「ふぅあああ・・・・・おはよう」
「おはよう、雪菜。ほら、朝ごはんは出来てるから早く席に着け」
「うん・・」
朝、雪菜はあくびをしながらリビングに姿を現す。リビングのテーブルの上には、すでに悠時が用意しておいた朝食が並んでいた。メニューは白米に焼鮭、味噌汁といった和風の料理となっている。雪菜は眠い目を擦りながら席に着く。
「いただきます・・・」
未だに眠そうだが、それでも手を動かして食べ始める雪菜。その雪菜に向かい合うようにして悠時も席に着き、一緒に朝食を食べ始める。
「そうそう、昨夜あいつから連絡があったんだがな、しばらく仕事を休めってよ」
「ん〜・・・・」
「なんでも、向こうで転生者を送っていた奴を捕獲できたらしくてな、今は情報を集めるからこっちに対応できないんだと。それでどうせならしばらく休めって」
「ん〜・・・・」
「・・・お前聞いてるか?」
昨夜悠時に転生者狩りの依頼を頼んでいる存在から悠時に連絡があったことを雪菜に説明するが、彼女は眠いらしくとても曖昧な返事をするだけだった。
「ったく・・ん?」
「よっす!!おはようさん!!」
その時、クジゴジ堂に誰かが入り、その人物はリビングに顔を出す。
「朝から騒がしいな、
「いいじゃねぇか!!むしろお前達は静かすぎないか?」
朝からここまでテンションが高いのもどうかと思うが、悠時はいつも通りのテンションで返す。彼は『
「見ての通り、こっちはまだ朝食中でな。しばらく待ってくれないか?」
「待つのはいいけど、もうそこまで時間ないぜ?」
「は?・・・・え、もうこんな時間!?急がねぇと!!」
光明に言われて時計を見る悠時。そこで初めて時間がないことに気づき、悠時は急いで朝食を掻き込む。
「ほら、雪菜の急げ!もう時間が・・・・ん?」
「・・・す〜・・・・」
ほとんど動かない雪菜に悠時は急ぐように声をかけるが、違和感を感じ雪菜の顔を覗き込む。そこで、雪菜が眠っていることに気づいた。
「おい起きろ!!学校行くぞ!!」
「ふぇ・・・?」
寝ぼけながらも薄っすらと目を開く雪菜。まだ意識が覚醒し切ってなく、ぼんやりとしている。
「あぁもう、悪い垣間、ちょっと待ってろ」
「あ、あぁ・・・・いつもこんななのか?」
・・・・・・・・・・・
なんとか雪菜の目を覚まさせ、登校できるようにまでなる。
「あぁ、今日はやけに疲れたな・・・」
「ごめん・・」
「あれ?いつもはあんなんじゃないの?」
「特に今までは無かった。昨夜何かしてたのか?」
「う、うん・・・ちょっとね?」
悠時に問われ、雪菜は詳しい事は話さないが夜更かししていた事を認める。
「まぁいいけど・・・それで朝起きれないとかやめろよ」
「気をつけます・・・」
「・・・ほらほら!夫婦喧嘩はそこまでにしてさっさと行くぜ!!」
「「夫婦じゃねぇ(じゃない)!!」」
光明の言葉に悠時と雪菜は息ぴったりに叫ぶ。
「はいはい、分かった分かった」
「お前本当に分かってんのか?」
「いいからいいから、ほら遅刻すっぞ!」
「あ、テメェ待て!!」
「二人とも置いてかないでよ!!」
光明が走り出し、悠時も追いかけるように走り出す。一人置いてかれた雪菜だったが、急いで二人の後を追う。
・・・・・・・
「はぁ〜、なんとか間に合ったな」
「ギリギリだったけどな」
昼休み、教室にて寛ぐ悠時と光明。なんとか時間ギリギリに学校に着く事ができ、遅刻は免れた。
「ねぇ、悠時、お昼って・・・」
「あ、悪い悪い渡してなかったな。ほらこれ」
雪菜の言葉に、悠時は自分のカバンの中から1つの弁当箱を取り出し、雪菜に渡す。
