SAOメインメニュー縛りRTA   作:アルシャ

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本日1話目です。


第31話 アルゴ

 さて、アルゴさんとの待ち合わせ場所に食料を持って向かいましょう。

 

 到着っと。

 アルゴさん一人ですね。

 と、思わせておいて、一人じゃないんですよね。

 

 アルゴさんの疑い度が高まで行くと、自分と2人きりで会う時は、必ずアルゴさんのギルド員が陰ながらこっちを見張っているんですよね。

 

 ま、いいですがね。

 もう自分何もやましいことをする必要がありませんから。

 あとは時間さえ稼げば、キリトさんがヒースクリフさんを倒してくれるのでね。

 

 ……多分。

 

「ヒャッカ、昨日の用事ってのは、なんだったんダ?」

 

 うわぁ、いきなり嫌な質問をしてきますねぇ。

 

「……それは、悪いがアルゴには話せない」

 

 とりあえずケムに巻いておきましょう。

 

「人に言えないようナ、何かをしてたのカ? ヒー坊はオマセさんダナ!」

 

 アルゴさんはニヤニヤしながらおどけたようにいっていますが、目は微塵も笑っていません。

 こわっ。

 

「俺はそんなことをしていない」

 

 さて、どうやって追及をかわしていくものか。

 

「ふーん……そっカ、ま、いいヨ」

 

 ……あれ? 案外あっさり引き下がりましたね。

 もっとこう、グイグイくると思っていたのですが。

 少なくとも昨日行った隠しダンジョンのことは絶対に聞かれると思っていたので、言い逃れのすべを用意していたんですが、ま、いっか。

 

 では、アルゴさんを伴って、隠しダンジョンに入りましょう。

 

 はい、まず、先程近くの村のクエストを途中まで進めて手に入れた聖人のお札の効果で、ノンアクティブモンスターに変わるモンスターを探しましょう。

 

 はい、いました。

 

 では、そのモンスターに食料を投げます。

 このモンスターは、ノンアクティブ状態なら、近くに食料を置けば食べてくれます。

 

 これも聖人のお札が手に入るクエスト関連でのことが、この隠しダンジョンのモンスターに影響を与えているため、こんな事になっているのだと思われます。

 

 あのクエストのことは話すと長いので、詳しくはご自身でお確かめください。

 え? 方法がないですって? 神にでも祈ればいいんじゃないですか? 

 

 で、食料を持ってきたのは、あのモンスター対策のため、と偽ります。

 

 でも正直キッツイ言い訳ですよね。

 ストレージに入りきらないほどの食料を持ってくる理由としては弱いですし。

 まあ一応、このモンスターは大食らいではあるので、たくさん投げても食べ残すことはいたしませんが。

 

「そうカ、情報提供感謝するヨ」

 

 ……あれ? 追求ゆるくない? 

 え? こんなの信じるの? アルゴさんどうしたの? いつものアルゴさんじゃないよ? 悪いものでも食べた? 

 

 あ、もしかして、実はまだそれほど疑われていない? 

 高くらいまで疑われていると思っていましたが、これ全然疑われてないのでは!? 

 マジで!? 

 

 だって追求が緩いし! これは間違いなく疑われていないな! 

 来てる! 流れが自分に向いて来てる! 

 

 今回クリアしろって言われているんやな! 

 

 いける! 勝った! 

 

「じゃあ、そういう訳だ」

 

 なんか最近悪いことばかり起こってたから、これからはいいことばかりが起こるんだな! 

 

 ヒャッホーイ! 

 

 …………

 

「隠しダンジョン内の情報はフーデッドケープを付けたヒャッカ氏を途中まで追跡出来たため、ヒャッカ氏が向かった大まかな方向だけはわかっております、そして、その時のヒャッカ氏は食料を保持しておりませんでした」

 

「そうカ、さぁみんナ、ヒャッカに囚われた女性を救出しに行くヨ、準備は出来てるナ?」

 

「当然です」

 

「さて、いいカ、この中の敵の攻撃を一度でも食らえば恐らくオイラ達は誰も耐えられナイ、だから気をつけるんだヨ」

 

「「「「「はい」」」」」

 

「ヒャッカの化けの皮を剥がす時間ダ、彼女の証言さえあればどんな言い訳も無駄だからナ」

 

 …………

 

 さて、では今からキバオウさんとの決闘です。

 ここまで流れが完璧に自分に来ていると、もう負ける気がしないですね! 

 来週は最悪負けても、大丈夫です。

 

 もうすぐクォーターポイントのボス戦だろう? だからソードスキルの練習は75層が終わってからでいいか? 

