SAOメインメニュー縛りRTA   作:アルシャ

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第30話 親切な女性

 はい、親切な女性がいるところまでやって参りました。

 では、親切な女性には、自分が死んだと思ってもらいましょう。

 

 親切な女性は、今回は精神崩壊していません。

 ま、それほど時間も経っていないので、当然ですね。

 

 おお、親切な女性、驚いていますね。

 まあ、こんなボロボロでHPゲージも見た目上は無くなっているんですから、驚きますか。

 

 では、バタンキュー! 

 

 で、ここでフーデッドケープの下に隠し持っている麻痺毒付きナイフで耐久度がもうほとんどないフーデッドケープを切り裂きます。

 

 そうすると、フーデッドケープはポリゴン片を撒き散らしながら爆散します。

 

 で、その瞬間に反対側の手に持っている転移結晶でどこかに転移すれば、ポリゴン片を撒き散らしながら青い光を放って居なくなることが出来ます。

 

 この現象は、かなり死亡エフェクトに似ているんですよね。

 なので、親切な女性はこれにより、自分が死んだように思うわけです。

 

 まあ、ここはセーフティゾーンなので、HPは減りませんから死ぬはずないんですが、たとえ圏内であろうとも、これをやると初見では大体みんな騙されてくれます。

 あのキリトさんですら騙される訳ですから、相当でしょう? 

 

 圏内殺人!? キャァァア!! やめてケロー、死にたくなーい! とかみんな大騒ぎしてくれます。

 

 昔、適当なメンバーを集めて劇団を作ったことがあったのですが、その時の寸劇で、よりリアリティを出すために、戦闘シーンで負ける奴にこの方法で死んだフリをしてもらったら面白くね!? って感じでやってみたら、観客の皆さんは役者が本当に死んだと勘違いして大混乱してました。

 

 そのせいで、クライマックスで大活躍する筈だった自分の役が回ってくる前に劇が中断になったことがあったくらいに、みんな死んだと信じ込んでしまいます。

 

 ……大活躍、したかったなぁ。

 

 っと、話が逸れましたね。

 

 ここで死んだフリをしておくと、親切な女性は、例えアルゴさんやキリトさん辺りに救出されたとしても、

 

 犯人は私の目の前で死にました。

 

 的な感じになって、その後、自分が親切な女性に直接会ってしまわなければ、少しだけ時間を稼げます。

 まあ、犯人の特徴とかを聞かれたら、真っ先に背の低い子供という話が出てくるでしょうから、一瞬でバレたこともありましたが。

 

 ですが、これをやると結構な確率で少しだけ時間を稼げます。

 あとほんの少し時間を稼げればいいので、時間稼ぎを頑張りましょう。

 

 因みに、親切な女性には、自分が犯人だということは伝えてありますが、自分の名前は伝えていません。

 で、自分は親切な女性の名前を聞いていません。

 

 互いに名前を名乗っていない訳です。

 当然自分は親切な女性の名前を知っていますが。

 

 まあ、ある程度自分は有名ですから、親切な女性にどこかでヒャッカという自分の名前を知られている可能性はありますが、今まで親切な女性から名前で呼ばれたことがないので、恐らくバレていないでしょう。

 

 じゃあ、さっそく死んだフリを、

 

 ……ん? 親切な女性が走って近寄ってくる足音が聞こえてきました。

 

 ああ、これは恨みをぶつける絶好のチャンス! とか思っているんでしょうね。

 

 自分をこんなところに閉じ込めて、精神崩壊にまで追い込んできた相手が、目の前でボロ雑巾のようになって地面に這いつくばっている、そんな状況になったら、どうしますか? 

 

 当然トドメの一撃を加えますよね。

 

 まあ、他人からの攻撃は、セーフティゾーンや圏内の場合、障壁に弾かれるので、HPや防具の耐久が減ることはありませんが。

 

 自分の攻撃でも弾かれますが、服の内側から外側に刺す分には障壁が発動しないので、フーデッドケープの耐久値は削れます。

 

「う、嘘……はやく回復、回復させないと」

 

 ……ん? 回復? 

