「………ふぅっ……。」
これで…俺の未練、全てが終わった。俺はもう、弱くない。
体はもう歩くのもやっとなほど辛いがなんとか家に戻れるほどの体力はありそうだ。帰るまでに……意識が……持てばいい…がな…。
「……んぐごっ!今何時!?」
やべー、ちょっと寝すぎたかもしんない。急いで時計を見ると、寝る前から2時間たっていた。思わず頭を抱えてしまう。
「えぇ~マジかよ…ちょっと寝るつもりがさぁ~もぉ~…」
気づけばもう晩御飯を作らないといけない時間。俺の自由時間が消え去っちゃったよ…。萎えている気持ちの中、家のドアを開ける音が聞こえた。それと同時に…何かが倒れる音。
「えっ、なになに!?」
大急ぎで階段を下り、玄関に向かう。そこにいたのは……。
「だっ、だお竜人!?」
うつ伏せに倒れているだお竜人。ビビってでかい声をあげたのに反応がない。…つまりだいぶマズイ状況!しかも結構血が出てるし、両腕なんか真っ赤っかになってる!
「…これは早くしないとマズイ!」
だお竜人を担ぎあげ、すぐさま部屋のベッドに運ぶ。
こういう時助かる、応急処置セット。ネットで得た知識でなんとか止血ができた。……ちょっと包帯巻きすぎたけど。
「よ…よし。あとは様子見でいこう……。」
静かな時間がどれだけ続いただろうか………?
また眠くなっちゃったよ。絶対6時間はたってる。
「……ん………。んん………。」
「あっ!起きる!?起きて!!」
「……ぅるせ……」
子供みたいに毛布ごとそっぽをむくだお竜人。
「うるせじゃないの!!起きて!寝ぼけてないで起きなさいよ!!はよ!」
「だからうるせぇっ………て………?あれ、俺どうしてたんだ…?」
「お~、起きた。血だらけで倒れてたんだよ、特に腕の出血がひどかった」
だお竜人は少し考えるような顔をすると、まとまったような顔をしてこっちを見た。
「あぁ…。俺、もたなかったか……。迷惑かけてすまんな」
「大丈夫大丈夫。それよりそっちが心配だよ。記憶とかちゃんと残ってる?驚くぐらい血出てたよ、ほんとに」
「その辺は問題ない……。少し休めばまたすぐ動けるさ」
……オレにはわかる。だお竜人は無理している。本当に「少し」だけ休んでまた修行に行く気なんだと、オレのだお・アイは示している。
前々から思っていたこと…。聞くなら今しかないだろう。
「だお竜人……。いっこ、聞いてもいい?」
「なんだ?」
「なんで………なんで、そんなに強くなりたいの?」
一瞬の沈黙を経て、だお竜人が答える。
「そうだな……。半分は、まず俺の真の力を取り戻したいから。もう半分は……………。お前を倒すため、だな。」
「え………?」
ビビった。今、本当に一瞬、だお竜人から敵意を感じた。
「別に、お前に恨みがあるわけじゃない。ただな………。」
すると急にだお竜人が話の途中で腕を振ってきた。
「うおぁっ」
完全に不意打ちだったが、避けた。危ないなぁもう。
「やっぱりな。俺、割と本気で当てに行ったんだぞ」
「ど、どうして突然そんなことするの!」
「前からお前の戦いぶりを見て思ったんだよ。素人の動きじゃない、ってな」
素人の動きじゃない……?オレ、まだ就職して1年もたってないし、ああいうガチな戦いは仕事を始めてからだから素人のはずなんだけど。
「わかってないのか?自分で。要するにだ、お前はな…。」
「戦闘の才能に溢れすぎているってことだよ」