さて、ボスに対するダメージは、最初はあまり与えなくとも構いません。
キリトさんとアスナさんが来るまでは回避優先です。
その後も、攻撃は最低限与えれば大丈夫です。
ボスを攻撃することによるスキル熟練度ブーストは、自分には関係ありません、スキルを習得できないのでね。
経験値は、まあ欲しくはありますが、キリトが経験値を稼ぐことの方が大切です。
あとアスナも。
強くなれば当然死ににくくなりますからね。
あと、ラストアタックボーナスはキリトが取るように調節頑張りましょう。
敵の攻撃の避け方ですが、このザコ・ボルト、あ、いいえ、イルファング・ザコボルドロードなのですが、AIがそれなりに賢いです。
なので、フェイントを織り交ぜながら回避しましょう。
初めのうちは結構引っかかってくれます。
直ぐに対応してきますが、最初の数発を避けさえすれば、キリトさんとアスナさんが来ます。
そこから本格的な攻撃の始まりです。
それで、エギルさん以外の他の隊が衝撃から立ち直る前に決着を決めます。
彼らは今まで楽勝モードだったので、ここでいきなりの大ピンチ、一人は死にかけ、リーダーも危うかったという状況に陥って、立ち直るのにしばらく時間がかかります。
立ち直っても、事前の話し合いとは違う動きをするボスを前にして戸惑ってしまい、なかなか応援には来ません。
彼らはまだこの非日常は1ヶ月ですからね。
命の危険がかかっている状況で、しかも一人のHPをほぼ削りきった攻撃を持っているボス、そりゃ、平和な日本に住んでいる彼らは二の足を踏みますよね。
リーダーからの指示があれば、まだ直ぐ立ち直れたかもしれませんが、ディアベルさんも死にかけた衝撃がなかなか抜けず、ボスから離れはしますが、立ち直るのには時間がかかります。
HPも何気に結構減っていますからね。ポーションで回復するのにも、ある程度時間はかかりますから。
あと、この段階になると、取り巻きのポップ回数も追加されています。
ここからは常に4体が常時湧き続けますので、応援に来たくても来れない部隊も存在します。
ここで比較的早く立ち直り、戦線に加わるのがエギルさん達の部隊です。
ボスはこの9人、自分、キリト、アスナ、エギルさんパーティ6人で倒し切ります。
まあ自分はほぼ攻撃しませんが。
まずは避けましょう。
ザコ・ボルトが構えた刀が緑色に輝きます。
あの構えは、カタナ直線遠距離技、辻風ですね。
居合系の技で、高速で突っ込んで来てかなりの速度の斬撃を放つ技です。
これは一度右にステップを踏んでから、左前方に転がって避けましょう。
タイミングを誤ると死にます。
早すぎると軌道を修正して来て、遅すぎると首が飛びます。
はい、ここ。
この時、正面に転がるとザコボルトに蹴られて死にます。
本当にそれだけで死ぬ体力と防御力しかないので、気をつけましょう。
直ぐに立ち上がりましょう。
攻撃はまだしません。
攻撃に意識を割くと避けられる確率が減りますので。
次、これは、幻月ですね。
同じモーションから上下ランダムに発動する技です。
これは左ステップ後の右転がりで避けられます。
ここからAIが学習して、同じようなステップを使ったフェイントには対応して来ます。
次、これは秘奥義、じゃない、緋扇ですね。
これは、今、かなりザコボルトと距離が近いので、足の間を抜けて裏に回り込んで避けます。
この時、足にも気をつけなければいけませんが、もう一つ、尻尾にも気をつけましょう。
当たると、ほとんどダメージは入りませんが、死にます。
尻尾は割と不規則に動くのでとても危険です。
でも、裏に抜けると時間を稼げるのでね。
とりあえず、他の人を狙われるとまずいので、股の下を通る時に軽く足を切っておきましょう。
このとき、基本的にザコボルトは右回転して振り返ります。なので、裏に回り込んだら速攻で右に、裏を取り続けるように行動します。
さて、ようやく真打ち登場、キリトさんとアスナさんが到着します。
「ヒャッカ! 一度下がれ! ここは俺たちが抑える! アスナ!」
「セアアッ!!」
まずは2人が横からソードスキルによる攻撃を加えてくれます。
