ヤツのあの言葉…。いや、話と言うべきか。
俺はそれを口に出した。
「よく聞けよ、少し長くなりそうだからな…。『いいか、我が魔王軍の者たちよ。最近、だおくんというのがここに入ってきた。そしてあの、だお竜人もな…。2人ともほぼ私を怪しまずグングンと力をつけている。あのバカだおは気づいていないだろうが、だお竜人は危険だ。良きタイミングであやつらを魔王軍へとご招待してやろうと思っている。各員、いつでも戦える準備をしておくように!』……以上だ。」
コイツがただの言葉で認めるなんて思ってないが、俺は賭けに出たんだ。吉と出るか、凶と出るか…。
時間が止まったみたいな事務所内で、ついにツノだおが口を開いた。
「長話をごくろうさま。口疲れたでしょ、水飲むかい?」
返ってきたのは、まるで感情こもった音読でもした子に返す親のような、俺を相手にしていないような、はじめから何も無かったような、返答。 俺は…間違えたのか?じゃあ、目の前にいるツノだおは、他人の空似だとでも言うのか?信じられない。信じたくない。
「……いや、いいよ。ごめんな、変な話して。頭を冷やしてくる…。」
そう言って事務所のドアを開いて帰ろうとしたその一瞬。
俺の真横に禍々しい雰囲気の光線が通った。
「人の親切は受けておいた方がいいんじゃないかな、だお竜人くん?」
「…気持ちはありがたいが、今は1人がいいんだ。ほっといてくれ。」
「いやいや、水飲むくらいでもスッキリすると思うけどなぁ…?」
……俺の賭けはまだ終わっていないようだ。
「そんなに俺のこと家に返したくないのか?」
「いやだから、上司の親切ぐらい受けておいた方がいいって…」
「なんかお前焦ってないか?親切っつっても水ぐらい家にある。」
「……………ハァ………。」
ツノだおが大きなため息をすると、さっきの光線が俺めがけて飛んできた。
「部下に随分危ないことするんだな、おい?」
「返したくないに決まってるだろ……。」
「僕の…いや、私の魔王軍を知っていて2度も生かして返すと思うか!?」
そう言うツノだおには、いつもは全く感じられない禍々しい雰囲気があった。つまりこれは…。
「俺の、勝ちみたいだな。魔王さま。」
「黙れ!本来の力も発揮できないヤツに私の計画は止められない!」
「早とちりはよくないぜ?」
「今のお前ごとき、この姿で消してやる」
「そうか、じゃ、がんばってくれ。俺も早く帰ってだおにこのことを伝えにゃならんしな。」
今日の仕事は、少しキツそうだ。