鬼滅から小鬼殺しへ   作:清流

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ついに自分で書いてしまった……。
どっかで見た鬼滅&ゴブスレのクロスが見たいと言うのを見て、私も見たいと思っていたけど、いつまでもなくて、我慢出来なくなってしまいました。これ書くために、原作に加えてゴブスレTRPG購入してたり……。他にも連載あるのに、堪え性がない自分が情けない。

2019/11/03 22:00
一部改訂。


序章:『鬼斬り』
プロローグ:雲柱と呼ばれた男


 「ようやく奴の血鬼術の影響下から抜け出せたと思いきや……ここどこだよ?」

 

 数分前に滞在していた場所とは、どうあがいても結びつかない目の前に広がるだだっ広い荒野に、俺は呆然と呟いた。

 何よりも致命的なのは、前世、今世双方において、絶対に見ることのなかった夜空に瞬く紅と緑の双月であり、ここが幕末の日本ではないことを如実に示していた。

 

 記憶喪失で「ここはどこ?私は誰?」とかやれたら良かったんだが、生憎と己が何者であるかはよく理解している。

 鬼を殺す鬼殺隊において、恐れ多くも『雲柱』の名を戴いていた者だ。

 

 無論、それだけでは説明不足だろう。

 

 まあ、色々端折るがこの身は現代日本の前世の記憶を持つ幕末日本に生まれた転生者だ。

 生憎と死んだ記憶もないし、定番の神様とやらにも出会わなかった。当然ながら、チートと呼ばれる異能力の類も貰っていないし、持ってもいない。

 

 物心ついて、周囲のことが詳細に把握できた時、俺は絶望した。

 『鬼滅の刃』世界だからではなく、生まれた時代がよりにもよって幕末であり、生家が薩摩藩に属する武家だったからだ。

 まあ、そもそも鬼のことなんて、襲われでもしない限り、普通は知りようがないのだから当然であるが。

 

 さて、幕末の薩摩、これを聞いてどんな想像をする?

 俺の場合は、藩主である島津斉彬をはじめとした西郷隆盛、大久保利通などの偉人に始まり、黒船来航から明治維新、果ては西南戦争と幕末の日本において重要な役割を果たすことになるということだった。

 なにせ、四大人斬りなんてものが輩出される攘夷志士と佐幕派の武士がしのぎを削りあう、あの幕末だ。大して考えなくても、死亡フラグ満載である。

 しかも、生家は中堅どころで、どう足掻いても幕末の闘争とは無関係ではいられないとくれば、俺の絶望も理解できるであろう。

 

 しかし、しかしだ、日本男児、いや、薩摩隼人たる者、座して死を待つなど許されるだろうか?いや、ない!どうせ死ぬなら、限界まで足掻いて死ね!ここら辺は、多大に今世の祖父と父に影響されたのだが、あまりに濃すぎる人達だったので、無理もないだろう。

 

 そんなわけで、俺は死にたくないが故に死に物狂いで、剣の鍛錬に励んだ。『二の太刀要らず』の示現流、薬丸自顕流の方ではない東郷の本流を俺は学んだ。

 別に俺が特別だったというわけではなく、薩摩藩の上級武士は大凡これを学ぶのが普通なので、俺もその類を出ないだけの話だ。

 

 そんな俺が、鬼殺隊に入ることになったのは、剣の師である隻腕の祖父が契機だった。

 この祖父、隻腕であるというのに、やたらに強かったのである。齢60をこえるというのに、示現流の師範代であった父ですら勝てない有様なのだから、本当におかしい強さであった。

 後から分かることだが、当然ながらその強さの秘密は『全集中の呼吸』にあったのだが……。

 

 まあ、そんなおかしい強さの祖父に、俺は見出されることになった。

 幸いにも、今世の俺には剣才があったらしく、鍛錬すれば鍛錬するほど強くなれる素養があったからというのは、祖父の弁である。

 圧倒的な剣才と、『全集中の呼吸』を身につけるために必要となる過酷な鍛錬に耐えうる素養を、祖父は俺の死に物狂いの鍛錬から見出したらしい。

 ただ、だからといって、幼い頃から呼吸の基礎仕込んだり、示現流の鍛錬に加えて拷問紛いの別の技の修練を課さないでくれませんかね!普通に何度か、本気で死にかけたんですけど……。

 

 で、十四の頃、ちょうど元服を済ませた後、俺は問答無用で祖父に拉致られ、鬼殺隊に入るべく最終選別へと放り込まれたのだった。

 まあ、周囲がペリーの来航で攘夷だなんだと騒ぎだし、そのノリについていけなかったというか、未来を知るだけに冷めた目でそれを見ていたため、馴染めているとはお世辞にも言えなかったので、鬼殺隊に入れられたことに文句はない。

