「用がないならもう行くが?」
「よく分かったナー」
やっと出てきてくれた!
ただひたすら回数を繰り返しただけとは言えない。
「誰だ?」
因みに、まだ今回は会ったことがないので自己紹介を聞いておきましょう。
鼠のアルゴもキリトとほぼ同等の洞察力を持ってるので、気を付けなければ縛りプレイがバレてしまいます。
「オレっちはアルゴ、情報屋だナ」
「……俺のことはヒャッカとでも呼べ」
名前はコンプレックスというキャラで行きます。
いや、だって馬鹿正直に、お馬鹿百階位だ、なんて名乗って見てくださいよ。
評判ガタ落ち、間違いなしですよ。
「そーか、英雄ヒー坊、よろしくナ」
「……待て、何だそれは」
「ヒー坊に助けられた人達が広めてるのサ、ヒー坊を英雄だってナ」
「違う」
「ん?」
「俺は坊やじゃない」
「そっちなのカ!? ヒー坊はどこからどう見ても坊やじゃないカ!」
「違う! 俺は大人だ!」
「……そうだナ、ヒー坊は大人だヨ」
「ふっ、分かればいい」
恥なんて捨ててキチンとキャラクターになりきりましょう。
「それで、何の用だ?」
「ヒー坊、おっと、ヒャッカは第一層フロアボス攻略会議のことを知ってるカ?」
「知らん」
ここで知っていると答えると、誰から聞いたのか聞かれて、色々と疑惑を持たれるので気をつけてください。
アルゴはマジで情報のスペシャリストです。
かなりの情報網を持っていて、容易な嘘をつくとすぐにはバレずとも数日後にはバレています。
そして、ある程度の疑惑を持たれると、ずーっと隠蔽を使ってついてきたり、よく泊まる宿に張り込んでいたりと、色々ヤバイです。
当然自分は宿には泊まらず基本的に最前線にいる、つまりどの街にも一切帰らないのですが、そのせいでアルゴに疑惑を持たれていると、変な方向に勘違いされてしまい大変な事になります。
気をつけてください。
これまでで、一番縛りプレイを見破って来たのはキリトで、2番目にアルゴ、3番目にキバオウです。
「今日の夕方、迷宮区最寄りのトールバーナの町で開かれるんだがナ、行って見たらどうダ」
「……そうか、分かった、アルゴは情報屋だったな」
「そうだヨ?」
「ならこちらも情報を渡そう」
「なんダ?」
「強化詐欺についてだ」
ここで、事前にアルゴに強化詐欺のやり方を説明しましょう。
クイックチェンジとベンダーズ・カーペットを使って、預かった武器をすり替える手法をね。
強化詐欺というのは簡単に言うと、とある鍛治屋が武器を強化しますと言っておいて、客から預かった武器を見た目の同じエンド品の武器にすり替えて、騙し取るという詐欺です。
エンド品とは、武器にはそれぞれ強化可能回数が定められており、これを最大まで強化し終わった武器のことを言います。
このエンド品を強化すると、武器は破壊されます。
つまり、強化したら貴方の武器が壊れました。
ごめんなさいねぇ。
と言って武器を騙し取る、と言う詐欺です。
これをアルゴに対して、たまたま思い浮かんでしまって、絶対にやる気はないが、自分が思い浮かんでしまうと言うことは、他の人間でも考えつく可能性があるから、もし他の悪意を持った誰かがその武器強化詐欺をやろうとしていたら止めてくれ、と言うようなことを言います。
これで経験値ドロボウはアルゴが勝手に潰してくれます。
「これは、また随分な情報だナ」
ここでアルゴは情報料を払おうとしてきますが、メインメニューを開けないので、お金を貰ってしまっても、そのまま手で持っているしか無くなります。
別に構わないといえば構わないのですが、それでアルゴに何故コルをアイテムストレージに入れないんだ? などと疑問に思われると嫌なので、受け取りは拒否です。
「金はいらない、俺も情報を受け取ったからな」
「……明らかに情報の価値が違うんだけどナー」
「こっちは手間まで押し付けるんだ、対等な取引だ、じゃあ、頼んだ」
「うーん、ま、いいカ、今度借りは返すヨ、じゃあナ、ヒー坊」
「俺は坊やじゃない!」
さて、では夕方までは迷宮区に潜って経験値稼ぎといきましょう。
