鬼滅から小鬼殺しへ   作:清流

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ようやく仲間判定でクリティカルが出たぞー!
そのテンションのままに、書き上げたので修正するかも。
見よ、蜥蜴人なのに人間よりのハーフやぞ。それでいて魔術師&竜神官という謎ビルド。
全てダイスが悪いんや!


断章01:竜巫女

 蜥蜴人(リザードマン)にあって、蜥蜴人に非ず。それが私という存在だった。

 父は典型的な蜥蜴人の信仰篤き竜司祭の戦士で、母は只人(ヒューム)の魔術師だったから、当然かもしれない。

 つまり私は、混血(ハーフ)だったのだ。それも白子(アルビノ)の……。

 

 私は母の血が強く出たらしく、父のような猛き爪牙を持たなかった。

 申し訳程度の尻尾と角があるだけで、殆ど只人と変わらないのが私という存在だった。

 それでいて、色素のない真っ白の髪に血のように紅い目。里の者達が不気味に思うのも無理はないだろう。

 それでも父母は愛情を持って、育ててくれた。

 

 父は、弱い私に根気強く戦い方を仕込んでくれたし、祖竜信仰についても教えてくれた。

 母も、その魔術の粋を私に教え込んだ。

 やはり、私は母の血が強かったらしく、私は主に魔術に才能を示した。祖竜術も使えることは使えたが、とてもではないが実用に足りなかった。

 父は猛き竜の魂が欠けているからだと言ったが、私には理解出来なかった。

 

 強さを尊ぶ蜥蜴人の里において、爪牙も鍛えずひたすら書物に埋もれ、魔道の探究にふける私が異端視されるのはそう遅いことではなかった。

 それでも強い戦士である父と、強大な魔術師である母の庇護の下で、私は好きなことをして生活出来た。

 

 しかし、それがいけなかったのだろう。

 結局、私は両親の庇護の下、安穏と過ごしていただけだったのだ。

 その報いは、両親の死と共に当然のように訪れた。

 

 圧倒的な力に魅せられて、混沌の軍勢に合流するという里の者達を止めようとして、両親は死んだ。

 死因は私だ。

 狡猾な群れのリーダーは、私を人質にして両親を封殺したのだ。

 いかに魔術師としての腕に優れようとも、真言を口に出せぬように物理的に塞がれてしまえば為す術ない。

 私は、彼らにとって目障りな両親への対抗手段として、まんまと虜囚にされてしまっていたのだ。

 強さを信条とする蜥蜴人は、戦士の死後を貶めたりはしないので、両親が楽に死ねたのだけは救いだったかもしれない。

 後は、この行いによって、何人かの離反者が出たことだけが幸いと言えることだった。

 

 それ以来、私は奴隷となった。

 白子は不吉だということで、身を穢されることはなかったものの、それ以外は何でもやらされた。

 両親が自分のせいで殺された私には、反抗する意思などあろうはずもなく、人形のように唯々諾々と従うだけだった。

 混沌の軍勢に合流してからも、それは変わらず、魔神王が六英雄に倒され、混沌の軍勢が瓦解してからもだ。

 

 私の主人となった群れのリーダーは、その狡猾さだけは褒められるべきで、混沌の軍勢が瓦解しても見事に逃げ果せていた。

 但し、群れは無傷とはいかない。3分の2が死ぬか、離反するかして霧散。数多くいた奴隷も囮や肉壁として磨り潰しており、戦力は大きく目減りしていた。

 気づけば、私は貴重な呪文遣い(スペルスリンガー)となっていた。

 

 浅ましくも私は、両親を死なせておきながら、それでも生きたかったらしい。

 主人の無茶ぶりに呪文の使い方を工夫することで対応する内に、私の魔術の腕は飛躍的に向上していたのだ。

 そこに価値を認められたのか、待遇はずっとマシになったが、私が奴隷であることに変わりはなかった。

 結局、死ぬまで、狡猾なリーダーに手駒として使われるのだろうと諦観と共に思っていた。

 

 しかし、人生とはままならぬもの。

 ここまで狡猾に立ち回り、蛇の目を避けてきた群れのリーダーもとうとう蛇の目に当たったらしい。

 

 いや、これは本当に蛇の目と言えるのだろうか?