 回復って、自分をでしょうか? 

 ……なんで? 

 

 ああ、勝手に死なれて、恨みをぶつける相手がいなくなるのは嫌、という奴ですかね? 

 

 まあいいや、気にせず死にましょう。

 

「いや! 死なないで!」

 

 うぉ、ビックリしました。

 

 なんか心を読まれたような感じになりましたね。

 ていうか親切な女性の声色が完全に自分のことを心配している的な……あれ? 恨まれてないん? 

 

 いや、目の前で人が死ぬのは嫌、ということでしょうか? 

 例えそれが恨み真髄の相手であろうとも。

 

 いやー、親切な女性は、親切な女性ですね! 

 

「貴方が死んだら、私……もう……」

 

 ん? なんだか雲行きがあやしいような。

 

「いや、いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ……これ、自分が死んだら、親切な女性も後を追って死ぬのでは? 

 

 いや、流石にそれは自意識過剰ですよね? 

 

 大丈夫ですよね? 

 今ここで親切な女性に死なれると、完全にアウトなのですが? 

 

 え? なに、自分いつのまにか親切な女性にとって大切な存在的なものになってたの? 

 

 いやいやいやいや、ありえません、よね? 

 でも、完全に大切な人が死にそうになっている時の態度ですよね、これ? 

 

 ええ、嘘だぁ、あり得ませんって。

 こんな仕打ちをした相手、普通なら殺したいほど憎むものですよね? それが大切な存在になるなんて、でも、現に……えぇ。

 

 自分は絶対にそんなことならないんですがねぇ。

 大切な存在になるなんて、考えただけでも、うっ、吐き気と頭痛とめまいと殺意と憎悪と……ははは。

 今でも殺したいですから。

 

 一体親切な女性の心境に何があったんでしょうか? 

 

 ……どうしよう? 

 

 これそのまま死んだフリをしたら不味いですよね。

 後を追って死んでしまいそうですもの。

 

 なら、希望を与えて生き残ってもらいましょう。

 

「……ぅぅ、ぁ」

 

「っ! 大丈夫!?」

 

「……すまな、かった」

 

「え?」

 

「君を、ここに閉じ、込めて……こうするしか……君を……本当に、すま、ない」

 

「な、なにを」

 

「……きり、とが、あと、2週間で、このゲームを、終わらせて、くれる、だから、君は、生きて、く、れ……」

 

「っ!?」

 

 キリトの名前を出して、あと2週間でこのゲームから解放される、これだけの希望があれば自分の後を追って死にませんよね。

 

 うーん、どうしましょう、このまま死んだフリするのも味気ないですかね? そんなことない? 

 でもなんかいいこと言いたい気分。

 死ぬ直前に、かっこいいことをいう、そういうのって憧れますよね。

 

「……最後に、君に会えて、よかっ、た……」

 

 全然思い浮かばなかったです。

 

 だっさ。

 ま、いいや。

 

 では、フーデッドケープをザクっと。

 で、親切な女性に聞こえないように小さな声で転移しましょう。

 

……i、あr・g・ど

 

 転移、アルゲードっと。

 さて、これで、

 

「オー君! いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 ……誰? 

 

 ……いま、転移する瞬間、親切な女性の口からオー君って聞こえませんでした? 

 

 ん? なんか知らない人の名前が出てきたんですが? 

 

 あれ? これいいのか? 

 訳がわからないのですが? 

 

 ま、まあいいか。いや、よくないよな? え? 何? 

 

 だ、大丈夫か? ダメじゃね? あれ? 

 

 そういえば、自分フードとってたっけ? 被ってたよな? 

 ……え? もしかして、そのせいで自分、オー君とやらと勘違いされた!? 

 いやいや、自分声出していたでしょ!? え? 何、そのオー君とやらと自分、声が似てるの? 背格好も似てるの!? 

 

 誰だよオー君って! 自分知らないって! ここ来てるの!? 親切な女性とあってるの!? ならなんでまだ親切な女性が隠しダンジョンの奥にいるんですか!? 

