くろすけが見つけ出してくれたおかげでなんとか事務所に戻れたオレたち。吐き出されたかのようにワープを抜けると、「お待ちしてました」オーラを放つゆうぼうとくろすけの姿があった。高身長だからちょっと怖い。
「いやぁ、ずいぶんとボロボロになって帰ってきたね…」
「でも、帰ってこれたってことはやっぱりキミ達いい実力の持ち主なんだって事が証明されたよ」
うんうん、全力で頑張った後のお褒めは当然だよね。
「じゃ、あっちで何があったか聞かせてよ、お土産として」
「……オレら、旅行してきたわけじゃないんですけど」
傷を治療してもらいながら、オレたちは未来、そして暗黒だおとの戦いについて話した。特に、暗黒だおが依頼主だった話はびっくり仰天してた。椅子から転げ落ちてくろすけが怪我しそうになってたのは秘密。
「まだ就職して1年も経ってないんでしょ?その割には高いレベルの仕事をこなしたね。…厳密には依頼詐欺だけど」
「でも、2人すごく頑張ったっぽいよ、くろすけ。何かいい特典でもつけてあげようよ」
「うーん……。特典ねぇ………。」
おおっ、これは期待できそう。思わず目が輝いちゃうね。
「そうだ!」
雷が落ちたのごとくくろすけが手を叩く。
「ボクらの上下関係を無くすってのはどうかな」
「「「はっ?」」」
4分の3が反対の意志を一言で表す。なんでこういうところは賢くないんだこの人は……。
「え、だってそうすればこれから先スムーズに行くかなと……思ったんだけど。」
「……お前なあ……。」
呆れただお竜人が疲れも込めた大きなため息を吐く。
「そういや、だお竜人ってあんま自分からしゃべんないよね」
「俺がしゃべらないと言うより、俺の周りがしゃべりすぎなんだよ」
「えぇー?なんかいろいろ考えてるんでしょ、そっちは」
「お前自分でなんも考えてないって言ってるようなもんだぞ」
なんかだお竜人って、魔王だおを倒してからやたらと考えてるような顔することが多いんだよね。悩みでもあんのかな?
でもあの自由なだお竜人が悩みぃ?
「……暗黒だおは、まだ倒しきれていない。今度は、今度こそは……絶対に勝つ。」
「まさか怒りの力をさらに解放してもダメだったからなー、正直不安だよ」
一通り話もすんで、傷の痛みも引いてきた。
ゆうぼうから「特典とは言わないけど、本当によく頑張ったから3日間ぐらい休みあげるよ」と言われた。
その間は棒人間コンビは忙しくなりそうだけど、せっかく頂いたお休みだし、存分にぐうたらしようと思いまーす。
家に帰るなり、だお竜人がいつもより真剣な顔でこう聞いてきた。
「その……悪かったな、あまり役に立てなくて。俺…そんなに、強くないのかも……しれないな」
だお竜人が弱音を吐くなんて珍しすぎるので、ぐうたらする気もどこかに飛んでいってしまった。
「そんなことないよ、まさか暗黒だおに言われたことを真に受けてるの?」
「気にしないようにはしてたんだが……。これでも俺、努力してきた方なんだ、才能じゃないんだよ」
だお竜人の拳が強く強く握られている。
「その努力を痛みで否定されるのは………。けっこう、辛い。」
「…だお竜人…。」
「俺は、もっと強くならないといけない。お前の怒りに匹敵する、いやそれを超えるレベルにはな。」
そう決意したように言うだお竜人は、背中を見せる。
「………夕飯までには、帰ってくる」
「え、あ………うん。」
玄関の扉が閉まる音が、家中に響き渡った気がした。