「ありがとう!」
雪菜はお礼を言うと、花の元へと駆け寄っていく。
「・・・さて、俺達も食おうぜ?」
「悪いな、俺は弁当ねぇ」
「は?でも今渡してたじゃん」
「急いでたから家で雪菜のやつを渡すの忘れたんだよ。今渡したのは俺のだ」
「何やってんだよお前」
「雪菜に食わせられないんなら、俺が食うのを我慢するわ」
「・・・・俺じゃできねぇな」
悠時に考えに、自分じゃその考えに至らないと思った光明。そこで、悠時が席を立つ。
「どこ行くんだ?」
「ずっとここにいたら雪菜に気づかれるからな。屋上にでも行って時間を潰すよ」
そう言って悠時は教室を出ていく。しばらくすると屋上に着き、静かに腰を下ろす。
「ふぅ・・・・・で?なんだってこんな場所にいるんだ?」
悠時は座りながら後方へと声をかける。そこにはローブを首に羽織り、逢魔降臨歴を手に持ったウォズが立っていた。
「さすがは我が魔王、よく気づかれた」
「久しぶりだな、ウォズ。しばらく見ていなかったが、どこで何をしてた?」
久しく見てなかったウォズに、悠時は疑問を投げかける。ウォズは至って普通にその答えを返す。
「彼の元だ。私も君と同じ仕事をする事になってね、しばらく上から様子を見させてもらっていた」
「ってことは、やっぱ最近転生者の魂を回収しているのはお前か」
「左様」
「それじゃ、なんで今になってこの世界に降りてきた?」
「やることは今までと変わらない、私はただ君を支えるだけだ」
当たり前とでも言うように即答するウォズ。相変わらずに彼の返答に、悠時は少し呆れる。
「この世界は俺の世界じゃない。わざわざ別の世界でまで、俺を王として見る必要はないと思うが?」
「何を言う?どの世界だろうと我が魔王は我が魔王、その事に変わりはない」
「・・・そうか。それで?ウォズが俺の前に姿を現したってことは何かが起こるってことだろ?一体何が起こるんだ?
「さすがは我が魔王、常に私の予想を超えてくる!・・・この本によれば、近々この学校に教会からエクスカリバー使いが送られてくる」
ウォズは持っていた逢魔降臨歴を『High School D×D』と書かれている赤い本に変え、パラパラとページをめくる。
「エクスカリバー使い?なぜだ?」
ここは悪魔であるリアス・グレモリーが管理(笑)している街。そこに悪魔の敵対勢力の1つである天使に使える存在が来る事は本来ないだろう。悠時はそのことに気づき、ウォズに尋ねる。
「教会が管理していたエクスカリバーの内、三本が盗まれたんだ」
「三本?・・・・普通エクスカリバーってのは一本じゃねぇのか?」
「この世界でかつて、悪魔、天使、堕天使の戦争があったことは把握しているね?」
ウォズは確かめるように悠時に尋ねる。そのことは悠時も当然把握しており、頷く。
「この世界のエクスカリバーはその戦争にて折れたんだ。今は折れたエクスカリバーを七本に分け、カトリック、プロテスタント、正教会にそれぞれ二本ずつ保管されていたが・・・・それぞれの場所で一本ずつ、ある人物に奪われる」
七本に分けられたと言っておきながら保管されていたのは計六本、残る一本はどこに行ったのか。そのある人物とは誰なのか。なぜこの街の管理者の元にエクスカリバー使いが来るのか。聞きたいことは山ほどあったが、ひとまず悠時が思ったことは1つ。
「・・・ま〜ためんどくさい事が起こるな・・・」
近い未来、この街で起こるであろう事件に、悠時は嫌な予感を感じずにはいられなかった。
次回は戦闘できればいいなぁ〜。