たいした言葉もかけられずだお竜人を送り出してから35分くらい。テキトーに豚汁でも作る準備をしていると、思わず飛び上がってしまいそうな轟音がオレの耳を貫いた。
耳ないけどね。何作ろうとしてたか忘れちゃったよ。
「びっっっ……くりしたぁ……。」
寿命が30秒ぐらい縮んだ気がした。まぁまぁ、うん。聞かなかったことにして。夕飯の準備を続けよう。
「まだだ……!まだ足りねぇ…!」
だおの家を出てから35分は経っただろうか?
俺はひたすらに己のチカラを磨いていた。俺は弱くあっちゃいけない。俺の左目がこうであるうちは。
あの出来事から何十年が過ぎたことか…。真の力を封じられたのは俺の左目が傷つけられてしまったからだ。たとえ目が元に戻ったとしても、何があっても、アイツ………。
魔王だおだけは。許してはいけなかったんだ。
暗黒だろうがなんだろうが、魔王に関係あるなら全て倒す。
そう、思っているのに。何故だろうか……。
体が震えている。恐怖、しているっているのか…?
「くっ……くそおぉぉおおおおっ!!」
恐怖する自分を無理やり押さえつけ、辺りに技を放ちまくった。気づいた時には更地の上に俺は立っていた。
「はぁっ………はぁ………。」
正直、俺はそのへんのヤツらの数倍は努力している自信があった。周りが強いなら、埋めればいい。壁があるなら、越えればいい。
その一心で俺は上り詰めてきた。
そのうち、……『才能』という言葉が嫌いになった。
そんなものを持っているなら、努力なんか必要ない、と言っているように思えたから。
「………………………帰るか…。」
暗くなり始めている空に、なぜか親近感を覚えた。
「帰ったぞー…」
聞き覚えのある声に喜びを感じるオレ。…ってちょっと!
「だ、だだだ、だお竜人?なんかボロボロじゃない?誰かと戦ってきたの?」
「いや、軽く修行をしてきた」
「軽いとかいうレベルじゃないでしょその感じは」
「人の心配より腹の心配してくれ、今にも腹が悲鳴をあげそうだ」
「オッケー!そう言うと思ったからね……」
フフフッ、ついに見せる時が来たか、オレのちょっと得意料理!さあご覧あれ!
「…………これは……………」
「そう、カップラーメンです。」
あれ、なんか反応良くないな。なんで?カップラーメン嫌いな人っているの?
「あ、ちゃんと時間は測ってるから」
「そうじゃな……まぁ、いいか。」
ため息をつきながら、だお竜人は辛い方のラーメンを選び、食べ始めた。箸割るの失敗したけどね。
次の瞬間、だお竜人の眉間がすごいことに。あらあら。
「か、カラッ……!?おい、なんか入れただろっ!」
「気づいたー?トウガラシを混ぜてみました」
うんうん、辛さでだお竜人のネガティブを吹き飛ばす作戦は大成功のようだ。
んー、でも気のせいかな……?
なんか左目がちょっと動いてたような気がする。
いやぁ、まさか、まさかね………………。