21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!   作:Leni

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160.Astral Spirits(ベルトスクロールアクション)<3>

 第二ステージは、森林を切り開いた道を進むステージだった。

 草原にあった道と同じ幅の道が森の中に存在しており、その道の所々に木が生えていて障害となっている。

 

 登場する敵は頭に刃を持つ鹿や大型の狼といった、四つ足の動物系モンスターだ。

 

「鹿はまだいいが、狼は体高が低いから打刀で攻撃しづらい……!」

 

「私は……蹴りで倒せるので……こちらに任せてください……!」

 

「いや、俺もこういう敵に慣れていかないと。素手での格闘でなら、チャンプの道場で散々戦ったんだがなぁ」

 

 そんな会話を繰り広げつつ先へと進み、ボスモンスターであるワーウルフと戦いになる。

 ボスモンスターは取り巻きとして雑魚モンスターの狼を連れており、混戦となる。

 だが、それがノブちゃんには都合がよかったのか、フレンドリーファイアを気にすることなく、縦横無尽に駆け回って大活躍をした。

 

 無事にボスモンスターを倒し、森林の次は洞窟ステージが待っていた。

 だが、ただの洞窟ではない。ところどころに光り輝く照明が取り付けられており、少し進むと直立した壁に壁画が描かれている区画になった。どうやら、人工的な洞窟のようだ。

 俺は先へ進むのを一旦やめ、壁画を眺めることにした。

 

「うーん、巨大蜘蛛が人間と戦っている図か?」

 

「うふふ……なんでしょうねえ……」

 

「あー、ノブちゃんはクリア済みだから、これが何かは知っているのか。うっかりネタバレしないよう気をつけてくれ」

 

「はい……! あの驚きを……ヨシちゃんにも味わってほしいですから……!」

 

 驚きの展開が待っていることは確かなようだ。

 壁画を見終わり、コウモリモンスターが飛び交う洞窟を進む。

 洞窟の出口が見えてくるが、その出口を守るように、岩石でできたゴーレムが立ちふさがっていた。このゴーレムが第三ステージのボスモンスターのようだ。

 

「打刀でゴーレム斬るとか、ゲームじゃなかったら折れ曲がっていたところだ」

 

「私も……手甲があるとはいえ……岩の塊を殴るのは、やりたくありません……」

 

「でもリアルじゃ俺達アンドロイドだから、岩の塊くらい殴り砕けそうだ」

 

「うふふ……そうですね……」

 

 ときおりコウモリが飛来する中、ゴーレムとの戦闘が続く。

 いいかげんノブちゃんも慣れてきたのか、俺に突撃してくることはなくなっていた。

 

 さすがの俺もここまで一切のダメージを受けないわけではなかったが、ノブちゃんの回復魔法で残りHPには余裕があった。

 俺は死ぬことなく、サムライの特殊能力である強力な剣技でゴーレムの撃破に成功した。

 

 このゲームの職業(クラス)には、サムライの他に剣を使うソードマンがいる。

 ソードマンが盾を持った攻防一体型なのに対し、サムライは攻撃に偏った近接職だ。正直盾の扱いには慣れていないので、このサムライという職業は俺にピッタリな役割であった。

 

 打刀を鞘に収め洞窟を出ると、その先には一面の荒野が広がっていた。

 荒野の向こうに見えるのは……。

 

「何かでかい建物があるな。あれが古代遺跡か?」

 

「はい……古代の砦ですね……」

 

 第四ステージは荒野から始まり、途中で砦の中に突入した。

 出てくるモンスターはスケルトンだ。剣や槍、中には弓を装備している者までいる。

 

 だが、人型の敵は俺の得意の相手だ。

 だんだん動きがよくなってきたノブちゃんと一緒に、俺はスケルトンを蹴散らしていく。

 そして、砦の一番奥には、ローブをまとい、杖を持った骸骨……おそらくリッチであろう存在が待っていた。

 

 遠距離魔法を飛ばしてくるボスモンスターで、さらに黒い狼を取り巻きとして召喚してくる。

 

