SAOメインメニュー縛りRTA   作:アルシャ

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本日2話目です。


第5話 厨二病

 はい、次の方はこちら、サイキョウさんです。

 本名はさいとうきょうすけ、24歳独身です。

 趣味は音楽活動で、歌ったり音楽を作ったりしていたそうです。

 

 そして、彼はただ助けるだけだと攻略組になります。

 ですが、言葉で説得できるタイプなので楽ではあります。

 

 彼、とっても怖がりで、臆病で、とても街から出られる人間ではないのですが、責任感が強すぎるんですよね。

 βテスターの自分が攻略組になってみんなを解放しなければならないと、それがβテスターの、大人の、そして強い者の責任だと真面目に信じてますから。

 

 なので、その自信をまず粉々に変えて、サイキョウさんよりも自分の方が強いことをしっかりと分からせて、俺が攻略するから安心して待っていろ、最前線で戦うことだけが全てじゃない、後ろで支えるプレイヤーの存在も必要不可欠だよー、的なことを言ってあげると見事、サイキョウさんは引きこもりにクラスチェンジしてくれます。

 

 はい完了。

 

 次の人は、アヤノさんです。

 彼もβテスターです。本名はあやさきのりといい、チャラい男です。

 女性アバターを選択した、男です。

 きっと浩一さんと趣味が合うのではないでしょうか。

 

 本人は、別に女装癖なんて無い! と強く、それはもうとても強く言っていました。

 ただ何と無く女性にしただけなんだ、と。

 今では後悔していると。

 

 何と無く女性にした、と。

 それはもう本能的に女装を求めているのでは? 

 

 今では後悔している? 

 男性に戻されてしまいましたからね。

 

 ふむ、やはり女装癖が。

 

 見た目は目の毒ですが、こんななりでも彼はトラウマを植え付けなければ攻略組となります。

 

 はいモンスター撃破と。

 

「いやー、あーぶねぇあぶねぇ、あんがとよ、助かったぜ、おお! それアニールブレードだろ!? はぇーな! ガキのくせにやるじゃん!」

 

「俺はガキじゃ無い」

 

「いやいや、どっからどう見ても、っと、まあいいか、あんがとよ、じゃーな」

 

「待て、どこに行くんだ」

 

「へ? そりゃ次の街だけど?」

 

「やめておけ、今のお前には、次の街にはたどり着け無い」

 

「……へぇ、随分なこと言ってくれんじゃん、何? 俺を助けたからってイキッてんの? ガキが生意気に忠告ですかー? さっきは油断しただけだし、俺の実力ならこの辺の雑魚どもなんて一網打尽、よゆうのよっちゃんだってーの!」

 

「事実だ、お前は現状をまるで理解できていないじゃないか」

 

「は? なんだよ」

 

「これはもう、ゲームであっても遊びじゃ無い、本物の命がかかった、デスゲームだ」

 

「はっはっは! 何? お前あんなイベント信じてんの? ブゥァァァアカ! あんなのオープニングイベントに決まってんだろ! ここで死んだらリアルでも死ぬ!? ありえねえって! そんなのリアルでやったら殺人じゃん! そんな狂ったことするやついねぇって!」

 

「そうか」

 

 なら証明してあげましょう。目の前に殺人に一切躊躇がない人間がいることを。

 はい、ではアヤノさんの首に剣を押し当てましょう。

 彼、実はこう見えて外側を取り繕っているだけの外見ヤンキーで、内面は結構怖がりなんですよね。

 死ぬことをきちんと認識すると、もう街から出てこなくなります。

 

 いや、まあ、死ぬことを認識しておいて街の外に出るやつの方が狂っていると思うので、正常な心を持っている証といえばそうですが。

 

「な……なんの、真似だよ?」

 

「……世の中には、そう言った狂った人間も、いるんだよ」

 

 この時、しっかりと相手の目を見て話しましょう。

 しーっかりとね。

 

「ひ、ヒィ!」

 

「分かるか? この剣の命を刈り取る冷たさが」

 

「じょ、冗談、だろ? そ、そんなことしたら!」

 

「今お前が感じているその恐怖心、それが、死の恐怖だ、それは本来初めに持たなければならない、だけどそれを持たなかったから、お前は慎重になりきれず、先ほど命を落としかけた、同じだ、モンスターに殺されるのも、剣で首を切られるのも、同じ死だ」

 

「ぅ……あ、ぁぁ」

 

「それを認識してなお、その恐怖を乗り越えて立ち向かえるものだけが生き残る、お前に、この恐怖を超えられるか?」

 

「……」

 

 無理です。

 はい、これで引き篭もりの完成です。

 この人もほっておいても勝手に街まで帰って、ゲームクリアまで死ぬことはありません。

 

「安心しろ、必ずゲームはクリアしてみせる、だから、お前はお前の出来ることをやって欲しい、最前線で戦うことだけが全てではない、後ろから支えるプレイヤーの存在も、必要不可欠だ」

 

 では次、行ってみましょー。

 

 ここからペースアップです。そろそろはじまりの街にいた一部の人間だけではなく、ほぼ全ての人間が狂乱状態から混乱状態程度まで落ち着くので、街のそとにモンスターを狩りに行く人間が多発します。

