~江戸川楽器店~
「あれ? パスパレの皆」
「あ、まりなさんじゃないっすか」
「お疲れ様です」
店に入ると、ばったりまりなさんと会いました。
まりなさんはライブハウス『CIRCLE』のスタッフの一人で、昔は高校生バンドをやっていた私達の大先輩にあたる方です。
まあ、過去の話を聞き出そうとするたび、逃げられているので、バンド活動していた。ということしか、知りませんが。
私達は出入口の横にある休憩スペースで話を続ける。
「全員でお買い物? 珍しいね」
「はい。今日は──」
千聖さんが説明していく。
こういうとき率先して動けるのって、すごいっすよね。
「──なるほど。麻弥ちゃん、まずはおめでとう」
「あ、ありがとうございます」
改めて褒められると少し照れますね………少しくすぐったいような気持ちです。
「それにしてもイコライザーねぇ………題材としてはいいと思うけど、麻弥ちゃんとしては文字数が物足りないとか?」
「はい。うまくまとまらなくてですね………」
伝えたいことが多くて………けれどその一回で完結させられるような文………うー、難しいっす。
「それなら、少し見方を変えてみるのはどうかな?」
「見方………?」
別に私はコラムとか書いたことないけどね。と前置きして、まりなさんは説明を始める。
「別に楽器の紹介をするためのコラムじゃないよね。
私も一回読んだけど、別に楽器紹介のためのコラムじゃなかったし」
「まりなさん読んでいたんすか!?」
「見つけたのは私じゃないけどね」
し、親しい人に読まれていたとか………普通に恥ずかしいですね。
けど、そうですよね。
私が勝手に楽器紹介のコラムにしていたのも少しは理由です。
………でも、イコライザーやりたいんですよね。
「素人の感想だけど、麻弥ちゃんの情熱はしっかり伝わってた。
きちんと向き合えるってことは、どんなことにおいても重要だからね」
そうっすよね………。
私が物思いに耽っていると、突然日菜さんが立ち上がる。
「それじゃあ、皆別々に見ていかない? 少し気になることがあったら麻弥ちゃんに聞くってことで!」
「私も賛成!」
「いいわね」
「賛成です!」
は、はやい、さすがは日菜さん。
「じ、ジブンも賛成です!」
「それじゃあ、行こう!」
私達は席をたつ。
何か少しだけ、心にゆとりが出来たらような気がします。
「まりなさん。相談にのってくれて、ありがとうございました」
「大丈夫。困った時はお互い様だよ」
「………はい!」
私は少しだけ先に行ってしまった皆さんに、小走りで追い付いていった。