これによって、キリトにヘイトが向くので、ここからはキリトにタンクを任せて、一度少し下がりましょう。
にしても神業だよなー、さすが主人公。
相手の超高速ソードスキルに、自分のソードスキルを合わせるなんていう曲芸、本当にすごいです。
アスナさんも、いやー、すごい威力のリニアーですね。
じゃあ、2人とも、頑張ってください。
さて、とりあえず腰のポーチからポーションを飲みましょう。
ここで飲まないのは不自然なので。
先程まではボスを相手できる人が誰もいなかったから、という言い訳が通用しますが、ここではもう無理です。
さて、ではタイミングを見て前線に戻りましょうか。
もう体を張って庇うのはHPや防御力的に無理なので、庇うのは無理ですね。
なので、あとはHPの調整が終わったら、一つだけ仕事をしておしまいです。
はい、キリトくん幻月に引っかかって吹き飛ばされました。
幻月は技後硬直が少ないので、アスナが危険ですが、ここでエギルさんが助けに入ってくれるので、ボーッと眺めておきましょう。
はい来ました。
これからは吹き飛ばされてHPを回復しているキリトがボスの行動パターンを伝えて、指示を出しながらエギルさん達パーティとアスナが頑張ります。
ここで戦線に復帰します。
またHPは全然回復していませんが、当たらなければどうということはありません。
さて、しばらくこの状態が続きます。
HP調整完了。
あとは、ここでタンクの一人が足をもつれせてくれたら勝ち確です。
たまにそのまんまの時があるんですよね。
そうなるとこの後の一斉攻撃が無くなって、時間がかかるため、他の隊が応援にきてしまいます。
そうするとキリトにラストアタックボーナスを獲得させるのがほぼ不可能となります。
なので、最悪自分から敵の回転斬りを誘発させなければいけませんが、それをすると評判が下がるので、頼むからもつれさせてください。
今回は……よし、大丈夫です。
1人が足をもつれさせてくれたおかげで、ボスが取り囲まれた状態を感知し、ソードスキル、全方位攻撃、旋車を発動させます。
これで、キリトくんが飛び上がったザコボルトを空中で迎撃して、ザコボルトが転倒して、一斉攻撃で勝利です。
この時、稀にキリトくん迎撃失敗して、エギルさん達が死ぬことがあるので、ここで武器を空中のザコボルトの軌道を予測して顔に投げつけます。
これで確定で勝利です。
はい勝利。ラストアタックはキリトさんです! わーパチパチ!
完璧か?
今回のボス戦かなりうまくいきましたね。
これはいい! 流れが来てます! 今回こそ行けるのでは?
ディアベルさんをタックルで助けられたのもかなりいいですね。
あの助け方をするとディアベルさんからの評価がかなり高まります。
あー、ここでディアベルさん完璧に助けられるんだったら、サツキさんいらなかったな。
これ、恐らくサツキさんがいなくとも攻略組の評判足りていましたね。
サツキさんがいる場合、この後自分が先に第2層に上がった後で、このボス部屋で攻略組の皆さんを説得してくださいます。
ヒー君はとても体が細くて、この世界に長くとらわれると、リアルの体がもたないから、云々かんぬんと。
あれだけの身長しかないのは、とか、自分の命を惜しまないあの行動は、とか、色々と言って、早く攻略してリアルに返してあげなければ、体がもたないなどなど。
そして、どうかお願いします的なことを言うそうです。
これによって攻略速度はとても早くなりますが、このイベントがなくとも、つまりサツキさんがいなくとも、これだけ評判が高ければ、ディアベルさんがアルゴから色々聞いて、
攻略速度を上げようぜ!
的なことになるので、サツキさん要らなかったですね。
まあ、サツキさんがいた方が、確かに士気は高まり、有能やディアベルさんよりは攻略がスムーズに進んではいきますが、サツキさんが死ぬ、もしくは恋人ができるとペースが死んで、絶対に目標時間内に間に合わなくなるので、ちょっとリスクが大きすぎます。
でも、今さらサツキさんを処分しても、士気が下がるだけなのでやりませんが、うーん、サツキさん要らなかったか。
まあ、結果論ですよね。
さて、では武器を拾って、このまま先に進んでいきましょう。
「ヒー君!」
バチン!
