SAOメインメニュー縛りRTA   作:アルシャ

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第15話 VSキバオウ2

「……これでわいが勝っても、文句言わせへんからな!」

 

「さあ、こい」

 

 最初期のキバオウさんには負ける要素がありません。

 いきなりキバオウさんは突進系のソードスキルで攻撃してくるのですが、軌道が分かっている攻撃にわざわざ当たりにいく訳がありません。

 

 容易なソードスキルはすぐに咎めましょう。

 

 キバオウさんは今後、ソードスキルの扱い方がかなりうまくなっていきます。

 

 ソードスキルは、何もしなくともシステムアシストが勝手にスキルモーション通りに体を動かしてくれます。

 ですが、ソードスキルを発動時、ある程度は意図的に体を動かせます。

 スキルのモーションに逆らわないように体を動かせば、軌道を変えたり、技の威力と速度をブーストすることも出来ます。

 ですが、少しでも動きをミスると、逆にシステムアシストを阻害して、最悪の場合ソードスキルが途中で止まって、技後硬直が課せられます。

 

 これは基礎的な事なので、少なくとも攻略組は全員知っていて、ソードスキルの技の威力や速度を意図的にブースト出来ない人間はもう既に攻略組には自分以外いません。

 

 そして、キバオウさんは対人戦特化型キバオウさんまで進化すると、どこまで軌道を変えられるのか、どれだけ速度を速く、そして遅く出来るのか、そういったことを全て試しており、頭に叩き込んでいます。

 

 つまり、4連続技のバーチカルスクエアという技があるのですが、キリトさんが使うと、超高速の4連撃が飛んでくるだけなのですが、キバオウさんが使うと緩急おりまぜた4連撃が飛んできます。

 

 最初の一撃目が緩い斬撃で、その速度を見た次の瞬間には超高速の3連撃が飛んできたりするということです。

 

 他にも技後硬直というのは使用者の技量如何では短縮されます。

 そして、ホリゾンタルやスラント、バーチカルなどの基礎技はスキルの技後硬直が元々少なく、当然対人戦特化型キバオウさんには、単体技の技後硬直は無いです。

 

 つまり、突進技のレイジスパイクで10メートル先から突っ込んできて、その途中でソードスキルを無理やり発動を止めて、次の瞬間には連続技を発動していたりします。

 

 つまり、レイジスパイクだと思って受け止めようとしたら、ノヴァ・アセンションという片手剣の10連撃最上位ソードスキルが飛んできたり、とか普通にやってきます。

 そんなん初見で防げるかい! 

 

 他にも連続技の超高速の斬撃の途中で急に速度を緩め、軌道をほんの少し変えることで相手の防御する瞬間と位置をずらして防御をブチ抜いたりします。

 これによって神聖剣は敗れました。

 超高速の戦闘でタイミングをずらすとかマジでやばすぎます。

 

 強すぎます、ソードスキルの扱いガチ勢です。

 自分よりRTA勢の動きしてますもん。

 

 そんなソードスキルガチ勢の対人戦特化型キバオウさんが完成してしまったらデュエルに負けるので、なんとか完成前にゲームをクリアしなければなりません。

 頑張りましょう。

 

 因みに、公平を期すために、と色々こじつけして、キバオウさんとの決闘は全て半減決着モードで行います。

 初撃決着モードでは、ソードスキルの強みである攻撃力という点が全く活かされないためと、無理やりキバオウさんを説得しました。

 

 実際は負ける確率を減らすためですが。

 初撃決着モードの場合、一度のミスでこれまで積み上げてきたものが全て崩れ落ちる可能性がありますが、半減決着モードなら、そこからでも十分巻き返せるので。

 

 自分、レベルだけはかなり高いです。

 レベルアップボーナスポイントは筋力にも敏捷にも振れませんが、少なくともHPはキバオウさんより高いです。

 防御力も金属と皮装備という違いはあれど、レアリティが違いますのでこちらの方が上です。

 なので、半減決着モードのほうが、初撃決着モードより有利です。

 

 なので、無理やり押し切りました。

 

 確かに初撃決着モードの方が早く終わりはしますが、マジでリスクが高まりすぎて辛すぎますから。

 

「行くで! おおおおおお!」

 

 来るタイミング教えてくれるとか、今のキバオウさんマジ天使。

 対人戦特化型キバオウさんマジ悪魔。

 

 はい勝利。

 

「おおっと! 一瞬! 一瞬で勝負が決まってしまいましたー! 今何があったのでしょうか!? キバオウさんがソードスキルで突撃していったのは見えましたが……キリトさん!」

 

「キバオウは片手剣の基本突進技ソードスキル、レイジスパイクでヒャッカに突撃していったが、ヒャッカは完全にキバオウの斬撃の軌道を読み切って、最小限の動きでかわした後、キバオウがソードスキルの技後硬直で動けない一瞬の間に、居合斬りで1発、返す刀で1発、その後の1発、計3発斬撃をキバオウに完全にクリーンヒットさせていた」

 

「圧倒的! まさに圧倒的な試合でした! 勝者はヒャッカ君です!」

 

「……くぅぅ、わいは、わいは!」

 

 キバオウさん、フェードアウトしていきました。

 めちゃめちゃ悔しがっています。

 キバオウさん、この悔しさをバネにめちゃくちゃ強くなって行くんですよねー。

 強くなってくれるのは攻略速度的には嬉しいですが、難易度的には辛いです。

 

「では、勝者にインタビューをしましょう! ヒャッカ君! 今回のデュエル、どうでしたか? 今の心境をどうぞ!」

 

