だお竜人が修行を始めてから数日がたった。
あれからちょくちょくイタズラで辛いラーメンを出すけど、前に見た気がする左目が少し動く現象は起きていない。
うーん、絶対になんかのカギになると思うんだけどなぁ。
オレが得たのはだお竜人の面白いリアクションだけか……。
きっと休暇が終わった今もだお竜人は修行してるんだろう。
じゃ、オレはちょっと昼寝でもしてるかな…………。
俺が修行を始めてから数日。
あのクソ辛いラーメンを食べてからなんだか調子がいいように思える。もちろん好きなものだったからモチベが上がったとかではないはず。攻撃の出も早くなったし、一撃はより重くなっている。
俺の左目がまた開く日もそう遠くないかもしれない、と小さな希望が生まれた。
「また……あの姿になれるのか…俺は……。」
ふと空を見上げる。
「……ん?」
なにか黒いものが猛スピードでこちらに向かってくる。
「うおぉっ、あ、危ねぇッ!」
野球選手のスライディングのように落ちてきた''それ''を避ける。落ち着いて見てみると…かなり見覚えのある姿をしていた。
「やぁ。久しぶり…ってほどでもないかな?」
「…ホントに来たのかよ、逃げたと思ったのにな」
俺が挨拶すると、暗黒だおは小さく舌打ちをして答えた。
「言っただろ、お前らは魔王だおの仇だと。……それに、オレだって本気を出したいんだよ」
「本気、か……………。」
正直恐怖しているが、まだ勝ち筋はあった。
それはここ数日で得た修行の成果をいかんなく発揮すること。
空中戦に持ち込めば分がある。そう思ったのもつかの間…。
ヤツの姿が前と変わっていることに気がついた。
気がついてしまった、という方が正しいか。
手から生える鋭い三本の爪、大きく広がる翼。
その変わった姿はまるで……。竜族そのもの。
「お、お前!一体何をした!?」
「気づいた?実は…えーっ……と。竜の団?だっけ。そこの奴らからチカラを上手いこと拝借したんだ。そいつらが今生きてるかは知らないけど。」
「…お前は、俺たちを…竜族を一体なんだと思ってんだよ!!」
感情を抑えきれず叫ぶ。暗黒だおは表情を変えることなく俺の問いに即答した。
「無駄に力のあるゴミ。」
この言葉を最後に俺はじっとするのを我慢できなかった。
「許さねえぇっ!!」
怒った人物が真っ先に取る行動、殴打。
とにかくこの畜生をぶん殴ってやりたかった。
「ヒュー、怒らない怒らない。もしかして彼のマネしてる?似てるね」
まるで息をするように連打を避け、煽りを入れてくる。
だが…もう1発も当たらないほど、俺は怠けていない!
ドゴォッ
「………グ!!」
俺の右ストレートが、ヤツの左頬を突き刺した。
「どうだよ、力のあるゴミの攻撃は」
暗黒だおが少しよろけながら距離を取ってくる。
「…この数日でここまで腕を上げるとは……。舐めた態度で悪かった、謝るよ…。」
俺の与えたダメージは決して少なくないはず。
それなのに奴は余裕の態度を崩さない。
なんだ、この違和感は……?
「と、言うわけで……」
「ちゃんと本気で戦おうかな。」