 

 だが、鬼とか、日輪刀とか、呼吸についてすら一切の説明なく、「この蒼の刀で首を斬れば死ぬ」 これだけである。今、思ってもあれは流石にない。説明不足に過ぎる。

 密かに仕込まれた呼吸法が『全集中の呼吸』で、蒼の刀は祖父の日輪刀、日輪刀で首を斬って死ぬのは鬼だと今でこそ分かるが、当時は本当に意味不明であった。

 呼吸は「キツイけど普通より遙かに動けるようになる呼吸」としか認識していなかったし、「そら、首斬れば死ぬよ」とか、「綺麗な刀だな」くらいしか思っていなかったのだから。

 

 当然ながら、俺の最終選別は酷いことになった。

 初めて見る鬼という怪異に、俺は心の底から驚愕させられたのだ。

 襲い来る鬼達は、首以外を斬っても死なず、達磨にしても手足が生えてくる人を食する化物。元が人間であったなど、戯れ言にしか思えない異常性であった。

 そう言えば、『鬼滅の刃』世界であるということに気づいたのは、この時であった。

 そこでようやく全てが繋がった俺は、鬼への反撃を開始し、自覚したこともあって『全集中の呼吸』と技を以ってどうにか生き延びることが出来たのである。

 

 しかしながら、最終選別を生き延びた喜びなど俺にはなかった。

 なにせ、修羅の巷の幕末日本から逃れられたと思いきや、それ以上に過酷な鬼狩りという地獄への道を歩むことになったのだから、当然であろう。

 

 無事、鬼殺隊員となっても、俺の行動原理は変わらなかった。死にたくないので、少しでも生き延びるために医術を学んだ。

 『全集中の呼吸』は言うまでもない。原作知識から常中のことを知っていたので、早々に身につけたし、基本となる流派である炎・水・風・岩・雷、その全てを学んだ。

 

 何、なんでそんな無駄なことをって?一つの呼吸を極めればいいって?

 馬鹿を言うな!俺が祖父に仕込まれたのは、『水の呼吸』だが、俺の日輪刀の色は黄色に彩られていた。すなわち、俺の適性は『雷の呼吸』にあったのである。

 「糞爺、適性があってねえじゃねえか!」というのは、俺が日輪刀を見た時の心の底からの叫びだったが、個々人にあった呼吸の適正を見極めるのは、極めて困難なことで、日輪刀による判別が必須だというのだから仕方がないのだろう。

 

 だが、だからと言って、自分に合わない呼吸を使って自分の死の可能性を上げるのは、馬鹿のやることである。

 俺は必死に懇願し、貴重な休暇の全てと任務の合間の僅かな時間を医術の勉強と修練に費やして、『雷の呼吸』を学んだ。

 流石に適性があっただけあり、自分でも驚く程早く技を身につけられたのは幸いであった。今にして思えば、この異常なまでの修得速度と圧倒的な剣才こそが俺のチートであったのかもしれない。

 

 そうして気づけば二年が過ぎ、俺の階級は最高位の『甲』へと上がっていた。

 斬った鬼の数は40を超え、『柱』の条件である50へと王手をかけていた。

 

 とはいえ、そこまで行っても、俺の行動原理は「死にたくない」であった。

 ただ、この頃になると根幹にあるのは「死にたくない」でも、流石にそれだけではない。どうにも幕末の世に馴染めていなかった俺を同僚として、仲間として、友として受け容れてくれた鬼殺隊の面々に、生き延びて欲しいと思うようになっていた。

 

 さて、ここまで棚上げにしていた適性が欠けるものも含めて基礎の呼吸を全て学んだというのはこの時期で、その理由はただ一つ。

 ずばり、始まりの呼吸である『日の呼吸』の探求である。原作知識からその存在とヒノカミ神楽の強力さを理解していた俺は、それが生き延びるのにこの上なく役立つことを知っていたからだ。

 

 しかしながら、戦国時代に生まれたバグそのものと言うべき『継国縁壱』程、異常な才を俺は持ち合わせていないし、生来の痣者でもない。

 それでも、俺は『日の呼吸』の存在を知っているのだ。である以上、これを活かさない手はない。

 

 適性に欠ける呼吸である『炎・風・岩』は、学ぶことこそ出来たが、やはり使いこなせはしなかった。唯一、『水』だけは幼頃から仕込まれただけあって相応に使えるが、技のキレはやはり『雷』には劣るのが現実だ。

 そして、俺は『雷の呼吸』を全て使えるが、原作の我妻善逸のように唯一つを極めるのは向いていない。むしろ、『水の呼吸』を組み合わせて戦うのが俺の強さの秘訣なのだから。