 

 と聞くと、ええで! と言ってくれるので、ここで勝てばもう後はどうでもいいです。

 

「さぁー! やって参りました! 毎週恒例、キバオウ選手VSヒャッカ選手の決闘です! 司会はお馴染みリズベット武具店のリズベットがお送りします!」

 

 あれ? アルゴさんがいませんね。

 

「えー、アルゴさんは急遽予定が入ったとのことで、今回は欠席です、そして! 今回の解説は! なんと! あのHPがイエローゾーンまだ下がったところを誰も見たことがないという、古き伝説を立ち上げた! 絶対防御のあのお方! 神聖剣ヒースクリフさんです!」

 

「……古き、か」

 

「あ、あのー、ヒースクリフさん、自己紹介をお願いします」

 

「……どうも、古き伝説の、ヒースクリフだ、今回はよろしく頼むよ」

 

 うわぁー、めっちゃ古いこと気にしてるー。

 

「まあ、古いよな、いや、俺たちが逆立ちしたって敵わないことはわかってるんだが」

 

「うん、今は二刀流の時代だもんな」

 

「そうよね、正直おじさまじゃなくてキリト様が来てくださったら良かったのに」

 

「いや、ヒースクリフもすごいだろ!? あの、なんていうか、何かがよう!」

 

 観客にめっちゃ失礼なこと言われてる。

 ヒースクリフさん、顔が引きつってますよ。

 

「シリカちゃんのことじゃが」

 

「うん、最近誰も見ないって噂だねぇ」

 

「確かに姿を見なくなった、風邪かなぁ」

 

「風邪なんか引くやつじゃない」

 

「死んだんじゃないの〜☆」

 

 ん? 今オレンジのサイコパスコックがいたような? 

 気のせいですね。

 

 さて、キバオウさんとのデュエルは、もう正直言ってかなり厳し

 

 はい勝利。

 

 ま、余裕ってやつかな! 

 キバオウさん? 縛りバレ3位? 楽勝だねぇ! だってもうすでにアルゴさんという縛りバレ2位を完全に騙し切ったわけですからぁ! 今更三位のキバオウさんなんかには負けませんよ! 

 

 ふ、ふはは、ふはははは! 自分最強! 

 

 ……うわ、あっぶな、なんでこれでHP半減してないんだろう? 完全にゲージ上では半減してるように見えるんですが。

 

 ま、でも勝ちは勝ちなんでね! 

 今いい! すごくいい流れ! 

 この流れは誰も止められない! 

 

 このまま最後まで突っ走ってやるぜ! 

 

 さて、で、後気をつけなければいけないのは、ユイちゃんに会わないようにする事ですね。

 ユイちゃん、知っていますか? メンタルヘルスカウンセリングプログラムというNPCです。

 

 まだキリトさん達とは会ってないでしょうが、キリトさんとアスナさんが前線から離れている2週間の間に2人の子供になるNPCです。

 

 このユイちゃんに会うと、とても怯えられます。

 いつからだったかは忘れましたが、もうだいぶ昔からずっとそうです。

 例えその回は小さな女の子に怯えられるような事を一切しておらず、完全なる聖人君子プレイをしていても、どんな可愛らしい容姿であろうとも、会ったら必ず怯えられます。

 

 何故なのか。

 無条件で子供に怯えられる、悲しいですね。

 

 ま、でも大丈夫です。

 22層か、はじまりの街に行かなければ、ユイちゃんとは会うことはないので、彼らの行動範囲には、近寄らなければなんの問題もありません。

 

 そして、後はボス戦でキリトさんが生き残れば、ワンチャン! 

 

 いや! この流れなら確定で行ってくれるでしょう! 

 頼む! 行ってくれ! 

 

 はい、あれから1日が経過しました。

 今目の前にアルゴさんがいます。

 どうやら自分を探していた様子です。

 

 どうしたのでしょうか? アルゴさんの顔が怖いです。

 

「アルゴ、どうした? 何かあったのか?」

 

「ヒャッカは、昨日教えてくれた食料で釣れるモンスターがいる例の隠しダンジョンは探索したんだよナ」

 

「ん? ああ、敵が強くてボスの奥や細かいところまでは確認する余裕はなかったが、大体は探したはずだ」

 

「そうカ、見つかったヨ」

 

 ……ん? 

 

「何がだ?」

 

「囚われていた女性がサ」

 

 へぇ、囚われた女性が見つかったらしいです。

 

 ……はあ? はぁ……はぁぁぁあああああ!?!?!? 

 え、えぇぇぇ!? まだ隠しダンジョンが見つかって2日しか経ってないよ!? 嘘だろおい! 

 

「アルゴ! 本当か!?」

 

 嘘だと言ってくれ! 

 

「ホントだヨ、例の隠しダンジョンに彼女は囚われていたサ」

 

 ……で、でもまだ見つかっただけだから! 

 自分のことを話していないかもしれないから! 

 今自分の流れが来てるから! バレてないバレてない! 