……はい? なんで自分サツキさんに張り倒されたの?
因みに、SAOにはフレンドリーファイヤはありません。
PTメンバーに剣や槍が当たっても、障害物扱いになって、HPは減らされません。
でも、障害物判定なので、ソードスキル等を当てるとそこでスキルが中断されてしまいます。
そのため、大きな敵以外では、取り囲むのではなく、攻撃やソードスキルの邪魔をしないようにスイッチで入れ替わりながら戦うわけです。
ところで、なんで今こんなこと考えているんでしょうね?
ちょっとあまりの衝撃で思考が現実逃避していました。
「……なんで、なんでこんな無茶をしたのですか!」
「……無茶?」
「っ! 無茶、無茶です! ボスの目の前に、自ら躍り出て! ……私、ヒー君が目の前に降って来たとき、ポリゴン片が散らばって、それで、し、死んでしまったかと……それに、あれほどHPが減っていたのに、そのままボスに向かわれて! ……いつ死んでもおかしくなかったじゃないですか! なんで! なんでもっと自分の命を大切にしてくださらないのですか!」
あれれれれ? おっかしいぞー? ここ、確か誰も自分を呼び止めなかったはずなんですけどねぇー?
と、とりあえず受け答えしましょうか。
「あの状況で、すぐに動けたのは不測の事態に対応するように言われていた俺たちだけだった、それに、ディアベルはこのレイドのリーダーだ、リーダーが死ぬより、どうせ死ぬ俺が死んだ方が」
バチンッ!!
……パチン、ではなく、バチンッ!! です。
サツキさんの張り手で数メートル吹き飛ばされたような気がします。
さすが筋力ガン振りですね。
「なんで! そんな悲しいことを言うのですか!」
あ、サツキさん、目にゴミが入ったのか、目から水が出てますよ。
……涙?
なんで? ねぇなんでサツキさん泣いてるん?
誰か玉ねぎとか剥いたん?
え? 自分? 自分が原因? そんなこと知りませんよ。
……なんで自分サツキさんから泣かれながら怒られているんでしょうね?
「事実だからだ」
と、とりあえず早くこの場を離れましょう。
「うっ、ううう、なんで、なんでそんなに自分の命を粗末に扱うのですか、どうして……」
これ、大丈夫かな? サツキさん、ちゃんと攻略組説得してくれますかね?
リセットもありうるのでは?
いや、ディアベルさんがいるから行けるか?
ちょっと真面目に考察してみますか。
えっと、現状では、サツキさんの好感度は結構高いはずです。
うーん、好感度が高いから、自分の身を心配して、あんなことになったのでしょうか?
でも、今まではこんなことなかったんですがねぇ。
確かに好感度が結構高い時はサツキさん、自分に対して何か言いたそうな、悲しそうな表情をしていましたが、直接張り倒されるのは初めてです。
これタイムにどう影響して来ますかね?
とりあえず少し様子見しますか。
階段を登って、みんなが見えなくなったあたりで、一度戻って、こっそりボス部屋の様子を確認しましょう。
今までのサツキさんルートの場合、ここでサツキさんが頭を下げながら攻略組の皆さんを説得してくださるのですが、どうでしょうか。
ちゃんと説得してくれているかな?
ん? サツキさん、土下座してません? あれ?
「お願いします!」
あ、サツキさんの声がここまで聞こえて来ましたね。
サツキさん、何気に声量あるんだなぁー、いつもお淑やかな感じなので、あんなに怒ったところを見るのも初めてでしたし、色々まだまだ知らない面がありますねぇ。
「おおおおおおお!!!! 」
おお、この雄叫びが上がるってことは、攻略ペースは早まりますね。
あー良かった。
想定外のことはおきましたが、想定内ですね。
では、第2層に行きましょう。
お遊び回以外では久々の第1層突破ですね。
よーし、なんか色々チャートが狂ってはいますが、想定内だ、想定内! このまま目標時間以内にキリトに茅場を倒させるぞー!
オー!