 よって、『継国縁壱』の言う「道を極めた者が辿り着く場所はいつも同じだ」「時代が変わろうともそこに至るまでの道のりが違おうとも 必ず同じ場所に行きつく」 は、俺には不可能である。

 

 故に、俺は基礎の呼吸から『日の呼吸』を逆算することにしたのだ。

 

 今ある基礎の呼吸は、全て始まりの呼吸である『日の呼吸』から派生したものである。

 恐ろしいことに『継国縁壱』は、個々人の適性にあった『全集中の呼吸』を個別に教導出来る程の化物だったのである。

 で、ある以上、基礎の呼吸には、必ず『日の呼吸』につながるものがあるはずだと、俺は考えたのだ。

 

 その試みが上手くいったのかは分からない。ただ、後の世にヒントとなるものは残せたと思う。

 なぜなら、俺は『水・雷』の派生として、『雲の呼吸』を編み出し、下弦の参を斬って『雲柱』となったのだから。

 

 そして、今回の任務で運悪く堕姫・妓夫太郎の前任であろう上弦の陸と遭遇し、殺し合った。

 彼の上弦の陸は、特殊な空間と現世を自由自在に繋げるといった血鬼術を使う恐ろしい鬼であった。空中や海中に放り出されれば死は免れないのだから、その危険性は言うまでもない。

 結果として、勝ったには勝ったが、偏に運が良かっただけだ。

 事前に奴の能力の発動を見ることが出来たこと(その代わりみすみす目の前で隊士を殺させてしまった)、奴自身が自身の能力に絶対の自信をもっており、奴が成り立てで少なからず慢心していたこと、そして、俺のある特技が奴の能力と相性が良かったことが勝因となった。

 

 原作までは、上弦は一度も欠けたことがなかったというから、これは快挙であると思うのだが、最後の悪足掻きで、俺もいずこかへと放り出される羽目になった。回避することができなかったわけではない。ただ、回避したら奴の首を斬れなかったので、斬ることを優先しただけである。

 能力的にも、絶対に生かしておくわけにはいかなかったので仕方がない。

 

 「死にたくない」を根幹に生きてきた俺だが、『柱』となった今では、それ以上に死なせたくない仲間や友がいた。何より、ここで自分の命を惜しんで、鬼の首を斬れないものは鬼殺の剣士の柱石を担う『柱』ではないと確信していたからだ。

 故に相討ち覚悟で斬れた、それだけのことだ。

 

 「そうして、どこに放り出されるかと戦々恐々としてたら、これだよ……。本当に、ここどこだよ?」

 

 『鬼滅の刃』定番の走馬灯よろしく、自分の今生を回顧してみたが、当然ながら答えは出ない。人っ子一人いない荒野には、俺の問いに答える者もいない。

 ただ、俺にとってありえざる双月だけが、ここが異世界であることを俺に教えていた。




鬼鬼コソコソ話
ちなみに、柱としての任期は三年程で、鬼滅の刃原作に影響はあんまり与えてない人。
精々、鬼殺隊の医療技術の発展に寄与したのと、ヒノカミ神楽の原型に辿り着きやすくなった程度です。竈家も探そうかと思いましたが、自分のせいで鬼との縁ができたらまずいと考えてやりませんでした。単独で上弦殺してますが、その直後に後任が決まったことに加え、鬼と相討ちになったことは認識されていますが、相手が成り立ての上弦だったことはお館様も把握していないので。

実は、当初は筆者が大好きな義勇さんが主人公予定だった。
しかし、ゴブスレさんとの会話が無理すぎて断念した経緯があったり。
アニメ一話の義勇さん(心の声含む)なみに、普段も喋ってくれたらなあ……。
まあ、そんなの義勇さんじゃないということで、オリ主になりました。

2019/11/02 22:28
今更ながらに、ちょっと盛りすぎじゃねと後悔中です。徹夜テンションはいけませんね……。
生来の痣者とかはなしにする可能性高し、全部の呼吸を学んだことはなしにしませんが、全部使えるというのはなしにしようかと考え中。寿命の問題&単独で上弦殺せるレベルということで生来の痣者にしたのですが、ちょっと強すぎじゃないかと反省中です。

2019/11/03 22:00
アンケート回答ありがとうございます。許容派が多くて驚きました。正直、マジやってしまったな感があったんで。多数派は許容派だったんですが、当初の予定だと義勇さんでしたし、あまりにそこから逸脱しているのは駄目だと思いますので、やはり弱体化させます。筆者の暴走で、御迷惑をおかけ致しました。

冷静になったら、ちょっとオリ主盛りすぎじゃね?

  • 柱が最強で何が悪い
  • 生来の痣者はなしで
  • 上+呼吸全部使えるとかありえない
  • 上+呼吸はやはり一つであるべき

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