~江戸川楽器店 1F~
「大和さん?」
「あ、友希那さん」
たまたま一階を見ていた時、同じ羽丘の同級生である
友希那さんもRoseliaというバンドでボーカルをやっています。
歌姫と呼ばれるほど、その歌唱力は凄まじいものです。
「久しぶりに来たのね」
「はい。パスパレの皆と来ました」
「珍しいわね」
確かに、あまり休日に全員揃ってお出かけってことはないっすからね。
そもそも、休日が揃うこともあまりありませんし。
ちなみに今皆さん思い思いに気になる物を見ています。
というか、ジブン以外二階の方を見ています。
「はい! 友希那さんはどうしたんですか?」
「ああ、今日はリサと………」
丁度、入店音が鳴る。
入ってきたのはRoseliaのベースをしている今井リサさん。
お二人は幼馴染みで、最近はよく一緒にいるところを校内でも見かけます。
「友希那、待たせた?」
「いえ、私も今来たところよ」
「おはよう麻弥。麻弥も買い物?」
「おはようございます。リサさん。ジブンは………」
………と、言いかけて、口ごもる。
これはジブンの問題で、他人をあまり巻き込んではいけないもの。
パスパレの皆さんも、本来は──
「──同じです。少し用事があって、パスパレの皆と………」
「そうなんだ! じゃあ一緒に見ない?」
「はい! ………ですけど、いいんですか?」
「大丈夫大丈夫。そこまで急ぎのことかでもないんだからさ」
「そうね。大和さんがいれば楽器への知識も深められるし、賛成よ」
友希那さんもそう言い、ジブンが思案している間に一緒に見て回ることが決定しました。
「ところで、お二人は何を見にきたんですか?」
「ベースの弦を見に来たのよ」
友希那さんとリサさんの話によると、どうやらリサさんのベースの弦の予備、そして最新の機材を見に来たのだとか。
なら、ジブン自信ありますね。
まあ弦はわかりませんが。
「アンプとかの知識なら大丈夫ですが………弦はジブンより千聖さんのほうが詳しいかもしれないです」
「大丈夫! 最新の機材はついてでいいから」
リサさんはそう言っていますが………本当にいいんですか?
千聖さん呼んできましょうか?
友希那さんに目配せしますが、首を横にふる。
「私はリサの付き添いよ。問題ないし、気にしないでいいわ」
に、逃げ道はなさそうっすね………いえ、逃げる気はないですけどね。
「わ、わかりました! ジブンのわかる範囲で、最新の機材をオススメします!」