時の魔王の歩む道・・・   作:蛇廻

13 / 30
その内誰かとコラボしてみたいなぁ。


第十三話

「・・・・・」

 

コカビエルを葬ったオーマジオウはゆっくりと立ち上がる。既にコカビエルは消滅し、残ったのはグレモリー眷属とゼノヴィア、後は呆然としているバルパーと倒れているフリードだけ。コカビエルを倒し、術式も破壊した今、この街の危機はひとまず去った。オーマジオウはそう考え、帰ろうと動き出す。が、すぐにその足を止め、上空を見上げる。

 

「まさかコカビエルがやられるなんてな、これは想定外だ」

 

上空からゆっくりと降りてくる白い鎧。その身から溢れ出るオーラは、彼が只者では無い事を語っていた。

 

「・・お前は?」

 

「俺はアルビオン、二天龍の一角だ」

 

「・・今代の白龍皇か」

 

「あぁ、全く、コカビエルの回収など何故俺がと思っていたのだが・・・前言撤回だな。まさかコカビエルを打ち倒す者と出会えるとは!!」

 

「・・・お前もコカビエルの後を追いたいのか?」

 

「・・・いや、辞めておこう。君と戦いたいのは山々だが、生憎こちらは任務で来ていてね、コカビエルの回収は出来なくなってしまったが、あいつに協力したその二人を回収するだけで充分だろう」

 

白龍皇はそう言ってフリードとバルパーを回収する。その際、パルバーの懐から結晶が転がり落ちる。オーマジオウはその結晶を拾う。

 

「それではな、君と戦う日を楽しみにしてるよ」

 

白龍皇はそう言い残すと、空へと飛び上がって去っていく。オーマジオウは手元に残った結晶をしばらく眺め、それを木場へと投げ渡した。

 

「な、何を!?」

 

「そいつは俺には必要の無いものだ、お前が好きに使え。もしかしたら、お前を更なる高みへと導くかもな」

 

「待ってくれ、オーマジオウ。君は一体何者なんだ?」

 

破壊されたエクスカリバーの核を回収したゼノヴィアがオーマジオウへと問う。

 

「何者か?それは先ほど言った通り・・・最高最善の魔王だ」

 

「魔王・・・悪魔と何かしらの関係があるのか?」

 

「だとしたらどうする?」

 

「・・・真実が分からない以上、下手の行動は出来ない。だが、答えによっては私が神の名の元に断罪するさ」

 

「神、か・・・・」

 

「何かおかしいか?」

 

「いや、今は亡き神によくそこまで忠誠を誓えるものだなと思ってな」

 

「・・・は?」

 

オーマジオウの呟きに、ゼノヴィアは驚愕を露わにする。

 

「どうした?・・・あぁ、そういえば神の死は御法度だったな」

 

「一体でどういう事だ!?説明しろ!!」

 

「それは、俺よりも君の上司の方が詳しいんじゃないか?」

 

オーマジオウはそう言うと、全員に背を向ける。

 

「・・・そうだな、一つ君達に教えておこう。今回の出来事はただの始まりだ。近い未来、君達に共通の敵が現れるだろう。その時にどう動き、どうするのか・・・・楽しみにしておくぞ、君達の選択を」

 

そう言い残すと、オーマジオウは灰色のオーロラを通りぬけ結界から出て行った。残ったメンバーはオーマジオウの言葉に首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ふぅ・・・無事に終わったな」

 

灰色のオーロラを通ってクジゴジ堂へと帰還したオーマジオウは変身を解き、悠時の姿に戻る。

 

「うわ、もうこんな時間か・・・あの神父野郎に思った以上に時間をかけちまったな」

 

既に深夜の一時を過ぎている時間。幸い翌日の学校は休みなのでゆっくりと休む事ができる。

 

「ん?」

 

リビングの方を見ると、こんな時間なのにも関わらずに明かりがついているのが見える。悠時は不思議に思ってリビングに入ると、そこには雪菜がテーブルに腕を置いて眠っていた。

 

「雪菜・・・」

 

「彼女はずっと待っていたのさ。心配する必要はないと言ったんだけでね」

 

「ウォズ」

 

これを、とウォズは悠時に毛布を渡す。悠時は受け取った毛布を起こさないように、雪菜へとかける。

 

「数分前まで起きてたんだがね・・・ちょっと無理があったらしい」

 

「・・・・」

 

「それで?どうだった?」

 

「どうだった・・って?」

 

「久しぶりに使ったんだろう、オーマジオウの力を」

 

「あぁ、やっぱどのライダーの力よりもしっくり来るし、何より扱いやすい。ま、おかげで目をつけられたけど」

 

「今代の白龍皇『ヴァーリ・ルシファー』にかい?」

 

「・・ルシファー?あいつがか?」

 

悠時が問うと、ウォズは本を開く。

 

「ヴァーリ・ルシファー。今代の白龍皇であり、同時に旧魔王ルシファーの血を継ぐもの。そのため彼は膨大な魔力をその身に秘めながらも、人間の母親を持ったために神器も宿す事ができた」

 

「それが『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』だったってわけか・・・ったく、とんでもない化物だな」

 

「問題無いよ、我が魔王。たとえ歴代最強と称される白龍皇と言えど、オーマジオウの力に勝つ事はできないさ」

 

「どっから出てくるんだその自信・・それも戦うのは俺なんだぞ」

 

「私は我が魔王の忠実なる従者・・・オーマジオウの力は全て把握済みだ」

 

「ん・・・・」

 

そこで雪菜の寝息が二人の耳に届き、二人は瞬時に静かにする。雪菜を見ると、どうやら起きたわけではないらしい。

 

「・・・とにかく、俺のする事は変わらないさ。転生者共の魂を回収しながら、降りかかる火の粉は払うだけ・・・」

 

悠時は雪菜を見ながら、静かに語るのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

悠時がクジゴジ堂にてウォズと話しているのと同じ時間、同じ世界の別の場所にて。灰色のオーロラが出現し、中から赤紫のパーカーを着た悠時と同年代の青年が姿を現した。

 

「ここにあいつがいるのか・・・」

 

青年の手の中には一つのウォッチが握られていた。だが、そのウォッチは悠時が所有しているどのウォッチとも違い、描かれている顔が異形な姿をした紫のウォッチだった。

 

「湊悠時・・・お前は必ず俺が倒す・・!!」

 

『ジオウII・・・』

 

青年の腰に黒いベルトが出現し、右スロットにウォッチを装填する。青年の体は金のバンドが周囲を回転し、その身を異形の姿に変える。金のバンドが消えると、そこには白の体に金の装飾を施した、顔にZi-O、胸に2019、背中にIIと書かれているライダー・・・本来の歴史とは別の歴史へと変えるアナザーライダーの王『アナザージオウII』が佇んでいた。

 

 

 




最後に登場した人・・一体何川なんだ(すっとぼけ)。

次回は久しぶりに転生者狩りでもするかな。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。