八幡side
なんか俺、今1番出会っちゃいけない存在に出会ってしまっている気がする。だって目の前に居る狂三はすっごい笑顔だよ?笑顔なんだけど、目が全く笑ってねぇ。それどころか人殺せそうなくらい冷たい眼光だよ。しかもその後ろには時計とか歯車とか銃みたいなのが見える。え、狂三さん遂に時の神クロノスになっちゃったの?それとも刻々帝ザフキエルになったの?どっちでもいいけど、1つ確かに言える事がある。俺、この状況ヤバくね?
狂三「あらあら、随分と楽しそうですわね八幡さん。今し方申し上げましたけれど、早速1人の女性を誑し込むのに成功したようですわね。」
八幡「誑し込んだわけじゃねぇ。コイツが勝手に着いて来ているだけだ。」
未織「酷いわぁ八幡ちゃん。ウチの前に颯爽と現れてウチの事を助けてくれたお礼に、仲良く一緒にご飯食べた仲やないの〜♪」
狂三「………八幡さん?」
八幡「間違ってはいないが、捏造もされてる。颯爽と現れてないし、仲良く飯も食ってない。」
俺は狂三に本来あった事を説明した。睨みつける仕草は消してはいないが、納得はしてくれたようだ。取り敢えずは一安心………じゃないな。
狂三「お話は分かりましたけれど、それだけでこのように仲良くなれますの?」
未織「なんかさっきからエラい八幡ちゃんに突っ掛かるなぁ……アンタ、八幡ちゃんの何なんや?」
狂三「そういう貴女こそ、八幡さんをちゃん付けなんて慣れ慣れしいのでは?」
未織「そうそう、自己紹介してへんかったな。ウチ、神戸連合直参赤桜会の娘の司馬未織いうんや、よろしゅうな。簡単に言うとヤーさんなんやで。」
狂三「ご丁寧な挨拶、痛み入りますわ。では私も。千葉仁堂会直系時崎組組長の娘の時崎狂三といいます。今は八十神会若頭を務めています。」
未織「何や、アンタもヤーさんやったんか。道理で物怖じせん筈やわ。せやけど邪魔せんといて。今はウチと八幡ちゃんのデート中なんや。」
狂三「あら、そうなんですの?先程八幡さんは着いて来ているだけと仰っていましたが?」
未織「聞き間違いとちゃうん?」
狂三「私が八幡さんの言葉を聞き間違える事は絶対にありませんから。」
………2人の目から火花が出てる。誰かこの2人止めて!俺が介入したら逆効果になるから!
狂三「それよりも八幡さん、何故八幡さんが神戸連合の幹部の娘さんとご一緒なのですか?神戸は私達千葉とは敵対関係にある組織です。何故ですか?」
八幡「コイツの親父が仕切ってる組は神戸の中でも穏健派に属してる。それに工藤とも最近会っていたようだから全てとまではいかないが、少しは信頼出来る。」
未織「せやから時崎はん、ウチの事なら何も心配せんでもええで。八幡ちゃんを捕まえるような真似なんてせえへんし、毒盛るような事もせえへん。ウチも気に入った人を捕まえるんは気が引けるから、やりたないんよ。」
狂三「………」
未織「時崎はん、信じてくれへん?」
狂三「……貴方を完全に信じる事は出来ませんわ。ですが八幡さんがそれなりの信頼をしているのなら、私はそれに従うまでですわ。一先ず、というところですわね。」
未織「それで構へんよ。」
八幡「済まないな、狂三。」
狂三「いいえ、八幡さんのお言葉には説得力がございますから。それに従っただけですわ。」
俺の言葉ってそんなに重たいの?組束ねてるからそうなんだろうけど。
狂三「なので司馬さんを監視する為にも、今後は私も八幡さんと同行させてもらいますわ。いくら八幡さんが信頼を置いているとしても、何もするわけでは無いと踏んでいます。事故が起きたら大変ですから。」
未織「時崎さん、アンタ………」
狂三「はい?」
未織「……八幡ちゃん、ちょっと時崎はん貸してもらうで。」
八幡「お、おう………」
何の話をするんだ?
八幡sideout
未織side
狂三「何の話かは想像がつきますけれど、どうされまして?」
未織「単刀直入に聞かせてもらうわ。時崎はん、八幡ちゃんの事好きやろ?」
狂三「………ふふふふっ、私も案外安くみられたものですわね。」
未織「なんや、ちゃうの?」
ならウチの心配しとったのも杞憂だったっちゅう事かいな。心配して損やな。
狂三「私は八幡さんを愛していますわ。1人の男性として、他の有象無象の男性なんて目にも入らない程愛しております。あの方は本当の私を見ても顔色1つ変えない素晴らしいお方です。私も八幡さんの本性を見た事は3回だけですけれど、身体が疼く程の震えが来ましたわ。あの方は素晴らしいですわ、あの方は最高ですわ、あの方は本当に………
………冗談やない、本気で言うとる。本気でそう思うとるんや。肌で分かる。本気で八幡ちゃんを愛してるゆう気持ちがビリビリ伝わってくる………正直、ホンマに舐めとった。まさかここまでとは思っとらんかったわ。
未織「………ごめんな時崎はん。ウチ、アンタの事を少し過小評価し過ぎてたみたいや。まさかそこまでとは思うとらんかったんや、ホンマごめんな。」
狂三「いいえ、お気になさらないでくださいまし。今のは私が少しだけ感情的になっただけですから。」
今ので少しなん?本気になったらどんだけヤバいねん。
狂三の愛が垣間見えた瞬間ですね。