SAOメインメニュー縛りRTA   作:アルシャ

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本日2話目です。


第10話 ボス戦

 さて、では迷宮区を登って行きましょう。

 

 ここで気をつけなければならないのは、絶対にダメージを受けてはならないことです。

 もし、一度でもダメージを受けた場合、ボス戦での評判稼ぎが不可能になります。

 

 気をつけましょう。

 

 それと、今キリトとアスナは2人で色々会話しているので、邪魔しないであげましょう。

 

「おい、なんでソードスキルを使わへんのや! 今のソードスキル使うとったらもう少し早う終わってたやないかい!」

 

 はい、キバオウさんに早速絡まれてしまいました。

 敵対ルート不可避ですね。残念。

 

「今のはソードスキルを使うより、使わないほうが早い」

 

「そんなわけあらへんやろ!」

 

「確かに、ソードスキルは強力だ、だがそれと同時に技後硬直やソードスキル発動のためのモーションは隙だらけだ、敵の目の前でそんな隙を晒すより、その時間でもう一撃を叩き込んだほうがいい」

 

「ちゃうわ! 今はパーティ組んどんのやろ! ならスイッチすればいいだけの話やないか!」

 

「新たな敵が現れる等で意識がそれて、スイッチするパーティメンバーがとっさに反応できなければどうする? それに、周囲を囲まれた時にそんな隙を晒していたら生き残れない」

 

「だから今はパーティ組んどるやろが! 周囲を囲まれることなんかよっぽどあらへんわ!」

 

「ヒー君にはヒー君の考えがあるのです!」

 

「こんガキが適当やってると、わいらが危険に晒されるやろがい!」

 

「俺はガキじゃない!」

 

「ガキやろが!」

 

「ヒー君はガキではありません! 立派な大人です!」

 

「立派な大人なら、ソードスキル使えや!」

 

「大人子供にソードスキルを使う使わないは関係ありません!」

 

 サツキさんがとてもヒートアップしていますね。

 さて、この辺りで謝りましょうか。

 

「……すまない、分かっては、いるんだ、ソードスキルは使わないといけないと、だけど……」

 

「な、なんやいきなり?」

 

「あの、ソードスキルを使った時に体が勝手に動かされる感覚が、どうしても……茅場に体を無理やり操られているような気がして、拒絶感が出て、うまく発動できないんだ」

 

「……それは、せやけど!」

 

「分かってる、使えるものはなんだって使わなければいけないことは、そうしなければ生きられないと言うことは、分かっているんだ……だけどっ! ……だから、もし俺が本格的に足手まといになったら、容赦無く切り捨ててくれ、でも、それまでは! 攻略の手伝いをさせてほしい! 皆が生きている間にこのゲームを攻略するために!」

 

「……足手まといになったら、容赦無く出てってもらうで! 分かったな!」

 

「……ありがとう!」

 

「……そのみんなの中に、ヒー君は入っているのですか? 

 

 はい、なんとかとりあえずは乗り切りましたね。

 とりあえず、ソードスキルを使わないのはこういったことが原因ですと言っておけば、とりあえずは大丈夫です。

 

 もうすでに自分の戦闘力の高さは目の前で見せつけたので、キバオウさんも分かっています。

 

 なので、あとは置いてかれないようにするだけですね。

 

私が、私がヒー君を守らないと

 

 はい、ボス部屋の前にやってまいりました。

 もうすでに5人でどのようにルインコボルドセンチネル、ボスの取り巻きと戦うかは話し合ってあるので、最初はそのように動きましょう。

 

「行くぞ!」

 

 ディアベルさんの掛け声とともに、皆でボス部屋に突入します。

 

 では、しばらくは取り巻き相手に遊んでおきましょう。

 ここでも攻撃は受けてはいけません。

 

 さて、無傷で戦えていますね。

 戦線もだいぶ安定していますし、今回は上手くいきそうです。

 

 それにしても、キリトさんとアスナさんはやっぱり強いですね。

 5人パーティなのに2人で倒してしまった取り巻きもいるくらいですから。

 

 サツキさんは今装備を盾に持ち替えてもらっているので、キリトアスナコンビが少し下がった際に前に出て取り巻きの攻撃を盾で受け止めています。

 て言うか、盾で攻撃しています。

 盾に攻撃判定はありませんので、ダメージは入らないのですが、取り巻きが攻撃する瞬間に、盾で攻撃して相手の体勢を崩して、攻撃自体を潰しています。

 

 あれ? サツキさんこの時期、こんなに強かったっけ? 

 まあいいか。

 で、その隙ができた時にコミュ障と自分が攻撃するって感じで、完全に安定していますね。

 

 はい、もうボスのHPも、4ゲージの内2ゲージ半削れています。

 あと1ゲージ半ですね。

 

 あ、キバオウさんがこちらに近づいて来ます。

 今回用があるのは自分ではなくキリトさんのようですが。

 何やら会話をしている様子です。

 

 皆が必死に頑張っているのに、何を呑気に喋っている! ボス戦の最中だぞ! 