「狼を盾にして、自分は後ろから魔法って戦法か。敵ながらやっかいな」

 

「ヘルハウンドは、私が引きつけます……! ヨシちゃんは……リッチを……!」

 

「役割分担だな。よし、ボスは任せろ!」

 

『ノブちゃん格好いいな』『もう完璧にコンビじゃん』『ヒスイさんよりコンビしているな』『ヒスイさんは基本解説役だからなぁ』

 

 いやあ、ヒスイさんと一緒にプレイすると、ヒスイさんがあまりにも上手すぎてなぁ。手加減してもらうのは何か違うし。

 

 と、そんな視聴者の声を聞きつつ、攻撃を繰り返し、やがてリッチは倒れた。

 リッチはちりとなり、跡形もなく消え去る。すると突然、ステージの床に巨大な魔法陣が描かれ始めた。

 

「おおー、なんだろう」

 

 俺がそう言うが、ノブちゃんはネタバレに注意してくれているのか、「うふふ」と笑うのみだ。

 やがて魔法陣が完成し、床からまばゆい光が発した。

 

 そして、気がつくと俺は、砦の内部から開けた廃墟の街に移動していた。

 

「おっ、転移したのか」

 

「砦と都市が……転移魔法陣で繋がっていた……そんな設定です」

 

「設定も調べてあるんだ」

 

「はい……モンスターの……名前とかも……」

 

「ヒスイさんいらずだなー」

 

『まことに遺憾です』

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 ヒスイさんの言葉に、ノブちゃんがとっさに謝る。

 

『冗談ですよ』

 

 いや、多分、今のヒスイさんの声音は冗談じゃなかったな……。

 本人が冗談と主張しているならそれでいいか。気にせず、ゲームを進めていこう。

 

 第五ステージの廃墟の街は、大通りを一直線に進むようだ。そして、大通りの向かう先には、崩れた城が建っている。

 俺達二人は、襲ってくるゾンビやスケルトンを倒しながら、一歩ずつ城に近づいていった。

 

「一度に出る敵の数増えてきたなー」

 

『そう言いつつ、危なげなくなぎ倒してんな』『得意ジャンルだからって、ヨシちゃん張り切っているなぁ』『背後からの攻撃それどうやって避けてんの?』『チャンプと同門なら殺気でとか言い出しそうだな……』

 

 いや、別に俺は人間辞めてないからな? ゲームシステムで未来視系の超能力は抑えられているし。

 まあ、別の意味で人間辞めてアンドロイドボディにはなっているけど。

 

 と、そんなことを考えている間に、城に到着する。

 屋根が壊れて雨ざらしになっており、大理石か何かでできた床は薄汚れている。

 俺達は真っ直ぐ城の廊下を進んでいき、やがて玉座の間に到着する。

 

 だが、何もいない……。

 そう思っていたら、突如、空の上から何かが飛来した。

 それは、今までのボスとは比べ物にならないほど、大きな存在だった。

 

「ドラゴンか!」

 

「はい……レッドドラゴンです……!」

 

『王道ファンタジーだな!』『こってこてだな』『ここまで王道だと、なんだか安心感がありますね』『そんな中でセーラー服を着るヨシちゃん』『違和感ありすぎる……』

 

 外野から見ると、俺の『ムラクモ13班』スタイルは違和感があるようだ。VRは基本一人称視点だから、その辺解らないんだよな。

 まあ、異世界に剣道少女が迷い込んだ感を出していこう。

 

「ブレスに気をつけてください……!」

 

 そう言って、ノブちゃんが玉座の間に着地したドラゴンに突っ込んでいく。

 よし、俺も全力で行くぞ! 

 ノブちゃんの勇気がドラゴンを打ち倒すことを信じて! 俺達の戦いはこれからだ!

