時の魔王の歩む道・・・   作:蛇廻

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イクサの必殺技発動時の音声ですが、英語表記だと長いし読みづらいしで日本語表記にしています。変身時の音声は英語表記のままなので。


第十話

仮面ライダーイクサへと変身を遂げた悠時、相対した相手の姿が突然変わった事に、フリードは驚愕を露わにする。

 

「なんだぁ?その姿?」

 

「はっ!」

 

イクサは右手に『イクサカリバー』を持ち、フリードに向けて発砲する。

 

「うぉっと!?」

 

フリードはエクスカリバーを盾代わりにして直撃は避け、高速での移動を開始する。

 

「ひゃははは!!どーよ、この『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』の力は!何者かは知らねぇが、この速度についていける訳がねぇんだよ!!」

 

天閃の聖剣の力はとてもシンプルな速さの向上。高速で動き出したフリードをイクサは落ち着いて感じる。

 

「・・そこか!」

 

ある一点に向けて集中的に発砲するイクサ。放たれた弾丸がその一点に到達した瞬間、まさにその場所を通ろうとしたフリードに直撃する。

 

「は!?」

 

「その程度の速度なら、十分対処可能だ」

 

イクサカリバーのマガジンを押し込み、赤い刀身を伸ばす。イクサはフリードに向けて駆け出し、容赦無くイクサカリバーを振り下ろす。

 

「ちょちょ!?それ剣にもなれんの!?ずっりぃ!!」

 

なんとかエクスカリバーで受け止めるフリード。だが、イクサはその体勢を崩さずにベルトについている『カリバーフェッスル』を取り出し、ベルトに装填する。

 

『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ』

 

刀身にエネルギーが溜まっていき、イクサはさらに力を込める。負けじと押し返そうとするフリードだが、徐々にエクスカリバーにヒビが入っていき、やがて耐えきれずに真っ二つの別れる。

 

「ウッソ!?エクスカリバーが壊れた!?」

 

「ふん!」

 

「うぉっと!!」

 

エクスカリバーが壊れた事に驚愕するフリードをそのまま叩き斬ろうとするイクサだが、寸前に転がって避けるフリード。イクサはすぐにフリードへと視線を移す。

 

「あっれ〜?これひょっとしなくとも俺っちヤバイんじゃね?」

 

エクスカリバーも破壊され、高速の移動も出来なくなったフリードには、もう取れる対応は数えられる程度だった。イクサからしても、フリードを仕留めるのはいつでも出来る、それまでどう痛ぶろうかを考えている状況だ。イクサ自身は気づいていないが、今現在彼は怒りで頭に血が昇り、視界がかなり狭まっていた。そのため、奴らの接近に気づく事ができなかった。

 

「ほう、エクスカリバーを破壊できる人間か・・・実に興味深い奴がいたものだ」

 

「!」

 

上空に聞こえてきた声に、イクサは顔を上げる。その先には漆黒の翼を十枚生やした男が浮かんでいた。

 

「お前は・・・」

 

「旦那ぁ!ナイスタイミング!!」

 

イクサの視線が移ったその瞬間を使い、堕天使の元へと駆け寄るフリード。

 

「そうか・・・お前が今回エクスカリバーを盗んだ堕天使、コカビエルか」

 

「ほう、そこまで把握していたか。如何にも、俺の名はコカビエル。一応は堕天使の幹部だ」

 

「何をするつもりだ?」

 

コカビエルの出現に、徐々に冷静になっていくイクサはコカビエルへと質問を繰り出す。

 

「簡単だ、この街で暴れ、サーゼクスを引っ張り出す。そして、再び戦争を起こすのだ」

 

「人間のことはお構いなしか」

 

「当然だ、一々下等な人間の事など構ってられるか。そもそもする必要もないがな」

 

当たり前だと言うかのごとく即答するコカビエル。イクサは静かに、拳を強く握る。

 

「今度駒王学園にてサーゼクスの妹とその眷属と戦う。どうだ?お前も来ないか?」

 

「なんだと・・?」

 

