「・・・・・」
コカビエルを葬ったオーマジオウはゆっくりと立ち上がる。既にコカビエルは消滅し、残ったのはグレモリー眷属とゼノヴィア、後は呆然としているバルパーと倒れているフリードだけ。コカビエルを倒し、術式も破壊した今、この街の危機はひとまず去った。オーマジオウはそう考え、帰ろうと動き出す。が、すぐにその足を止め、上空を見上げる。
「まさかコカビエルがやられるなんてな、これは想定外だ」
上空からゆっくりと降りてくる白い鎧。その身から溢れ出るオーラは、彼が只者では無い事を語っていた。
「・・お前は?」
「俺はアルビオン、二天龍の一角だ」
「・・今代の白龍皇か」
「あぁ、全く、コカビエルの回収など何故俺がと思っていたのだが・・・前言撤回だな。まさかコカビエルを打ち倒す者と出会えるとは!!」
「・・・お前もコカビエルの後を追いたいのか?」
「・・・いや、辞めておこう。君と戦いたいのは山々だが、生憎こちらは任務で来ていてね、コカビエルの回収は出来なくなってしまったが、あいつに協力したその二人を回収するだけで充分だろう」
白龍皇はそう言ってフリードとバルパーを回収する。その際、パルバーの懐から結晶が転がり落ちる。オーマジオウはその結晶を拾う。
「それではな、君と戦う日を楽しみにしてるよ」
白龍皇はそう言い残すと、空へと飛び上がって去っていく。オーマジオウは手元に残った結晶をしばらく眺め、それを木場へと投げ渡した。
「な、何を!?」
「そいつは俺には必要の無いものだ、お前が好きに使え。もしかしたら、お前を更なる高みへと導くかもな」
「待ってくれ、オーマジオウ。君は一体何者なんだ?」
破壊されたエクスカリバーの核を回収したゼノヴィアがオーマジオウへと問う。
「何者か?それは先ほど言った通り・・・最高最善の魔王だ」
「魔王・・・悪魔と何かしらの関係があるのか?」
「だとしたらどうする?」
「・・・真実が分からない以上、下手の行動は出来ない。だが、答えによっては私が神の名の元に断罪するさ」
「神、か・・・・」
「何かおかしいか?」
「いや、今は亡き神によくそこまで忠誠を誓えるものだなと思ってな」
「・・・は?」
オーマジオウの呟きに、ゼノヴィアは驚愕を露わにする。
「どうした?・・・あぁ、そういえば神の死は御法度だったな」
「一体でどういう事だ!?説明しろ!!」
「それは、俺よりも君の上司の方が詳しいんじゃないか?」
オーマジオウはそう言うと、全員に背を向ける。
「・・・そうだな、一つ君達に教えておこう。今回の出来事はただの始まりだ。近い未来、君達に共通の敵が現れるだろう。その時にどう動き、どうするのか・・・・楽しみにしておくぞ、君達の選択を」
そう言い残すと、オーマジオウは灰色のオーロラを通りぬけ結界から出て行った。残ったメンバーはオーマジオウの言葉に首を傾げるだけだった。
・・・・・・・・・・・・
「ふぅ・・・無事に終わったな」
灰色のオーロラを通ってクジゴジ堂へと帰還したオーマジオウは変身を解き、悠時の姿に戻る。
「うわ、もうこんな時間か・・・あの神父野郎に思った以上に時間をかけちまったな」
既に深夜の一時を過ぎている時間。幸い翌日の学校は休みなのでゆっくりと休む事ができる。
「ん?」
リビングの方を見ると、こんな時間なのにも関わらずに明かりがついているのが見える。悠時は不思議に思ってリビングに入ると、そこには雪菜がテーブルに腕を置いて眠っていた。
「雪菜・・・」
「彼女はずっと待っていたのさ。心配する必要はないと言ったんだけでね」
「ウォズ」
これを、とウォズは悠時に毛布を渡す。悠時は受け取った毛布を起こさないように、雪菜へとかける。
「数分前まで起きてたんだがね・・・ちょっと無理があったらしい」
「・・・・」
「それで?どうだった?」
「どうだった・・って?」
「久しぶりに使ったんだろう、オーマジオウの力を」
「あぁ、やっぱどのライダーの力よりもしっくり来るし、何より扱いやすい。ま、おかげで目をつけられたけど」
「今代の白龍皇『ヴァーリ・ルシファー』にかい?」
「・・ルシファー?あいつがか?」
悠時が問うと、ウォズは本を開く。
「ヴァーリ・ルシファー。今代の白龍皇であり、同時に旧魔王ルシファーの血を継ぐもの。そのため彼は膨大な魔力をその身に秘めながらも、人間の母親を持ったために神器も宿す事ができた」
「それが『
「問題無いよ、我が魔王。たとえ歴代最強と称される白龍皇と言えど、オーマジオウの力に勝つ事はできないさ」
「どっから出てくるんだその自信・・それも戦うのは俺なんだぞ」
「私は我が魔王の忠実なる従者・・・オーマジオウの力は全て把握済みだ」
「ん・・・・」
そこで雪菜の寝息が二人の耳に届き、二人は瞬時に静かにする。雪菜を見ると、どうやら起きたわけではないらしい。
「・・・とにかく、俺のする事は変わらないさ。転生者共の魂を回収しながら、降りかかる火の粉は払うだけ・・・」
悠時は雪菜を見ながら、静かに語るのだった。
・・・・・・・・・・・
悠時がクジゴジ堂にてウォズと話しているのと同じ時間、同じ世界の別の場所にて。灰色のオーロラが出現し、中から赤紫のパーカーを着た悠時と同年代の青年が姿を現した。
「ここにあいつがいるのか・・・」
青年の手の中には一つのウォッチが握られていた。だが、そのウォッチは悠時が所有しているどのウォッチとも違い、描かれている顔が異形な姿をした紫のウォッチだった。
「湊悠時・・・お前は必ず俺が倒す・・!!」
『ジオウII・・・』
青年の腰に黒いベルトが出現し、右スロットにウォッチを装填する。青年の体は金のバンドが周囲を回転し、その身を異形の姿に変える。金のバンドが消えると、そこには白の体に金の装飾を施した、顔にZi-O、胸に2019、背中にIIと書かれているライダー・・・本来の歴史とは別の歴史へと変えるアナザーライダーの王『アナザージオウII』が佇んでいた。
最後に登場した人・・一体何川なんだ(すっとぼけ)。
次回は久しぶりに転生者狩りでもするかな。