21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!   作:Leni

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94.僕らの地球を守れ! 20世紀地球防衛軍(操縦アクション)<4>

 五つの秘密兵器が合体し、決戦兵器テラガイアーへと変わった。

 

 しかし今テラガイアーが居るのは、イギリス近海の島だ。ここからどうやって東京まで向かうのだろうか。

 そう思っていると、さらにもう一機のマシンが島から発進した。円盤状戦闘機だ。

 円盤状戦闘機は空中で変形すると、翼のような形となる。テラガイアーはその翼の飛行に合わせて飛び、テラガイアーの背中に翼が合体した。そして、そのまま高速で海の彼方へと飛んでいく。

 

 そこで視界が切り替わり、コックピットの操縦席に座るモロボシ・アンヌに意識が移る。

 周囲を見回すと、コックピットに居るのは俺一人だった。特に手足からの通信もない。合体したそれぞれの秘密兵器に、一人ずつ操縦者がいるというわけでもないようだ。

 

 俺は操縦桿を握り、コックピット前方のモニターを真っ直ぐ見る。

 頭の中に入ってきた情報によると、合体ロボの操縦は、両手に持つ操縦桿と足元にあるペダルで行なうようだ。

 

 鳴り響くBGMはワンダバではなく、激しいテンポのイカした曲だ。最終決戦仕様なのだろう。

 

「格好いい曲だなー。ワンダバといいこの曲といい、ゲームに合った曲だから汎用素材の曲を引っ張ってきたとかではないのかな?」

 

『自動作曲ツールを使用して作った曲のようですね』

 

 俺の疑問の言葉に、ヒスイさんがそう答えた。

 

「そんなツールがあるのか……。さすが27世紀。自動生成した曲も本格的だな」

 

『インディーズの製作者はツール使いが多いよ』『作曲家AIに曲依頼すると結構クレジットかかりますから』『はー、そんな事情が』『音楽勉強して自力作曲しようぜ!』『無茶を言いなさる……』

 

 学習装置とかいう代物で勉強が一瞬で終わる未来でも、作曲は難しいのか……。

 と、無駄話をしていたら東京だ。ベヒロン星人は街を徹底的に破壊している。折れた東京タワーが生々しい。

 

 ベヒロン星人は飛来する機影に気づいたのか、破壊の手を止め、空を行くこちらへと振り向いた。

 今回ばかりは無防備なところを先制攻撃とは行かないらしい。逆に、ベヒロン星人は複眼から怪光線を放ってきた。

 

 そこで背中の翼の合体が解かれ、テラガイアーは地上に投げ出された。怪光線は、下に落ちるテラガイアーと上に急上昇する翼の間を素通りしていく。

 そして、テラガイアーは無事に地面へと着地した。

 

「さあ、勝負だ!」

 

 ここでBGMが切り替わる。最終決戦らしい壮大な戦闘曲だ。

 その戦闘曲に背中を押され、テラガイアーはベヒロン星人と向かい合う。

 よし、先制攻撃は許したが早速攻撃だ。

 

「テラガイアーミサイル! って、ミサイルを撃ったら、アバターが勝手に喋ったぞ!」

 

『演出演出』『恥ずかしがらずヨシちゃんも叫んで行こ?』『心を解き放て!』『見た目は少女でも心は男の子だろぉ!』

 

「都合のいいときだけ男扱いしよってからに……あ、ミサイル外れた?」

 

 遠距離から撃ったミサイルはベヒロン星人に直撃するかと思えたが、ベヒロン星人はその場で光の粒子に変わりミサイルは素通りする。そして、横に一歩ずれてベヒロン星人が再出現した。

 

「なんだ、あの超回避」

 

『モロボシくん! こちら司令部! 総司令の私だ!』

 

 何やら通信が入った。戦闘中だぞ。

 

『ベヒロン星人はタキオンワープという技を使う! 銀河を駆け巡るための能力だな。隙を突かない遠距離攻撃は効かないと思ってよい』

 

「はー、やっぱり時代は近接戦闘か」

 

『メーザー兵器部隊もこのタキオンワープには苦しめられたのだ。くれぐれも注意してくれたまえ。以上だ!』

 

 通信が終わると共に、ベヒロン星人が目から怪光線を撃ってくる。

 回避は、できない! 光線を避けるほどの軽やかな動きは、さすがに合体ロボには不可能なようであった。

 俺は、甘んじて怪光線を電磁バリアで受け止めながら、ベヒロン星人に向けてテラガイアーを突進させた。

 

 突然の突進にベヒロン星人は怯んだのか、怪光線の照射を止めてしまう。

 よし、ここで左腕の武装を解放だ!

