はい、では、ボス部屋に突撃ー!
はい、背後の扉が勝手に締まりました。
ほ、ホラーだぁぁぁぁぁぁ!! ギャァァァァァァァ!!
なんて、遊んでいる暇はありません。
「待て!」
ここで声をかけないと、最初で沢山死者が出ます。
そうすると、キリトさんの死亡確率が上がってしまいます。
しかし、ここでボスの攻撃力を知らしめておいた方が何かと都合がいいため、タイミングを調整します。
「どうした?」
3、2、1、はい。
「上だ!」
初め、ボスは天井に張り付いています。
はい、落下してきました。
「固まるな! 距離を取れ!」
ヒースクリフの鋭い叫びでみなさん四方八方に逃げます。
ですが、逃げ遅れる方がいますので、すぐに呼びましょう。
「こっちに来い!」
これで、1人だけ逃げ遅れます。
その一人は、落ちてきたボスの右腕、長大な骨の鎌に薙ぎ払われました。
ばしゃあっ!
一撃死です。
さあ! やって参りました! 75層ボス、The Skullreaper、骸骨の刈り手さんです。骨の百足ですね。左右に巨大な鎌状の骨があり、足の一本一本にも、尾の先についた槍状の骨にも、全てに攻撃判定があるクッソ強いボスです。
今までのボスとは攻撃力が桁違いにあり、クリティカル1発でこの場にいるメンバーの大体が消し飛びます。
今までのボスは数発の連携技くらいなら持ちこたえられる、と言えば、このボスの攻撃力がどれほどのものかはわかりますよね?
結晶無効化空間、背後の扉が閉まることによる逃走禁止、偵察が不可能、超攻撃力のボス。
ここからはもうほぼ全てのボスが、こちらを完全に殺しにかかってきます。
なので、第100層までクリアしようと思ったら、ゆっくり時間をかけて攻略していくか、攻略組の残弾数がかなり必要です。
ゆっくり時間をかけすぎると強制リセットが発動しますし、レベルが足りないからと、いくら残弾数を確保していても毎回95層くらいまでで攻略組の残りが数名になり、ほぼ攻略不可となるため、自分実は未だに第100層まで行ったことがないんですよね。
自分の最高到達数は98階層です。
ほんと、ここからの難易度上がりすぎです。
でもまあ、第100層に行ったところで何があるってわけでもありませんし、今回はここでキリトさんがヒースクリフさんを倒してくれるのでね。
これ以降なんてないんでね! 攻略組の方々がいくら死んでもなんの問題もありません。
お願いしますよキリトさん!
さて、で、左側の鎌はヒースクリフさんが受け止めてくれるので安心です。
そして、右側の鎌はキリトさんとアスナさんが完全に息を合わせ、心までシンクロさせて、キリトさんの二刀流、アスナさんの細剣、合計3本の剣で受け止めようとします。
ですが、残念ながらレベル不足によって、筋力値が微妙に足りずにギリギリ押し負けるんですよね。
一応、辛うじて受け止められはしますが、あくまで辛うじてです。
割とすぐに2人は限界がきます。
その時に自分が敵の攻撃を引き付けます。
当然受け止められるわけがないので、基本回避一択です。
自分、体小さいんで、適宜攻撃してヘイトを稼ぎながら頑張って避け続けましょう。
で、この両鎌をヒースクリフさんと、キリトアスナさんと、自分で受け持っている間に、他のプレイヤーが側面から攻撃してくれます。
ただし、尾の槍状の骨でだいぶ死者が出ますが。
でも、前面の2本の鎌を受け止める人がいなければ、もっと死者が出ますので、この戦い方が安定ですね。
さぁ、最後の戦い、頑張りますか。
はい、今キリトアスナさんが防御の上から吹き飛ばされました。
先程、側面から攻撃していたプレイヤー達が尾についた槍状の骨で殺られて、悲鳴が上がったのですが、その悲鳴に一瞬心を乱されましたね。
さて、では行きましょう。
まずは体を地面すれすれまで近づけながら走って行きます。
そして、
「ヒー君下がって! はぁぁぁあ!!」
ガキィィィン!
……え?
ガッキィーン! ガキィィン!
……あれ? サツキさん?
ガキィィィン! キィィン!
