作品置場   作:ゴマ醤油

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世界に染まる透明少女 6

あの黄金の剣の脅威から回避して早数日。今日も変わらず金集め。路上の上から他人の財を回収しつつ生活をより豪華な華取るために奮闘していた。

 

 実を言えば今はまたいろいろ必要になっている。前回の家がノイズの攻撃を受けてついに崩壊したからだ。

 よって布団だけ持ち、今住んでいる廃墟寸前のこの住居に転がり込むしかなかったのだ。

 

「だーるいなー」

 

 気分は今吐いた言葉のまま。未だ取り壊しがないとはいえ、こんなすぐにガサ入れが来そうな建物は私にとっていい場所とは言えない。

 ここはある種の掃き溜めみたいな場所。既に殆ど管理されておらず、何かを建てることが決まればすぐ無くなるだろう仮初めの宿。

 まあ、いつ崩れるかは知らないが前回よりも屋根が豪華だと考えれば気も楽にはなる。前の所は梅雨寝るのには辛かっただろうし。

 

 捨ててあった賞味期限切れの乾パンを齧る。最近三缶ぐらい拾ったので、昨日に続き食事はこれなのだ。

 美味しくはない。今の私にとって食事はほとんどない娯楽であるのになんて様だ。

 それもこれも昨日のアクシデントのせいだ。

 まさか隣の部屋に人が入ってきたとも知らなかったためについ一枚しかなかった千円札を窓から落としてしまったのだ。……くそめが。

 

 まあ一回しか物音がしなかったから放置対応で良いのだが、もしまたうるさければ乗り込んで細切れにしてやろう。

 当然だが引っ越し蕎麦とやらは無い。あれば私が食べている。

 

 何でか入っていた砂糖の最後の一つを口に放り込み立ち上がる。

 さてそろそろ出よう。今日も頑張って小銭集めるぞー。

 

 ゆっくり扉を開け家を出る。誰もいないか左右を確認。

 左よーし。右よー……。

 

「……」

「…………」

 

 右側の廊下。丁度隣の部屋に入ろうとしていた男の人がいた。

 体格の良い赤髪の男。身なりがいいが、この人が最近越してきた人だろうか。

 

 軽く会釈して先を急ごうとする。

 どうでも良い。誰が何をしてようとも干渉しないのがどんな掃き溜めでも良識というものである。

 

「待ってくれ。君はここに住んでいるのか?」

 

 しかし、そんな暗黙は通用せず。少し驚きながら話しかけてきた。

 

「……そうですが」

「そうか……。お父さんとお母さんは?」

「今はいませんけど」

 

 会話の秘技である今はを使い適当に言って躱そうとする。

 今の私の容姿が子供でしか無いから聞いてきたのだろう。この人の目は純粋に心配しているものだとはわかるし。

 

「……では」

「あっ、君ぃ!」

 

 もう特に話すことはないので階段へ走って移動する。

 後ろから何か言われたような気もするが別に良い。同じ底の住人に心配とか同情とかされたくない。

 それに、私は十は超えている。かつての場所で考えれば最年長者である歳なのだからもう大人同然だろう。

 

 ともかくまずは物拾い。布団があると嬉しいと思いつつ街に繰り出すのだった。

 

 

 

 

「……どうしてこうなった」

「いやー! 久しぶりだね陽炎ちゃん! 最近会えなくてすっごく寂しかったよ!」

 

 まだ昼にはなっていない朝っぱら。公園のゴミ箱に眠っていた一万円を見つけ、気分は上げ上げだったのに一気に大暴落。

 朝からはちょいと脳に優しくない元気少女──立花響に何故か遭遇してしまっていた。

 

 この前見た私服とは違い、今回は随分とおめかしをしている。後ろの黒髪の少女と遊んでいるんだと思える。

 

「あっ! こっちの可愛い娘は未来って言ってね! 私の大っ親友なんだ! 未来、こっちのチャーミングで可愛い子は陽炎ちゃん! この前ふらわーで会って友達になったんだよ!」

「ひ、響ぃ。小日向未来です。よろしくね」

「……陽炎です」

 

 嬉しそうに両方を紹介する立花。なぜそんなに嬉しそうなんだろうか。

 こっちはとても気まずいのに。見た感じ小日向さんは慣れたような苦笑いしている。もしかして、これが常なのか。

 

「でも本当に久しぶりだね! 私もふらわーあんまり行かなかったし本当に心配してたんだよー!」

 

 べったべた接してくるこの会話の鬼。やめろ、私の服はこれしかないんだ。ただでさえボロいのにひっつくのは勘弁してほしい。臭いだろうし。

 ……っていうか、もしかしてまだ私が子供だと勘違いしているのか?

 

「響。そろそろ行かないと翼さんが待ってるよ。ただでさえ時間が……」

「あーっ! そうだった! 陽炎ちゃんごめんね! これから急ぎの用で超特急で向かわなきゃ行けないんだ! また今度お話しようねぇ!」

 

 そう言ってダッシュでここを離れる立花と小日向。

 まあどうせ誰かとの待ち合わせだろう。

 

 ゴミ箱の中にあった千切れかけの一万円札を丁寧に取る。

 全く、避難の際にお金はこうして散らばるし殺害衝動の抑えにもなる。ノイズ様々だな。

 

 ……服でも買いに行こうか。自覚したらなんだか予備が欲しくなってきた。久しぶりに銭湯にも行こうかな。

 とりあえず服を買うために近くの大きいとこに足を進める。多少値段が張るがまあ良いや。

 

(もしかしたら、良いこともあるかも)

 

 今日はどちらかといえばツイている。バーゲンでもやってるかも。

 

 

 

 

 

「あ、また会ったね! これはもう運命だよ陽炎ちゃん!」

「…………はあーっ」

 

 近場のショッピングモールでまた出会ってしまった。しかも人が増えている。

 さっきの撤回。全く幸運じゃなかったわ

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