 

「テラガイアードリル!」

 

 円錐状のドリルが回転し、ベヒロン星人の胸をえぐる。

 

「さらに胸からテラガイアーバルカンだ!」

 

 火花を飛ばしながらベヒロン星人がのけぞる。

 さらに右腕からミサイルをゼロ距離射撃だ。

 

 大爆発を起こすベヒロン星人。煙がモニターをおおうが……。

 ミサイルの煙が晴れたところで見えたのは、手刀に光をまとわせたベヒロン星人の姿だった。

 

 ベヒロン星人の手刀から光の剣が伸び、奴はそれを振るいテラガイアーの胸部を切り裂いてくる。

 

「うわっ!」

 

 コックピットから火花が散る。電磁バリアはまだ強度が残っているが、バリアを突破してテラガイアー本体にダメージを与えてきたのだ。

 

「負けていられるか!」

 

 俺は操縦桿を強く握り、テラガイアードリルでベヒロン星人に殴りかかる。

 ベヒロン星人も、こちらの攻撃を食らいつつも光の剣をぶつけてくる。

 そんな正面からのぶつかり合いが数合続くが……。

 

「ダメだ、リーチの差がありすぎる。何か別の武器が……あ、あれだ!」

 

 俺はコックピットのパネルを操作し、物を拾う動作をテラガイアーに実行させた。

 手に持つ武装を落としてしまったとき用の操作だが……。

 

「テラガイアー東京タワーソード!」

 

 俺は、折れた東京タワーをテラガイアーの右手に握らせていた。

 

『ヨシちゃん何やってんの!?』『吹いた』『文明の利器』『20世紀の人類の象徴を武器に』

 

「テラガイアー東京タワー突きじゃあ!」

 

 すると、しっかり東京タワーにはダメージ判定があったのか、ベヒロン星人は衝撃に後ろへと下がった。

 そして、光の剣と東京タワーとで斬撃の応酬が繰り広げられる。

 だが……。

 

「そもそもあの光る手刀で折られたんだから、ぶつかり合うとそりゃあ東京タワーが負けるよな!」

 

 東京タワーソードはバラバラに切り裂かれてしまっていた。

 ふーむ、リーチのある近接武装を失ってしまったぞ。

 と、そこで司令部から通信が入る。

 

『剣を使うのは悪くない発想だぞ、モロボシくん! エネルギーチャージが終わったので、そちらに新武装を送る!』

 

 その総司令の言葉と共に、こちらに円盤状戦闘機が空を飛んで近づいてくる。

 それに気づいたベヒロン星人は目から怪光線を撃ち迎撃しようとするが、戦闘機はひらりひらりと怪光線をかわしていく。

 

 そして、テラガイアーの真上に停止した円盤状戦闘機が、変形をして剣の形を取る。

 変形終了すると、剣が落下してきてテラガイアーの右手に収まった。

 

「テラガイアープラズマブレード!」

 

 という名前らしい。今のは自動でアバターが喋った。

 

『格好いい!』『やっぱり剣だよなー』『東京タワーとは大違いだ』『お前ら、東京タワーも頑張ったんだぞ……』『頑張っても結果を残さないとね?』

 

 そうしてテラガイアーとベヒロン星人の剣戟が再開された。

 プラズマブレードはベヒロン星人の光の剣と打ち合ってもびくともせず、むしろ腕力で勝っているのか、つばぜり合いではこちらが押し切れていた。

 ベヒロン星人は苦し紛れに、もう片方の手にも光の剣を出し、二刀流で挑んでくる。いつの間にか場所を移動していたのか、戦闘の余波で国会議事堂が為す術もなく切り刻まれた。

 

『ねえこれで三カ国の議事堂破壊コンプリートなんじゃあ……』『ステージが海だったからか、アメリカだけは無事だったな』『なんなのヨシちゃん。20世紀の政治に不満でもあったの』『政治主張は健全配信では御法度だぞ!』

 

 くっ、突っ込み返す余裕がない……!