……うわっ、すご、サツキさんが1人でボスの攻撃受け止めちゃってますよ。
えぇ。
確かにサツキさんは筋力全振りで巨大な盾のみという、完全にタンク装備、ステ振りではありますが、それでも1人でこのボスの攻撃を受け止めるのは厳しかったはずなんですが……
「キリトさん! アスナさん! ここは私が受け持ちます! だから2人は攻撃へ!」
「「分かった(わ)!」」
「ヒー君は! 私が! 守ります!」
うわっ、サツキさん強っよ、これ、チャートに組み込むべきでは?
有能なんかより、サツキさんの方がいいのでは?
でもこんな強いサツキさんは初めて見るんですよね。
なんで今回こんなに強化されているのでしょうか?
……偶々っぽいですよね、安定しなさそう。
ま、次回のことは次回考えましょう。
とりあえず、自分も攻撃に回りますか。
「ヒー君はそこにいてください! 私が、私が必ず守りますから!」
あ、はい。
……迫力がすごすぎて思わず従ってしまいました。
その後、約1時間ほどボス戦がありましたが、サツキさんは1度のミスをすることもなく、ボスの攻撃を全て受け止めてしまいました。
HPは、レッドゾーンまで落ちていますが、サツキさんはボスの攻撃を受け止めた後の一瞬の間隔の間に、ポーチからポーションを飲んだり、ポーチにポーションを補充したりと、通常、戦闘しながらは行えない動作もこなしていました。
メインメニューを開き、見向きもせずに高速選択、アイテムストレージを開いて、ポーションのオブジェクト化、そのポーションをすぐに飲んだりポーチに入れたりする様は、まるで手品のような早業でした。
だから盾のみ装備なんですかね?
普通タンクは、ボスのヘイトを稼がなければいけない為、片手に武器、片手に盾といった感じなのですが、サツキさんは咆哮などのヘイト稼ぎスキルのみでボスのヘイトを稼いでいました。
そんなこと1人だけじゃ無理なはずなんですけどね。
普通ヘイトが足りずにダメージディーラーにボスの攻撃が行ってしまうものなのですが。
サツキさんの咆哮の圧力に、ボスは無視できなかったのでしょうか?
いや、ヒースクリフさんがヘイト稼ぎスキルを併用しながらダメージも結構与えていたため、その近辺で立ち回っていたサツキさんをボスが無視しなかった、ということでしょうか?
立ち回りうっま。
つっよ! ふぁー!?
これ、有能とかいう無能は捨ててサツキさんメインチャートに据えるべきでは!?
やった! ボスに勝った! 自分は何もしていないですけど! 勝った! やったぁ!! キリトさんも生き残ってる!
しゃぁぁぁぁ!!! あとはキリトさんがヒースクリフを倒してくれるだけ!
長かった。ここまで来るのが、本当に長かった。
でも、やっと終わるんやなって。これで終われるんやなって。
キリトさんがヒースクリフを倒してくれれば!
……いや、分かってますよ、どぉぉぉせ! 無理なんでしょ! デュエルでシステムのオーバーアシスト見てないんでしょ! 分かってますよ!
でも! 信じたっていいじゃないですか! 希望を持って何が悪いんですか!
やってくれる! キリトさんなら!
「何人──やられた…………?」
「──21人、死んだ」
へー。
どーぉでーもいーいでーすよ。
攻略組の方々はもうここで用済みなので、キリトさんが生き残ってボスさえ倒してしまえれば、30人死のうが40人死のうがどうだっていいんですよね。
彼らは言ってしまえば駒です。
チェスで、いくら駒がやられても、相手のキングさえ倒せばこちらの勝ちでしょう?
駒がいくらやられても勝ちは勝ちですから。
例えば国取りとかの場合、敵の王を倒しても、その後、復興やら統治やらなんやらがあって、自軍の死者は少ない方がいいですが、チェスなどは、その後というものがありません。
今回もそれと同様ですから。
相手のキング、75層のボスさえ倒せば、彼らは用済みです。
では、キリトさんの様子を確認して見ましょう。
もしここで、もうすでに武器をしまっている場合、ダメです。
ですが、武器をしまっておらず、ヒースクリフを眺めていた場合、キリトさんはやってくれます!
どうだ!?
……一瞬、自分と目があったような? あ、今位置関係的に、キリトさんとヒースクリフの間に自分がいますので、キリトさんは自分の後ろのヒースクリフを見ていたんですね。
武器は、しまってないですね。
お!? きたのでは!?
あら? キリトさんはメニュー画面を開いてしまいました。
武器しまっちゃうの!? ダメだよ! しまわないで!