 

 訳がわからないよ。

 

 でもおかしいと思ってたんですよ! やっぱり親切な女性が自分に好意を抱くはずなかったんや! 

 自分をそのオー君とやらと勘違いしていたんだ! だからあんなにも自分を心配してたんだ! 

 

 なんでそんな勘違いするんですか!? ふぁー!? 

 

 ……ま、まぁ、何事にも失敗はつきものです。

 ここからどうリカバリーするかが大切なんですよ。

 ……どうやって? 

 

 はい、ムーリー、どうしょうもないね。

 

 ……ま、まあ、親切な女性がアルゴさんに見つからなければいいだけですからね! うん! 

 だってそのオー君とやらは自分と同じように親切な女性をあの場から出す気がないようですから! 

 

 そ、そうですよ! 別にこれやらなくてもいいことだから! なんの問題もなし! 

 

 今のことは無かったことにしましょうか。

 気にしない気にしない。はい、忘れました。

 

 あーもーいーよー、しーらね。

 

 で、アルゲードに来たのは、ここでエギルさんが店をやっている為です。

 エギルさんは、キリトさんとアスナさんがくっついた際に報告される人なので、エギルさんから情報を聞けば今どうなっているかがわかります。

 

 ま、正直クラディールさんには微塵も期待していませんが、一応ね。

 

 なーんか罷り間違ってクラディールさんがうまくやってくれてキリトさんとアスナさんが付き合ってないかなぁ、無理だよなぁ。

 いくら自分が有益な情報と回廊結晶を提供したとは言っても、キリトさんとアスナさんが相手ですから、クラディールさん風情じゃあ役者不足がすぎますよね。

 

 クラディールさんなんてミジンコですよミジンコ。

 プチっと潰されておしまいですよね。

 

 まあそれでも、少しでもキリトさんとアスナさんの仲が深まってくれてればそれだけでもいいんで、少しの中も進展せず、ただ自分がリスクを背負っただけとかはマジで勘弁してください。

 

 でも、こういう期待ってよく裏切られるので、上手くいかないどころか大きなマイナスにしかならなかった、みたいなことになってそう。

 

 怖いなぁ。

 

 あ、エギルさんチッスチッス、冷やかしに来たっすよー。

 今キリトさんアスナさん、どこにいるか知ってるっすか? 

 

 ……え? 今なんて? も、もう一度お願いします! 

 

 ……さ、最前線から離れた……? 二人は、結婚した……? 

 

 クラディールさん神! 貴方様こそ偉大なる至高の御方だ! 

 いやー! さすがクラディールさん! 自分信じてました! 貴方様ならやってくださるって! 

 

 っしゃおらぁぁぁ!!!!! 見たか自分のリカバリー能力! 勝った! 想定外のことは多々ありましたが、全て計算通り! 

 

 何事も多少の危機があったほうが面白いから、敢えてこう、危機を演出しただけなんすよ! 

 余裕余裕! 自分を阻むものなし! 今回クリア行ったな。

 

 アルゴさん? 楽勝だね! 所詮2位の女ですから、自分に敵う訳ないんですよ! 

 楽々騙して時間稼ぎ余裕ー! 

 

 いやっは〜! 

 

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 最近仕事がとても忙しくて、更新が滞っていました。すみません。

 仕事を言い訳にするのは良くないとは思いますが、先週80時間も働かされたので、小説を書く時間がありませんでした。

 流石に睡眠時間を削ったり、仕事の休憩中に書いたりは出来ませんのでね。

 事故ったりすると怖いので。

 

 でも1週間で80時間労働って聞くと、一般的なブラック企業よりは仕事が少なそうですね。

 だから先週1話も更新できなかったのは、仕事だけのせいじゃないんでしょうね。

 

 2週間ぶりくらいの更新ですかね? 皆さんはまだ内容を覚えていますか? 

 

 自分はこれ以上間を開けると内容とか伏線とか全部忘れそうなので、まだまだ仕事は忙しい時期ではありますが、出来るだけ早く更新していけるように頑張ります。

 

 …………

 

 ふぅ、寝るか、……いや。

 

 …………

 

「2年、か、羨ましいなぁ」


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