 互いに交わされる攻撃。だがこちらが火力では上だ。プラズマブレードが一発、二発とベヒロン星人の身体を削っていく。

 

『モロボシくん、必殺技の使用を承認する! 銀河のため、人類の未来のため……決めてくれ!』

 

 明らかに押してきたところで、総司令からそんな通信が入った。

 すると、目の前のモニターに承認という文字が浮かび上がり、握っていた操縦桿がコックピットに格納され、代わりに下から剣の柄が伸びてくる。

 俺は、それを力強く握ると、全力で叫んだ。

 

「プラズマ・クロススラッシュ!」

 

 テラガイアープラズマブレードが激しく光り、テラガイアーは二発の斬撃を放った。

 ベヒロン星人はそれを正面から食らい、胸に大きくバツの字が描かれ、その場でたたらを踏む。

 そして、ベヒロン星人は大きくのけぞり、胸を中心に大爆発を起こした。

 

 テラガイアーはその爆発を背景にプラズマブレードを払い、ポーズを決めた。

 

『ミッションコンプリート』

 

 戦いの終了を知らせる音声が響く。

 爆発の後に残っていたのは、地に倒れ完全に動かなくなった銀河の支配者、ベヒロン星人の亡骸であった。

 

『よくやってくれた! 私達の勝利だ!』

 

 総司令からそう通信が入り、視界が暗転。

 真っ黒になった背景に、白い文字が表示される。

 

『こうして銀河の支配者は倒れ、地球に平和が訪れた。しかし、再び宇宙怪獣は地球へと来襲してくるだろう。だから、そのときはまた、僕らの地球を守れ! 20世紀地球防衛軍』

 

 そしてBGMが変わり、スタッフロールが表示され始める。

 

「おおー、ゲームクリアかー。あっさりしてるな」

 

「おめでとうございます」

 

 と、ヒスイさんの声が横から聞こえてくる。今はアバターの感覚がないので、姿は見えないのだが。

 俺はこれでゲームは全て終わりだと判断し、スタッフロールを背景に今回の感想を述べる。

 

「いやー、最後はよく叫んだな。楽しかった」

 

『ノリノリでしたね』『熱かった』『いろいろ濃かった……』『濃すぎてついていけなかった』『敵の数、四体でちょうどよかったわ。これ以上続くと胃もたれしてた』

 

「プレイ時間は短いけれど、思い出に残るゲームだったな」

 

 そこまで話したところで、スタッフロールは終わる。インディーズゲームだからそう長くはなかったか。

『THE END』と表示され、画面はタイトル画面に戻る。地球を目指すタトラの姿がまた見える。

 

 そして、俺はモロボシ・アンヌのアバターから解放されて、元のミドリシリーズのアバターになって宇宙空間を漂っていた。

 隣には、ヒスイさんの姿も見える。

 

 クリア後のおまけ要素等もないようなので、俺はゲームを終了し、元の日本家屋のSCホームへと背景を戻した。

 そして、そのままの勢いで視聴者達と十数分、このゲームの感想を言い合った。

 一通り話したところで満足した俺は、そろそろ配信を終えることにした。

 

「それじゃあ、これで今日の配信は終わろうか」

 

「はい。皆様、今日もお付き合いいただきありがとうございました」

 

「以上、ロボット続きで心が満たされているヨシムネでした」

 

「なお、編集動画版では、ゲームのリプレイ機能を使って、プレイ中の機体を外から見た第三者視点も配信します。助手のヒスイでした」

 

『おつかれさまー』『マジで』『ずっとコックピットからの視点だったから不満だったんだ』『そこを抑えているとは、なかなかこのゲームやりおる』

 

 最後に俺も知らなかった事実をヒスイさんに言われて、驚きながら配信を終了させるのだった。

 

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