やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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京都の旅 ③

 

 

八幡side

 

 

あの後、俺は祇園を離れて次の目的地である伏見に電車で向かっている。そして俺の両隣には、さも当然のように司馬と狂三がいる。しかも狂三の奴、何を考えているのか分からないが、着物を着ているのだ。レンタルじゃないよ?自分で選んだ黒い着物、黒い帯、黒い髪留めをそのまま購入して着付けをして今に至っている。2人の着物美女がいるせいか、当然のように周りの目を引いている。俺、ここから離れた方が良くない?

 

 

狂三「八幡さん、私には八幡さんが今何をお考えになっているのかなんてお見通しですわよ?ここから離れようだなんて思わない方がよろしいですわよ。私は絶対、貴方から離れませんから♪」

 

 

心読まれてる〜。ウソでしょ?狂三さんエスパーも使えるの?冗談じゃねぇよ!もう隠し事できねぇじゃん!いや、別に無いけどさ。

 

 

未織「にしても八幡ちゃんの腕はホンマに抱き心地がええなぁ〜♪ずぅっと抱き締めてたいくらいやわぁ〜。なぁええやろぉ〜♡」

 

 

司馬が猫撫で声を出しながら俺に迫ってくる。顔も近づけてくるから、腕に2つの果実を容赦なく当ててくる。お前の武器は色仕掛けだけか?

 

 

狂三「司馬さんの言う通り、八幡さんの腕は確かに抱き心地は素晴らしいですわ。それも全て日々の鍛錬の賜物と言っても良いでしょう。はぁ〜………この腕に抱かれたら、昇天してしまいそうですわぁ♡」

 

未織「ホンマやわぁ〜。」

 

………ねぇ2人共、周り見よっか。君たちが色っぽい雰囲気を出しているせいで、大人の男連中お前らに釘付けなんだけど?

 

 

八幡「なぁ、もう離れてくんない?お前らが両隣にいるせいで俺の視線も半端ないんだけど?」

 

未織「いやや♪」

 

狂三「イヤですわ♪」

 

 

………まぁ、そうだと思ってたよ。

 

 

ーーー伏見ーーー

 

 

八幡「着いたな。此処が伏見か……なんか意外と何もないんだな。」

 

未織「多分八幡ちゃんは勘違いしとると思うから、説明するで。実はな、伏見に伏見稲荷大社があるわけやないんよ。」

 

八幡「え、そうなのか?」

 

未織「ホンマは少し離れた場所にあるんや。ウチらが降りたんは伏見やけど、稲荷大社に行きたいんやったら伏見稲荷に降りなあかんねん。まぁ京阪線に乗り換えせなあかんからどの道もう1回電車に乗るんやけどね。」

 

狂三「でしたら京阪線に乗って同じ方向に戻れば、伏見稲荷に着くわけですわね?」

 

未織「そういう事や♪行き方も分かった事やし、ほな、じゃあ乗り換えしよっ♪」

 

 

ーーー10分後・伏見稲荷ーーー

 

 

狂三「何だか伏見と比べて何もかもが派手ですわね。赤がより際立っているといえば良いのでしょうか?赤が多いですね。」

 

八幡「伏見稲荷大社とか千本鳥居は画像でなら見た事はあるが、街並みの風景は見たことなかったから、これは少し意外だ。」

 

未織「せやろ?せやけどここの売りは派手さだけやないんよ。お土産とか甘味処、酒造なんかにも力を入れとるんや。せやから周りを見たら分かると思うけど、稲荷大社に行く前と行った後でも、これだけの観光客で賑わっとるんよ。八幡ちゃんと時崎はんの学校の生徒も来てるんとちゃう?」

 

八幡「行ってると思うぞ、京都でも有名な寺社だからな。まぁ変な願い事とかしてそうだけどな。」

 

 

一応凄い寺社なんだからな?俺は変な願い事はしないでおこう。

 

 

未織「2人はあれに登る予定なん?」

 

狂三「私は八幡さんを探す旅に出て早々に見つけましたから、今後は八幡さんにお任せします。八幡さんの行きたいところについていくだけですから。」

 

未織「ならウチもついて行くわ♪そのほうその方が楽しそうやし、何より八幡ちゃんと一緒におられるからなぁ。疲れたらおぶってな〜。」

 

八幡「おぶらねぇよ。自分で頑張れ。」

 

未織「いけずやなぁ〜。」

 

狂三「でしたら八幡さん、私が疲れた際はお姫様「やらん。自分で頑張れ。」だっ……少しくらい良いではありませんの。」

 

 

これがか弱い女だったらまだしも、最初からその気の奴らに誰が手を差し伸べるかってんだ。自分の願いは自分で叶えるもんなんだから自分で頑張りなさい。俺は暖かく見守ってるから。ホレ、あそこ見ろ!御老人夫婦もゆっくりだけど、確実に登ってんだろうが!若者が頑張らないでどうすんだ!

 

 

八幡「それに、いざとなったら狂三は着物を脱いで制服に戻れば良いだろ。」

 

狂三「でしたらその際は八幡さんが着物の帯を解くのを手伝ってくださいね?言い出したのは八幡さんです、八幡さん自身が手伝うのが当然ですわ。」

 

八幡「いや、司馬にやって貰えば良いだろ。何で男の俺がやるの?お前の裸見る事になるんだけど?」

 

狂三「何か問題でも?」

 

 

………あぁ、うん、そうだったわ。俺もうこいつの裸を風呂で見てるから今更だったわ。けどダメだよな。倫理的にダメだよな。

 

 

未織「まぁ落ち着いてぇな。確かに問題はあるけど、それ以前に着替える場所があらへんから、八幡ちゃんの提案は没やで。だから時崎はんはそのままで登っていくしかないで?」

 

狂三「そうなんですの………残念です。」

 

 

残念がるんじゃねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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