「そうだな・・・時刻は明日の夜中、サーゼクスの妹共に仕掛けよう。まぁ、来るかどうかはお前次第だがな」

 

コカビエルがそう呟いた瞬間、2つの足音が近づいてくる。全員がその方向に顔を向けると、そこには二人のエクスカリバー使い、ゼノヴィアと『紫藤イリナ』がいた。

 

「見つけたぞ、コカビエル!フリード・セルゼン!」

 

「イッセー君達にも連絡しなきゃ・・・ってあれ何?」

 

二人は目的であるコカビエルとフリード・セルゼンを発見した事で、今は諸事情で協力体制にあるこの街の悪魔に連絡しようとしたが、その前にイクサの姿を見て思わず動きを止めてしまう。

 

「ミカエルが寄越したエクスカリバー使いか、つまらん」

 

興が削がれたらしいコカビエルは足下に転移用の魔法陣を展開し、フリードと共にその姿を消していく。完全に消える直前、コカビエルはイクサを見る。

 

「それじゃあな、人間。貴様と戦える時を楽しみにしておこう」

 

そう言い残して姿を消したコカビエル。イクサもこの場を立ち去ろうと、雪菜の元に駆け寄ろうとする。

 

「待て!!」

 

だが、その簡単に行かせてもらえる訳がなく、ゼノヴィアとイリナがそれぞれのエクスカリバーを構えながらイクサを睨んでいた。

 

「貴様、何者だ?なぜ奴らと一緒にいた!」

 

「それは神器?初めて見るわね・・」

 

「・・・」

 

イクサは答えない。先ほどの二人の言葉からこの街の悪魔がもうしばらくしたら来るはずと考えているイクサは早めにこの場所を立ち去りたいのだが、二人がイクサに集中している今、そう簡単には抜け出せない。

 

「・・・その辺りにお前らが探しているエクスカリバーが落ちているはずだ。もう壊れてるがな」

 

「なんだと?」

 

その一瞬、二人の意識はイクサからエクスカリバーのことに移る。その一瞬の間にイクサは二人の足下に弾丸を放ち、二人の視界から消える。

 

「くっ・・待て!!」

 

ゼノヴィアが煙から出てくるが、その時にはイクサの姿はなくなっていた。

 

「逃げられたか・・・」

 

あとでグレモリー眷属の3人にも聞かなければな、と考えるゼノヴィアだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「大丈夫だったか、雪菜?」

 

煙幕に紛れて逃げることに成功した悠時と雪菜。二人はクジゴジ堂へと帰還し、今は雪菜の傷の手当てをしていた。

 

「うん・・ごめんね、悠時」

 

「気にするな、むしろ、ちゃんと注意できなかった俺の責任だ」

 

「違うよ・・・悲鳴が聞こえた時点で悠時に連絡しなかった私が・・」

 

「いつまでそうやって責任の取り合いをしているつもりだい?」

 

そこに、ウォズが姿を表す。

 

「誰?」

 

「君と会うのはこれが初めてだね。私の名はウォズ、我が魔王湊悠時の忠実なる家臣だ」

 

ウォズは雪菜に向かって頭を下げる。

 

「ウォズ・・・ありがとうな。雪菜の危機を教えてくれて」

 

「礼には及ばない、私は当然のことをしたまでだ」

 

「それでもだ・・・」

 

悠時はウォズに礼を言う。そして、すぐにコカビエルの事を思い返す。

 

「とにかく、今はコカビエルの方をどうにかしなきゃだな・・・あいつは戦争を起こすと言っていた。その戦争に人間が巻き込まれようと関係無くな」

 

「あんな人が暴れたりしたら、どんな被害が出るのか・・・」

 

「コカビエルは以前君が倒した堕天使四人とは比べものにならない力を秘めている。だが・・・・」

 

「俺が本来の力を使えば・・・ってか?」

 

そう呟く悠時の手の中には、今までのウォッチとは装飾が異なる金色のウォッチが握られていた。

 




次回・・・登場するかな?

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