 討伐に差し向けられた紅玉等級の冒険者一党二組を罠に嵌めて殲滅したところまでは、順調だったはずだ。

 その後は冒険者も用心深くなったのか、殲滅こそは出来なかったが、上手いこと撃退していたように思う。

 

 結局、狡猾極まる群れのリーダーの死神となったのは、一人の只人剣士だった。

 とんでもなく速く、とんでもなく強い剣士だった。刀を使っていたことから、刀剣術を修めた侍なのかもしれないが、異常としか言えない強さであった。

 雷鳴が轟く度に群の誰かの首が飛んだ。それを防ぐ術はなく、肉体差から押し潰そうと不用意に近づいた者も、もれなく斬首された。

 強さを至上とする蜥蜴人が50人以上いた群、それがたった一人の剣士に蹂躙されていく。冗談のような悪夢の如き光景だった。

 

 剣士はなぜか私を殺さなかった。いや、正確には奴隷を殺さなかった。

 気づけば、群れのリーダーと奴隷以外は皆殺しにされていた。その尽くが斬首されており、シュールとすら感じさせる。

 恐るべきことに、圧倒的大多数の蜥蜴人の群相手に、この剣士は敵を選別する余裕があったのだ。

 

 群れのリーダーは完全に恐慌状態にあった。

 狡猾で悪辣極まりない男であったというのに、今やそれは見る影もなく、みっともなくも側に控えさせていた呪文遣いである私を人質にとって震える有様だった。

 当然ながら、生き残った奴隷達に彼のために戦おうという者は誰もいない。

 それどころか、全員武器を捨て、理不尽な主であった男の最期を見ようと周囲に集まっていた。

 

 そして、肝心の私だが、呆けていた。

 いや、正確には目の前の剣士に魅了されていた。

 強いということは、ただそれだけで美しいのだということを、私は初めて知った。

 極まった剣技は、芸術と言って差し支えのない舞踏のようであった。

 強さなどに一欠片も価値を見出したことのなかった私が、生まれて初めて純粋に強さに憧れた。

 今なら、父の言った猛き竜の魂が私にも理解出来る気がした。

 

 ――――この剣士になら殺されてもいい。いや、むしろ、死ぬなら、この剣士に殺されたい。

 

 心から、私はそう思った。

 だから、私を捕らえている男は邪魔でしかなかった。

 気づけば、私は胸の内に生まれた熱い衝動に突き動かされるままに、使えた事のない《竜爪(シャープクロー)》を使って、リーダーの喉を竜化した爪で抉っていた。

 

 この時のリーダーの驚愕は、記憶に新しい。

 言われたこと以外は呪文の使い方を工夫するだけの人形同然の私が、自発的に初めて抵抗したのだから当然だろう。

 私が使える祖竜術は《竜牙刀》だけのはずだったから、それも無理もないかもしれない。

 

 喉を抉られて尚、リーダーは生きていた。

 強さを至上とする蜥蜴人において、彼が群のトップであったのは、その狡猾さだけでなく肉体的強さもあったのだから当然だった。

 只人とさして変わらない力で喉を抉られた程度で、死ぬほど彼は柔ではなかったのだ。

 その表情は、直ぐさま驚愕から憤怒へと変わり、自分に逆らった愚かな奴隷にその矛先が向けられる。

 

 が、その一瞬で、剣士には十分過ぎたらしい。

 雷鳴が轟いた後、私の主だった男は一瞬にして首を失った。

 噴水のように噴き出す鮮血だけが、それが現実であると私に教えていた。

 

 血潮を払い納刀した剣士が一歩一歩近づいて来るのを、私は今か今かと待ちわびていた。

 次に死神の鎌を振り下ろされるのは、私かもしれないというのに!

 他の生き残りと同様に奴隷とは言え、言われるがままに魔法を使い、私が剣士の妨害をしてきたのは間違いない事実なのだから。

 

 気づけば、私は跪き首を差し出すようにしていた。

 それが正しいことのように思えたからだ。

 

 「――――何をしている?」

 

 それが生涯の主と仰ぐことになる方の第一声であった。




鬼鬼コソコソ話
この竜巫女さん、雲柱さんと邂逅するまで、祖竜術はクソ雑魚ナメクジでした。祖竜信仰とか知識では理解来ても、本質的には分かってないから、仕方ないね。でも、雲柱さんの強さを見て、良くも悪くも覚醒して理解してしまいました。彼女も立派な蜥蜴人だったということさ!




2019/11/25今更だけどキャラシート

─────────ゴブリンスレイヤーTRPG冒険記録用紙───────────────

 名前:【竜巫女】  種族:【蜥蜴人(10)/只人(90)】  性別:【 女 】  年齢:【 17 】

 経歴:【 冒険 / 奴隷 / 上司 】  等級:【 白磁 】

 身体的特徴:【 アルビノ 】

 経験点:【 500 / 16500 】  成長点:【 0 / 116 】

───────────────────────  設定  ──────────────
ダイス神の思し召しにより爆誕した設定過積載の蜥蜴人魔術師。
アルビノ(体力点-1持久度-1魂魄点+1集中度+1)補正を受けている。ボーナスは知力振り。
奴隷の嗜みとして忍耐を身につけているほか、アルビノなので免疫強化にも振っている。
呪文遣いとしての適性は高いが、技能が足りていない。
沈着冷静持ってるけど、平時で主様が関わると途端に働かなくなる。
─────────────────────────────────────────