今は12月2日です。
もうすぐ1ヶ月が経とうとしています。
この第1階層なのですが、攻略を早めるのがかなり難しいです。
勿論、可能ではあるのですが、ここを早めすぎると、攻略組内の死者が激増します。
というより、第1層のボスに壊滅させられたりします。
ここは言ってしまえばチュートリアル。
ここでキチンとソードスキルの使い方や敵との戦い方、味方との連携などを時間かけて学ばないと、攻略組の皆さんはよく死んでしまいます。
あと、心の問題もこの1ヶ月で色々整理しているのでしょう。
それでも早くしないと、と思われるかもしれませんが、安心してください。
自分のチャートが完全にハマれば、これからどんどん攻略ペースが早くなって行き、目標タイムを超えられますから。
当然、スピードが上がるということはレベルは低くなりがちなので、かなりボス戦が厳しくはなります。
ですが、上手く立ち回ればそれでも25層や50層、75層以外は死者0人に抑えることも可能です。
基礎が出来ているのと出来ていないのではかなり差があると言うことですかね。
はい、レベリング終了。
さて、攻略組が集まるトールバーナの広場に着きました。
ここで、第一層フロアボス会議が始まります。
今現在ここにいる人数は47人、完璧です。
自分が何もしなければ44人なのですが、今回は3人増えています。
まずは自分。
次に将来トップ7には入る実力を持つことになる引っ込み思案な人。
そして、攻略組に入れることにした女性が1人。
計3人です。
少し、女性と話しておきましょう。
彼女は普通に助けただけなら、フロントランナーにはならずに、攻略組の少し下、カテゴリー的には中層プレイヤーになります。
なので、彼女を攻略組に入れるために、人助けの合間の少しの時間を使って色々と仕込んでおきました。
自分の武器や体の使い方、そう言ったテクニックを。
そういう話じゃないよ?
攻略組は大半が男ですし、彼女は巨乳という武器を持っていますが。
攻略組に入れるために体の使い方や己の武器の使い方を仕込んだ、とは言いましたが、そういう話じゃないよ?
だってメインメニューが使えないから倫理コード解除設定をいじれないんですもの。
それに、ぼく13しゃい! (外見年齢)
子供だからなんのことかよくわからないや。
あ、あと、好感度も出来るだけあげてあります。
基本的に、みんな死ぬのは朝から夕方過ぎ、夜になって少ししたくらいで、夜遅くまで圏外でレベリングしている人間は極少数なんですよね。
そのため、夜は死ぬ人が少ないです。
なので、夜にレベリングを、それ以外で人助けを行なってきたのですが、人助けの合間にも暇な時間というのは出てきます。
その助ける必要がない人以外が死なない時間帯で、彼女に技術を教えたり、好感度を稼いだりしてきました。
彼女の好感度、めっちゃ大事です。
今回はかなりうまく稼げたので、完璧ですね。
「あ、ヒー君! ヒー君もボス攻略に参加されるのですか!」
「ああ」
彼女のプレイヤーネームはサツキ、本名はさつきゆり、24歳、どこかの大企業のお嬢様らしいです。
容姿は黒髪ロングで清楚系の大和撫子なお姉さん、と言った感じですかね。
あ、サツキさんとは付き合うことが出来ません。
かなり昔、青年のイケメンアバターにしてかなり好感度を上げて、何度か口説いてみたりしたのですが、リアルに許嫁がいるそうで、駄目でした。
……あれ? キリト?
チートや! ビーターや!
なんでこの人はじまりの街の外に出てるの? 明らかに守られる側の人間ですよね?
そしてなんで割と戦闘の才能があるんですかね?
大企業のお嬢様ってことは護身術とか習っているんでしょうか?
それで、サツキさんの自分に対する現時点での評価は、命の恩人兼可愛い弟と言った感じになっています。
まあ、自分の見た目的には年が2倍近く離れているわけですからね。
と、言うよりも、なんかリアルに自分と同じくらいの弟がいるそうです。
その弟と自分を重ねているんですかね?