 

 今まではβテスターばかりでしたが、これからはニュービーも沢山やってきます。

 

 この人達、どんどんどんどん死んでいきます。

 毎日100人とか、多い日は200人とか。

 

 なので、出来るだけ頑張っていきましょう。

 

 ……はい、3週間が経ちました。

 自分がなにもしなかった場合、この時点で1800人死んでいるのですが、現在の死者は500人程度です。

 

 まあまあですかね、悪くはありませんが、よくもありません。

 

 あ、それと女性は助けるつもりはないと言っていましたが、必要になったのでちょっと一部助けておきました。

 

 今回何故か、評判をかなり上げてくれる、要するに自分に助けられたことを沢山の人に触れ回ってくれる方々をうまく助けられませんでした。

 

 その為、少し評価の部分が足りなくなりそうだったので、一部女性を助けた次第です。

 

 キリトに寝取られるんじゃ、と心配の方、安心してください。

 

 今回助けた女性達の中で、その可能性が高いのは1人だけです。

 他の人達も一応可能性はありますが、その人達は今回助けた男達の一部が勝手に食ってくれるのでほぼ大丈夫です。

 

 その食ってくれる、主にカーノレさんやサイキョウさんなのですが、その人達を助けて無いといつのまにかキリトと付き合ってしまっていたりします。

 そのため、有能を助けてカーノレさんやサイキョウさんが死んでしまっていたら、女性は助け無いほうがいいです。

 

 ……あれ? カーノレさん、寝取られ好きの妻子持ちでは? 

 

 ……ん? 

 

 で、可能性が高い一人なのですが、この女性、攻略組に入れます。

 

 ちょっと一番大切な攻略組内の評判が足りそうになかったので、この女性に有能の代わりをしてもらう予定です。

 

 気をつけるのは、絶対にキリトと二人っきりにさせてはいけないことです。

 

 キリト、2人っきりになるといつの間にかバンバンフラグを立てていきますからね。

 

 有能なら男なので、その辺りの心配はありませんが、有能は死んでしまったので。

 

 さて、今頃はキリトがアスナを助けている頃ですね。

 この頃になってくると、ようやく死人が少なくなってきます。

 なので、自由に動き回れる時間ができたので、ようやく本格的なレベル上げと野暮用を済ませます。

 

 野暮用はすぐにすみます。

 何をするかというと、2階層での経験値ドロボウを事前に潰させるだけです。

 

 あ、プーは潰しません。

 デメリットしか無いので。

 

 彼、何かと役に立つんですよね。

 ゴミどもを纏めておいてくれたり、何気にいい刺激になったりと。

 勿論邪魔はしてきますが、その邪魔のおかげでキリトが大きく成長しますから、それは許容範囲内です。

 

 死人は当然増えますが、関係ないので。

 

 経験値ドロボウを潰すのは、情報屋のアルゴさんに任せましょう。

 自分で潰すより早く終わるので。

 

 しかもアルゴさん、ちょうど暇になってきたこのタイミングで、いつもピッタリ現れるんですよね。助かります。

 

 基本的にアルゴさんは背後からこっそりと隠蔽を使って近寄って来ます。

 

 なので、今自分の後ろにいることでしょう。

 では、カッコ良く行きましょうか。

 アルゴさんは情報屋なのでね、かっこ悪いところを見せたらすぐに他のプレイヤー達に広まってしまうので。

 

「誰だ」

 

 ……

 

「隠れて無いで出てこいよ」

 

 ……

 

「そこにいるのは分かってる」

 

 ……

 

 アルゴさんはイタズラ好きな所があるので、これだけでは反応してくれません。

 

「用がないならもう行くが?」

 

 しかし、こういうと、出て来てくれます。

 

 ……

 

「……」

 

 ……あれ? 

 

 ………………

 

 ふ、ふふふ。

 やらかした。

 

 背後に誰もいねーや。

 

 ……はっず! やば! うわぁぁぁぁぁあああ!!! 

 

 何だよ! 誰も居ないのに、隠れて無いで出てこいよ、とか、そこにいるのは分かってる、とか! 

 ばっかじゃねぇの! 何も分かってねぇじゃねぇかよぉ! 厨二病かよ! いたい! イタタタタ! 

 

 誰も見て無いよな! いないよな! 

 

 あ、あの遠くにいる人、こっち見てない? 

 なんか、笑いこらえてない? 口元引きつってない!? 

 

 ヤベェェェェエ! 評判が! 超かっこいい自分の評判が! 

 厨二病のクソガキに早変わりしてしまうぅぅぅぅぅ!!! 

 

 早くこの場を離れよう。

 

 ゴホン。

 さて、仕切り直します、そろそろいるでしょう。

 

「誰だ」

 

 ……

 

「隠れてないで出てこいよ」

 

 ……

 

「そこにいるのは分かってる」

 

 ……今度こそ、いる、よね? 

 大丈夫、大丈夫だ、自分を信じろ! 

 

「用がないならもう行くが?」

 

 ……

 

「……」

 

 ……

 

 だーめだこりゃ。


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