地図アプリの偉大さを噛みしめながら、竜角山に到着した。
だお竜人が物陰でこっちこっちと指示している。
「オッケー!」
「おいバカ声出すんじゃねえ!」
あ……。そういや見張りいるんだった……。やべ。
「ム、誰カ、イルナ!」
案の定というか当然というか、大穴の見張りに見つかってしまった。やるしかない!そう思ったが、見張りは襲ってこなかった。
「相手情報ヲスキャン………。竜族ノ存在ヲ確認シマシタ。」
「なんだこの人、襲ってこないよ」
「まあ見るからにロボットって感じだしな、ポンコツみたいな見た目だが」
確かにだお竜人が言うそれは、ツノやツバサは似てるけど鉄っぽい感じだし、足から出るジェット噴射で浮いている。オマケに左目がプラスのネジになってる。
「じゃあこの人は同族じゃないの?」
「ああ、誰が作ったかは知らないが、竜族っぽいロボだ。」
ほー。わざわざ竜っぽいのを作るなんて、今回の件と紛らわしくて困っちゃうな……。そう思っていると、再びロボットが口を開いた。
「コンニチハ、ヨウコソ竜族ノヒトリ。ワタクシDO-DRトモウシマス。」
「………………おう。」
あ、オレは無視される感じなんだ、へー。悲しい。
「ワレワレ、『竜の団』ハ、アナタヲ歓迎シマス」
「竜の団?なんだそりゃ」
「………説明ガインプットサレテイマセン。実際ニ確認スルノガ最善ト判断シマス」
「どうやら、この先に入れるのは俺だけのようだな」
「え……、オレ、ウォーミングアップして来たのに」
「なにかあったらまた着信入れてやるから。それまで待ってろ」
ちぇーー。なんだよ今回。オレの不遇っぷりがすごいよ?
「そうだ。おい、だお。この依頼って別に竜族を倒す必要はないんだよな?」
珍しい。このチームで1番戦闘狂なだお竜人が戦闘に関して確認をするなんて…。やっぱ同族は傷つけたくないよね。
「うん、少なくとも人が多すぎない所に行かせる感じ。」
「そうか、わかった。」
そう言うと、だお竜人はDO-DRと共に大穴の中へと消えていった。……さーて、暇になっちゃった。体力温存したいし、音ゲーでもやって待ってよ。