「一緒にボスと戦えるのですね! では、その記念にフレンド登録を」
「断る」
「そうですか……」
自分は誰ともフレンド登録しません。
一応登録は可能です。
ですがフレンドにメッセージとかは送れないですし、送られて来たメッセージも読めません。
そうなると流石に違和感を抱かれるので、誰ともフレンドになりません。
つまり自分は永遠にぼっちです。
キリトはソロプレイヤーですが、自分はぼっちプレイヤーです。
キリトはフレンドがいますが、自分は誰ともフレンドになれませんから。
ぼっちです。
ぼっち焼肉、ぼっちカラオケ、ぼっち遊園地、ぼっちBBQ、ぼっちじゃんけん、ぼっちファミレス、ぼっち居酒屋、ぼっちオンライン、ぼっち会話、ぼっち映画、ぼっちバイキング、ぼっちコンサート、ぼっち旅、ぼっちキャンプ……っは!
いま、何か変なことを……気のせいですね。
「俺は、どうせ長くはないからな」
「え?」
「はーい! それじゃ、5分遅れたけどそろそろ始めさせてもらいます! みんな、もうちょっと前に……そこ、あと3歩こっち来ようか!」
来ました! イケメン! ディアベルさん!
きゃー! 踏み台ディアベルさーん!
彼、かなり有能なので、死んでしまうと面倒臭いです。
まず第一に攻略組が分裂します。
まあ、そのおかげで競争意識が生まれて結果的にいい方向に働いたりはしますが、今回のチャートでは彼は生存させます。
いいタイミングで助けると評判も高まりますしね。
「今日は、俺の呼びかけに応じてくれてありがとう! 知ってる人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな! オレはディアベル、職業は気持ち的にナイトやってます!」
ヒューヒュー!
「ほんとは勇者って言いてーんだろ!」
だが、残念、ディアベルさんには勇者の資格はありません!
試しにキリト以外に茅場に挑ませようと、ディアベルを75層まで生かしてボス戦後にヒースクリフの不死属性を暴かせたのですが、そのままヒースクリフは100層に帰ってしまいました。
やっぱ勇者は二刀流のキリトさんなんやなって。
「さて、こうして最前線で活動している……」
さて、では今のうちに、自分の評判と攻略速度がどうして関わってくるのかを説明していきます。
その前に、自分の容姿を思い出してください。
身長130センチ。
顔立ちは上の中くらい。
そして、体はかなり細いです。
13歳の平均身長は、大体156センチくらいです。
低くても140くらいです。
9歳の平均身長が130センチくらいです。
つまり、130という数値はかなり小さいということです。
そりゃみんな子供と言いますよね。
そのために、リアルでは親に虐待を……設定があるのですが、この設定がとても重要なキーとなってきます。
さて、今プレイヤー達のリアルの体はどうなっていると思いますか?
そう、みんな病院でたくさんのコードを繋がれて生きながらえています。
なら、どれだけの時間生きられると思いますか?
健康的な人間なら、2年は余裕で、とはいかなくても生きられるでしょう。
ではでは、問題です!
親に虐待を受けており、体が全然成長しておらず、体もとても細い子供は、何年生きられるでしょーか?
はい、そういうことです。
評判が悪ければ、勝手に死ねば? となりますが、評判が良ければ、なんとか助けなければ! となります。
ここで重要になってくるのが、サツキさんです。
サツキさんは、自分のことを弟のように思っています。
今はまだ虐待や、リアルの体の時間制限には気づいていませんが、少しずつ伏線めいたものを撒いているので、あとは自分の体がどれだけ細いかを確認させれば、自ずと自ら気がついてくださいます。
あ、フレンド登録を断ってきたのは、誰かとパーティを組まないでソロで戦っているのは、自分の命が長くないから、親しい人を作らないためなの? 的な感じでいい方向に勘違いしてくれます。
そうなると、攻略組の皆さんを説得してくれるんですよね。
もし自分がサツキさんから弟のように思われているのではなく、恋人のように思われていた場合、勝手に死ね! リーア充ばーくはぁぁぁあ!! となりますが、弟の場合、彼らは全力の下心を持って攻略速度を上げてくれます。
弟さんの危機、救わないわけにはいかないよな!
おおおおお!!!!
となります。
サツキさん美人ですからね。
因みに、有能でも似たようなことになります。
下心ではありませんが、有能には人を惹きつける何かがありますので。
ですが、サツキさんがもし誰か、キリトはそもそもリセットなので、他の攻略組と付き合うことになった瞬間、攻略ペースはガクッと落ちます。
あれ? 許嫁は?
そういった点では、速度は多少落ちますが、有能の方がリスクが少ないので、いつもは有能を使ってました。
さて、ディアベルさんの話もそろそろ終わりですね。
次に話すのはあのお方。