「その、こ、こういうのには、慣れてないんだが、なんて言えばいいんだ?」

 

「えっと、勝って嬉しいとか、安心したとか、いい試合だったとか! そういった素直な感想で大丈夫ですよ」

 

「えっと、勝って嬉しい、安心した、いい試合だった」

 

「あ、うーん、まあいいです! それにしても、ヒャッカ君は強いですね! 何か強さの秘訣とかあるのでしょうか?」

 

「それは……幼い頃から、リアルで……無理やりやらされていただけだ」

 

 ここでちょろっと設定を暴露しましょう。

 子供なのにどうしてここまで強いのかの設定付けですね。

 これしとかないとちょっと怪しまれるので。

 でもリアルの方はみんな暗黙の了解であまり話さないようにしてますから、これを言っておけばこれ以上追求されることはなくなります。

 

 でもぼく、こどもだからあんもくのりょうかいとかわかんないや! 

 

「あっ……えっと」

 

「何度も何度も打ち倒されて、動けなくなるまで」

 

「ああっと! 大丈夫です! もういいですよ!」

 

「そうか?」

 

「はい!」

 

 しかも、この話をここでしておくと、今後勝利者インタビューをカット出来るので、しっかりと話しましょう。

 

……許さない、許さない、……絶対に、ヒー君を傷つけた……全権力で……必ず……

 

 さて、ではレベリングに行きましょうか。

 

 効率のいいレベリング方法は、アラームトラップなどを使って沢山の敵をよび集めることなのでしょうが、アイテムストレージが使えない関係上、腰につけているポーチの中にある、ポーションと回復結晶しか回復手段がないため、そんなことをやって大量にダメージを受けると、回復が足りなくなります。

 

 そんなところをキバオウさんやキリトさんに見つかったら、何でHPを回復しないで戦っているんだ? となります。

 

 1回2回なら、たまたまポーションが切れたのか? と思われるかもしれませんが、それが続くと流石にアウトです。

 

 特に、キリトはソロでの効率のいい狩場によく現れるため、よくフィールドで会います。

 

 気をつけましょう。

 

 はい。

 

 さて、レベリングもひと段落したので、今回は隠しダンジョンに向かう準備をしましょう。

 レアアイテムがいまだに引けていませんのでね。

 

 ここの隠しダンジョンは、後々、かなり上の階層でここのヒントが聞けて、そのヒントがなければ絶対に来れないような設計になっているダンジョンなのですが、自分は当然知っているので、すでに中を探索可能です。

 

 しかし、敵は激烈に強いため、絶対に倒せません。

 

 今の攻略組のフルレイドで挑んでも、雑魚敵1体すら倒せないで壊滅確定です。

 しかもそんな奴らが群れでわらわらと。

 当然、1撃食らえば即リセットなので、オワタ式SAOのはじまりです。

 

 まあ、本来はかなり上まで上がった後でくるダンジョンなので、当然ですが。

 でも、レアアイテムがどうしても必要なので、宝箱だけ開けて行きます。

 

 残念ながらこのダンジョン、宝箱から武器や防具、アクセサリーは出ないため、バランスブレイカーは起こせません。

 

 敵からのレアドロップの中には装備品がありますが、ここの敵が倒せるようになっている頃には、もっといい装備を落とす敵が出てきているので使いません。

 

 残念。

 こういうところ、なんか変な対策が施されている感じがするんですよね。

 バランスブレイカーして最強の武器防具を序盤でゲットして無双したいのに。

 

 本当に残念。

 

 因みに、このダンジョンの敵は中から出てこない、つまりMPKは起こりえないので、最終的にはいつも沢山の敵を背に走って逃げています。

 

 敏捷値はこのレベルならギリギリ少しだけ余裕がありますから。

 基本的にここの隠しダンジョンのモンスターはほとんど全て敏捷値が低いです。

超パワー型、脳筋モンスターたちです。

 

しかし、一種類だけ今の自分より敏捷値がかなり早い敵がいます。

でもその敵は、近くの村の大連続クエストの途中で手に入る聖人のお札という神アイテムを持っているとノンアクティブモンスター、つまりこちらが攻撃するまで攻撃してこないモンスターに変わります。

 

 なので、隠しダンジョンに行くための準備、聖人のお札を入手するために、その大連続クエストを途中まで進めましょう。

 

 聖人のお札が入手できるイベントなのですが、

 

 この聖人のお札を持っていると、村の近くにいるモンスターの主と会話できるようになるから、どうか主の怒りを鎮めてください、お願いします。

 

 的な事をいわれて、モンスターの主にあう直前にNPCから聖人のお札を渡されまして、モンスターの主に会うと自動で消費されるイベントアイテムなのですが、自分聖人君子なので、聖人のお札という名前が気に入ったんですよね。

 

 なので、そのまま怒り狂った主とか、村の危機とかを全て放置して札だけを持って帰った時があったんですよ。

 

 その時に発見しました。

 

 聖人のお札は、この階層にいる主と同系統のモンスターがノンアクティブモンスターになるという効果を持つ神アイテムです。

 

 多分主と会話できる的な設定が変に作用して、その隠しダンジョンにいる、主と色違いの同系統モンスターにも効果が及んでしまったのでしょう。

 しかし残念ながらこの階層のモンスター限定です。

 

 他の階層でも効果を及ぼしてくれたらな正にチートアイテムだったんですがね。

 

 ではでは、早速村の危機に颯爽と駆けつけて、危機をなんとかすると口先だけの約束をした後に、重要アイテムだけ奪ってとって帰りましょう。


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