……武器をしまう様子はないですね、どうしたのでしょう? レベルでも上がったのでしょうか?
……お! またこっちを見ました! これはキリトさんは自分の後ろのヒースクリフさんを見てます!
武器をしまっておらず、ヒースクリフさんを見ている!
まさか!? これは!? 来たのではぁ!?
ちょっと自分位置関係的にキリトさんの邪魔ですね。
どきましょうか。
「ヒャッカ」
ん? キリトさんに声をかけられました。
ちょっと待ってくださいね、すぐに退きますから。
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最近暖かくなって参りましたね。
数ヶ月ぶりの更新です。
大変長らくお待たせいたしました。
自分の職場の近くに大きな桜の木があるのですが、昨日から満開しています。
春、ですねぇ。
とりあえず皆さんもう話の内容はお忘れでしょうから、これまでの簡単なあらすじを書いておきますね。
……
悪意の塊のような人間に転生した主人公は、正義感の強い人間だった。
そのため、正義と悪意に満たされた心を持ってしまった主人公は、悩み、苦しんだ。
他人を不幸にしたい、絶望に落としたいと心の底から願いながらも、前世の正義感が邪魔をして行動に移せず、さりとて人助けは今生の悪意が邪魔をして行えない。
相反する二つの思いを持った主人公は、一つの解決策を見いだした。
自己犠牲をすれば良いんだ、と。
それなら人助けをしながら、他者の心を傷つけられる、これしかない、と。
その後、主人公は家に封印された悪魔をその身に宿し、堕ちた炎の精霊、イグナイトに襲われていた子供達4人を身を呈して庇い、身に宿した悪魔の力で堕ちた炎の精霊を飲み込んだ。
そして時は過ぎ去り、主人公はとある学園へと入学する。
そこで、様々な人間と出会う。
「私はね、ただただ勝ちたいのだよ、卑怯なことをしてでも、手加減をされてでも、脅しでも実力でも賄賂でも不正でも、なんでもいい、ただ勝ちたいのだ、勝つことだけが、私の存在意義なのだから」
勝つことにのみ執着する人。
「その昔はさぁ、魔王っていう魔物を操るやつがいたしいのさぁ、でもさぁ、その魔王は勇者に2つに分かたれて封印されたらしいのさぁ、でさぁ、その魔王には悪意を操る力があったそうなのさぁ、ちょうど、今の君みたいにさぁ……貴様、何者だ」
歴史学者。
「お前は原作じゃ、沢山の人を不幸にしてきたんだ! だから誰かを不幸にされる前に、主人公である俺が止める! ……え? ……その仕草、嘘、だろう? あり得ない、だって、お前は、俺の目の前で……あ、あああ、あああああああ!!!」
狂人。
様々な人と出会い、主人公は体験したことのないはずの不思議な記憶を思い出していく。
「傑作だ! まさかなんの関係もない奴を殺すなんてなぁ! フハハハハ! だって、お前の両親を殺したのは、こいつじゃない、俺様なのだから! つまり! お前は復讐の矛先を誤ったんだよ! ふ、ふはは、ふはははは!!」
「お前の相手は俺じゃない、来たれ、堕ちたる炎の精霊、イグナイト」
「お前の妻と娘か? 今頃は元気にオーク牧場で働いていることだろうさ! ふ、ふはは、ふはははは!」
そして、主人公は自己犠牲を行いながら、己の存在に疑問を覚える。
「俺は……本当に転生者なのか?」
……
では、続きからどうぞ。
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あ、やっべ! 桜って確か地域によって満開の時期が違ってくるから、更新日時と桜の満開時期を照らし合わされれば、自分の住む地域が特定されちゃう!
ま、まあ、こんな作者のリアルを特定しようとする方なんて、いらっしゃらないですよね。
仕事、多いなぁ。
今、明らかに仕事量に対して人員が足りてないんですよね。
去年のこの時期は大して忙しくなかったのですが、今年はやばいです。
先月の残業時間が92時間行きました。
うーん、どうなんでしょうか? 自分では結構頑張ったつもりなのですが、ブラック企業にお勤めの方はもっとやばいんでしょうねぇ。
でも辛い、体がボロボロです。
次回の更新も数ヶ月後になるかもしれません。
…………
読むか。
……
「はぁ、本当、羨ましいなぁ、SAO、やりたいなぁ」
その願い、僕が叶えてあげよっか?
「……寝るか」
……え?