◆能力値
            ┌───┬───┬───┬───┐
            │体力点|魂魄点|技量点|知力点|
            |   3  |   4  |   1  |   4  |
    ┌───┼───┼───┼───┼───┤
    │集中度|      |      |      |      |
    |   4  |   7  |   8  |   5  |   8  |
    ├───┼───┼───┼───┼───┤
    │持久度|      |      |      |      |
    |   1  |   3  |   5  |   2  |   5  |
    ├───┼───┼───┼───┼───┤
    │反射度|      |      |      |      |
    |   3  |   6  |   7  |   4  |   7  |
    └───┴───┴───┴───┴───┘


  生命力:【 14 】    生命力2倍:【 28 】   負焦点:【 0 】

  移動力:【 22 】   呪文使用回数:【 06 】

  呪文抵抗基準値(魂魄反射+冒険者LV+呪文抵抗):【 12 】

  因果点:【 0 】

◆消耗 (EX)
  1  □□□□□(□)  全判定-1
  2  □□□□(□)   全判定-2 移動力半減
  3  □□□(□)     全判定-4 移動力と生命力半減
  4  □□(□)       気絶 移動不可 生命力半減
  5  □(□)       死亡

◆継戦カウンター
 □□□□○ 5 □□○□□10 ○□□○□15 ○□○□○20
 ○○○○○25 ○○○○○30 ○○○○○35 ○○○○○40
※○1つにつき1点消耗

◆冒険者レベル:【 5 】
  職業レベル:【 魔術師:6 】
  職業レベル:【 竜司祭:4 】

◆冒険者技能   初歩 / 習熟 / 熟達 / 達人 / 伝説 / 効果
  【免疫強化】   ●     ●     ●     ○     ○  / 毒や病気に対して、強い抵抗力を持っています。
  【忍耐】      ●     ●     ○     ○     ○  / 苦痛や疲労に耐えて行動し続けることができます。
  【魔法の才】   ●     ●     ●     ○     ○  /  修練によって、呪文を扱う才能に磨きをかけ、呪文回数増加
  【怪物知識】   ●     ○     ○     ○     ○  /  祈りし者と敵対するもの達の生態や能力についての知識を身につけています。
  【追加呪文】   ●     ●     ○     ○     ○  / 追加で呪文を習得できます。
(真言系統)

◆一般技能     初歩 / 習熟 / 熟達 / / 効果
  【暗視】    ●     ●     ●            / 暗闇を60m先まで見通せる。
  【竜の末裔】   ●     ○    ○            / 生まれながらに硬い鱗と鋭い爪を持っています。
  【労働】     ●     ○     ○            / 仕事のコツをつかみ、要領よく働けます。
  【沈着冷静】  ●     ●     ○            / 簡単に動揺せず、感情を抑制して冷静さを保つ。 

◆呪文
 呪文行使基準値(知力集中or魂魄集中):【 08 】
 真言:【 8 】  奇跡:【 0 】  祖竜:【 8 】  精霊:【 0 】

 ◎習得呪文:《 開錠 》《 力与 》《 抗魔 》《 粘糸 》《 矢避 》《 火球 》《 力矢 》《 施錠 》
       《 竜牙刀/竜爪 》《 竜牙兵 》《 竜息 》《 小治癒 》

◆攻撃
 命中基準値(技量集中):【 5 】
 近接:【 0 】  弩弓:【 0 】  投擲:【 0 】

 ◎武器:【 〇〇〇〇 】
   用途/属性:【 ○○/○○ 】  命中値合計:【 0 】
   効果:

 ◎効力値
  -14:変化無し 15-19:+1D6 20-24:+2D6 25-29:+3D6 30-39:+4D6 40:+5D6

◆防御
 回避基準値(技量反射):【 4 】

 ◎鎧:【 司祭服 】
   属性:【 ○ 】  回避値合計:【 3 】
   移動力合計:【 18 】  装甲値合計:【 2 】 隠密性:【 悪い 】

 ◎盾:
   属性:【 ○ 】 盾受け基準値合計:【 0 】  盾受け値+装甲値合計:【 0 】  隠密性:【 0 】
   効果:

◆所持金
  銀貨:20枚

◆その他の所持品
  真言呪文の発動体であるイヤリング(500枚相当)
  冒険者ツール(鈎縄,楔x10,小槌,火口箱,背負い袋,水袋,携帯用食器,白墨,小刀,松明x6)
  携帯食×7日分、衣類

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