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 ドラゴンはラスボスではなかったようで、何も言わずに消えていった。人語を解する、知性あるドラゴンではなかったようだ。

 そして、砦と同じように魔法陣が玉座の間に描かれ、また俺達は別の場所に飛ばされた。

 辿り着いたのは、朽ち果てた神殿。

 

 女神像がところどころに立ち並び、敵モンスターとしてリビングアーマーや岩のゴーレムが出現した。

 だが、ここまでくると俺とノブちゃんも慣れたもので、ほとんどダメージを受けることなく攻略していく。

 

 神殿の一番奥に到着すると、そこにいたのは光り輝く謎の人型。

 精霊かそれとも幽霊か。

 敵モンスターの名前が表示されないので正体が判らぬまま、俺達はその相手と戦った。

 そして、HPゲージを削りきったところで、敵の光が弱くなる。

 

『お見事です』

 

「うおお、こいつ喋るぞ」

 

 光が収まった謎の人型。その顔は、神殿内部に立っていた女神像と同じであった。

 

『あなたがたのような存在が、ここまで辿り着くのをずっとお待ちしておりました』

 

 ふむ、何やら語り出したぞ。

 俺は視聴者と一緒に茶々を入れながら、推定女神の言葉を聞いていった。

 

 現在、古代遺跡と言われている場所がまだ現役だったころ、いわゆる古代文明が滅ぶ前のこと。

 当時の文明は魔法を極め、栄華を誇っていた。

 だが、あるとき、当時から見た古代の遺跡から、機械兵器があふれだし、文明を破壊していった。

 

 当時生きていた彼らも黙ってやられていたわけではなかった。

 機械兵器を打倒し、兵器の親玉である機械神を封印することに成功したのだ。

 

 そして、このエルドラド島は、機械神が封じられている場所。この島は、かつて機械兵器が初めて出現した超古代遺跡があった、災厄の始まりの地なのだ。

 機械神の封印は厳重で、これまで千年の間破られずにいた。

 だが、その封印が今、ほころび始めている。

 

 ゆえに、封印の守護者であるこの光る人型、精霊オンディーヌは機械神を打倒できる人間を作り出すことにした。

 

 機械神には物理攻撃は通用せず、魂が込められた攻撃や魔法しか通用しない。

 そこで精霊は、討伐した者の魂を強化する仕組みを持つ、特殊なモンスターをこの島に生み出した。

 そして、数々のモンスターを打倒し、そして最大のモンスターであるレッドドラゴンを倒した俺達二人。その魂はこれ以上ないほど磨かれており、機械神にも届きうる存在となっていた。

 

『機械神が世界に解き放たれる前に……どうか、機械神を打倒してください』

 

 推定女神あらため精霊がそう言い残して、姿を消す。

 そして、再び床に魔法陣が描かれ出した。

 

「返事を聞く前に転移魔法陣かよ!」

 

『スピーディな展開でいいじゃん』『画面端にあったスキップボタンがすごく気になったわ』『ヨシちゃんがいつしびれを切らしてスキップするか、気が気じゃなかった』『まあ、台詞長かったからな』

 

 確かに、スキップボタンは存在したし、ここまでノンストップで進行してきたベルトスクロールアクションだというのに、説明は長かった。

 でも、そこで実際にスキップをするほど、俺は空気が読めないわけではない。

 

 と、そんなコメントを聞いているうちに、転移が完了し俺達はまた別の場所に飛ばされた。

 まず目に入ったのは、空。巨大な魔法陣が空を覆っている。そして、その下に広がっていたのは廃墟だった。

 周囲一帯ががれきの山となっており、ほこりっぽい。

 そして、がれきの山の遠く向こう側に、一際目立つ物が存在していた。

 

 それは、横倒しになった巨大な石像。水色をした、女神の像だ。

 

「ヨシちゃん……見てください……! 自由の女神です……!」

 

「お、おう」

 

「超古代文明は……ニューヨークです……! この世界は……惑星テラだったんですよ……!」

 

「おう、そうだな……」

 

 うんうん、実は舞台は未来の地球(テラ)。解る。解るよ。

 

「『猿の惑星』じゃねーか……!」

 

 倒れた自由の女神に向けて、思わず俺はそんな突っ込みを入れていた。

 

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