 

「そうか! 見つかったのか! ……良かった、本当に良かった!」

 

 あれ? 目から水が……。

 嘘泣きって、案外簡単ですよね。

 

 やったことありますか? 自分はあります。

 でも、やり過ぎると、本当に涙が出て来た時も、泣けばいいと思ってるだろ! とか言われるので多用は禁物です。

 

「探し漏らしがあったのか、すまない、ありがとうアルゴ!」

 

「ふーん、あんな目立つ場所に居たんだがナ、見つけられなかったのカ?」

 

「そうか、目立つ場所にいたのか、すまない、見落としていた、アルゴがいてくれて、本当に助かった」

 

「……ふゥン、でダ、彼女に聞いたんダ、誰に囚われていたのかをナ」

 

 あっ……

 

「っ! 犯人がわかったのか! 誰だ!」

 

 なんか罷り間違ってオー君とやらが攫ったことになっていてくれ! 頼む! 

 

「彼女は言ってたゾ、ヒャッカに攫われた、ってな」

 

 しゅーりょー。

 

「ヒャッカ、何か申し開きはあるカ?」

 

「……は?」

 

 ないです。

 

 ……ん? あれ? そういえば、おかしくね? 

 

 ……おかしいな。

 

「俺が、攫っただと? ……ふざけるなよアルゴ、いくらなんでも言っていい嘘と悪い嘘があるだろ!」

 

「なら、どうしてフーデッドケープなんか被ってコッソリ例の隠しダンジョンに入って行ったんダ?」

 

「なに?」

 

「ヒャッカは一昨日用事があるって言って別の隠しダンジョンに入った後、例の隠しダンジョンに戻って来ていたダロ!」

 

 あー、入り口見張られていないと思いましたが、自分が発見できなかっただけですか、そうですか。

 

「まさか、俺をつけていたのか?」

 

「今はそんなことどうでもいいダロ、答えろヨ」

 

「……まあいい、確かに一昨日、俺はアルゴと別れた後、他の危険な隠しダンジョンに女性を探しに入った、あの隠しダンジョンには、一歩間違えれば今の俺ですら危ないほどの殺意に満ちた罠が多い、だからアルゴに知らせず、その隠しダンジョンだけは先に探索しておこうと思ったんだ、この場所を知られると、絶対に死者が多数出る確信があったからな、それで一昨日はそこを隈なく調べるためにその隠しダンジョンに篭っていた、ほかの場所には行っていない」

 

「嘘だナ、コッチはヒャッカが例の隠しダンジョンに戻って来たのを見てるんだヨ、それに、囚われていた女性の証言もあるんダ、下手な言い訳はやめナ」

 

「言い訳だと? ……アルゴは、俺が本当に女性を攫ったと信じているのか? 俺が! そんな外道なことをするやつだと! 本気で思っているのか!」

 

「……」

 

「……そうか、疑いたければ勝手に疑ってろ、後をつけたければ勝手につけてこればいい、俺が犯人だと広めたければ勝手に広めるんだな、俺はこれ以上同じ被害者が出ないように犯人を捜す、邪魔だけはするな」

 

 アルゴさんは親切な女性から犯人を聞いたと言っていましたが、これ嘘です。

 だって今まで、既に犯人を聞いていたのなら、自分を問い詰めることなく全プレイヤーに情報を発信していましたから。

 

 だけど、今回それをしておらず、自分に問い詰めに来たということは、親切な女性から話を聞き出せなかったのでしょう。

 

 何故親切な女性が自分のことを話さなかったのかは全くわかりませんが。

 

 で、確信を持たれていない以上、アルゴさんは情報屋として嘘の情報は流せません。

 だから自分に自白させようとしていたのでしょうね。

 あれ、恐らく記録結晶をどこかに忍ばせていたはずです。

 

 それで言い逃れできないようにしようとした、と言ったところでしょうか。

 なのでシラを切り通せば大丈夫。

 それに、ああやってブチギレれば、細かい追及はしにくくなりますからね。

 

 ……あっぶねぇぇぇぇぇ!!!! 

 めっちゃ疑われてた! 親切な女性見つかった! 

 もう絶対ダメだと思ったぁ──!! 

 

 でもセーフ! なんかこればっかり言っているかはしますが、セーフ! 

 

 もう自分を阻む壁は無し! 

 

 ──────────────────────

 

 皆さんお久しぶりです。

 また前回の更新からしばらく日にちが開いてしまい、誠に申し訳ありません。皆さんはまだ内容を覚えていますか? 

 自分は忘れかけてます。

 

 あー仕事が辛いです。

 本当、14時間労働後の5時間後に18時間労働、さらに次の日がまた仕事っていうのは流石に勘弁して欲しいです。

 体力がもう無いです。

 家に帰ったら即眠ってしまっています。

 やめたいなぁ、仕事。でも、やめたら生活できませんからね。

 

 次の仕事を探すのも面倒ですし。

 

 まあ、頑張るしかありませんので、頑張りますが。

 

 …………

 

 読むか。

 

 …………

 

「……本当、羨ましいなぁ」


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