 まあ、もう取り巻きは倒し終わって暇ですからいいんですがね。

 

 もうすぐボスのHPゲージが残り1本になります。

 ゲージが1本消費されるごとに取り巻きが3体現れるので、もうすぐ新たな3体が湧いて出て来ます。

 

 はい、出てきました。

 

 そして、ボス、イルファングザコボルドロードは、ゲージが1本になると武装を変えます。

 

 イルファング・ザコ・ボルトロードではありません。イルファング・ザ・コボルドロードです。

 雑魚ボルトと言ってはいけません。

 

 今までは右手に骨斧、左手に皮盾の装備で戦っていましたが、これから刀に切り替わります。

 βテスト時代ではタルワールを使っていましたが、製品版では変更されて、武装が刀に変わります。

 

 別に同じようなものでしょ? と思うかもしれませんが、武装が変わるとソードスキルが変わるので、動きが全く違ってきます。

 

 それで、武装を変えている間はボスが無敵なのですが、それが終わったら戦闘が再開されます。

 このまま放置してると戦線が壊滅しかけて、ディアベルさんが死んでしまいます。

 ディアベルさんは死なせるわけにはいきませんので、助けましょう。

 

 今ここで、ボスの武器が違うと叫べばディアベルさんは一度下がり、助かります。

 

 ですが今回は、レベル、防具、そしてノーダメージという条件を満たしているので、評判稼ぎを優先しましょう。

 あと、キリトも強化したいですし。

 

 なので、少し待ちます。

 3、2、1、はい、このタイミング。

 

「ディアベル下がれ! ボスの武器が違う!」

 

「なに!?」

 

 このタイミングでいうと、ボスのソードスキルの発生音に阻まれることなく、きちんと全員に自分の警告が届きます。

 

 しかし、回避は間に合いません。

 

 ボスは飛び上がり、地面につくと同時に360度の回転切りを行います。

 

 これによって、ボスを取り囲んでいたディアベルさんパーティ6人の平均HPは5割を下回ります。

 そして、6人全員スタンしてしまいます。

 

 ここで自分は、ボスに向かって突撃をっ! やば! 

 

 目の前に取り巻きコボルドが立ちはだかりました!? 

 やっば! 邪魔! ディアベル死んじゃうって! まずいって! 

 

「ヒー君!」

 

 っ! サツキさんが取り巻きコボルドを筋力と盾で無理やり押しのけてくださいました! 

 

 神! サツキさんマジ神! 

 

 急いでボスに向かいましょう。

 

 これ、間に合うか? 間に合え! 間に合ってくれ! 

 

「ウグルオッ!!」

 

 ボスが、カタナのソードスキルを発動しました。

 両手で持った刀を床すれすれの軌道から高く切り上げる浮舟というソードスキルです。

 

 ここで、床に倒れているディアベルさんにタックルをします。

 

 身長が低いので、高身長よりはタックルしやすくはありますが、ディアベルさんは床に倒れているので結構難しいです。

 なので本来は手で押しのけるのですが、今回取り巻きに一瞬時間を取られたので、タックルしかありません。

 

 ここで、ボスの攻撃を受けます。

 これでもしディアベルさんも攻撃に巻き込まれていたら、リセットです。

 

 どうだ!? よし! 攻撃されたのは自分だけ! 

 

 完璧だ! 完璧なタイミングだ! 

 

 さて、ボスのこの攻撃、コンボ技です。この後3連撃がきます。

 なので、浮舟で自分の体を浮かされた場合、空中で体を丸めて最大防御姿勢をとらなければなりません。

 

 ですが、その体勢をとった場合、キリトに疑われる一因となります。

 

 ここで体を丸めることが出来るのは、刀のソードスキルを知っているものだけです。

 知らなければそんなこと咄嗟にできません。

 

 確かに自分はベータテスターを名乗っています。

 ですが、刀スキルを知っているとなると、相当最前線にいたプレイヤーとなってしまい、キリトと会っていなければおかしくなってしまいます。

 

 もちろん、キリトも最前線の他のβテスターを全て知っているわけではありませんが、ボス戦などで顔合わせする機会はありますから。

 

 アバターも変更され、名前も変わっている可能性があるとはいえ、キリトからは出来るだけ疑われない方がいいので、ここでその姿勢はとりません。

 

 ただし、3連クリティカルだとHPが消し飛ぶので、クリティカルだけは無理やり体を動かしてギリギリ避けましょう。

 

 これで、レベルが足りており、あの防具をしていて、ノーダメージなら、ギリギリHPがレッドゾーンで残ります。

 

 はい、完璧。

 そのまま20メートル吹き飛ばされて、キリトやサツキさんの前に落ちます。

 これで、防具の耐久が無くなって、ポリゴン片となって粉砕、四散しました。

 HPも残り数ドット。どんな攻撃でも後1撃で余裕で消し飛びます。

 

 ですが、ここでのんびり寝ている時間も、HPを回復している時間もありません。

 

 すぐにボスに向かって

 

「ひ、ヒー君? ……い、いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!」

 

 うっるさ!? ビックリした! いきなり間近で叫ばないでくださいよ! 

 

 とりあえず、その叫び声は無視してとっととボスのところに戻りましょう。

 

「ボサッとするな! 死にたいのか!? ディアベル! すぐに隊を下がらせろ! サツキ! クリンプ! 取り巻きは任せる! キリト! アスナ! 来い!」

 

 ここでキリトとアスナを呼びます。

 

 ボスのラストアタックは出来るだけキリトに取らせていきます。

 とにかくキリトを強化しないといけないのでね。

 

「おい! ガキィ! 早うHP回復せんかい! 戻れやぁ!」

 

 キバオウさんの気遣いは、ここでは無視をします。

 

 ここからが本当の戦いです。

 軽く蹴り飛ばされるだけで死にますし、武器で敵の攻撃を防いでも、うまく防がなければダメージが少し通ってしまうことがあるので、敵の攻撃は全て避けます。

 

 敏捷は少ないですが、それでも体の小ささを生かして全てかわしていきましょう。


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