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神戸連合若頭、工藤の計らいによって用意されたラブホテルに着き、チェックインを済ませた後に食事を済ませた3人は、部屋で寛いでいた。普通のホテルの部屋よりも広いのは、流石は1番料金が高いだけはあるといったところだろう。だが寛いでいるとはいっても、3人の雰囲気はそこまで良いものではなかった。悪いわけではないのだが、良いというわけでもなかった。その理由は………言わずとも分かるであろう。此処がラブホテルだからであろう。
八幡「………」
しのぶ「………」
カナエ「………」
変に相手を……異性を過剰に意識してしまっているからか、普段よりも態度が他所余所しくなってしまっているのだ。そして何よりもこの部屋の雰囲気もある。音のない静けさ、少し暗めな照明、ムードを上げる人間も居ない為に3人は明らかにこの雰囲気に飲まれてしまっていた。
八幡(ど、どうすればいい?飯を食ったまでは良いが、この部屋から出ないと言った以上は此処からは動かない方が良いんだろうが、する事が思い浮かばない!)
しのぶ(……い、いつもならこの3人で居る事なんて恥ずかしくないのに、今だけは凄く意識してしまうわ。それに何で私はさっきあんな事をしてしまったのよ!?八幡が少しの間だけ居なくなるってだけなのに、何で抱き着いてまで止めるような事をっ!?あぁ〜もうっ、頭の整理が追いつかないっ!!)
カナエ(い、いくらさっきの気持ちが本当だったとはいえ、思った事をそのまま口にしてしまったのは恥ずかしかったわ///でも、八幡さんにあんな甘えるような事をしてしまうなんて……私の方が年上でお姉ちゃんだからしっかりしないといけないのに〜。こういう時は………あっ!)
カナエ「こ、このままだと何も無いからテレビでも見ましょうっ!何か面白いのやってるかしら〜?」
カナエはテレビのリモコンを取って電源ボタンを押したのだが、それも間違いだった。
『あぁっ♡あぁ、あんっ!あぁっ♡』
八・カ・し「っ!!!!???」
テレビに映し出されたのは、AV動画だった。しかもちょうど女性が喘いでいる瞬間を映し出してしまっていた為、余計にムードが複雑になってしまった。
カナエ「ご、ごめんなさい/////」
八幡「い、いや……あれは仕方ねぇよ/////」
しのぶ「そ、そうよ……あんなの誰も予想出来ないわよ。し、仕方……ないわ/////」
カナエ「うぅ〜/////」
予想外の出来事に顔を真っ赤にする3人。極道ではあっても、このような事は経験が無いのだろう。
八幡「………おっ、そ、そうだ!2人は風呂に入って来いよ!数日風呂にも入ってねぇだろ?なら身体の汚れを落とす意味でも入って来たらどうだ?」
カナエ「………八幡さんは?」
八幡「………は?」
カナエ「八幡さんは入らないの?」
八幡「俺は右肩撃たれて怪我してるからな、防水のガーゼでもあれば入れたんだろうが、流石に何も無しで入るのは無理だ。俺は濡れたタオルで拭くくらいにする。」
カナエ「そっか………」
しのぶ「姉さん………入りましょう。」
カナエ「……そうね、でもお風呂のお湯を張るのも時間が掛かるから、お湯の準備をしてから八幡さんの身体を拭きましょう。」
八幡「い、いや、大丈夫だ。自分で出来る。」
しのぶ「八幡、アンタは怪我人なんだから言う事を聞いて。ほ、ほら、早く脱ぎなさいよ!」
ーーー3分後ーーー
しのぶ「じ、じゃあ拭くわよ。」
カナエ「し、失礼するわね。」
八幡「お、おう……///」
結局2人の言う事には抗えなかった八幡は、大人しく身体を拭いてもらう事になった。今しのぶとカナエは八幡の上半身を拭いているのだが、見惚れてもいた。無駄の無い脂肪に引き締まった筋肉、こんな体型をしていると、1度は抱かれたいと思ってしまうだろう。
カナエ「……凄く良い身体ね、普段から鍛えているのがよく分かるわ。」
八幡「そ、そうかよ……///」
カナエ「この身体が……私達を守ってくれたのよね。傷だらけになりながらも、私達を一生懸命守ってくれた………」
しのぶ「極道には背中とか二頭筋、胸とかに刺青を彫ったりする人も居るけど、八幡のこの刺青は私の見てきた中では1番大きな背中に見えるわ。」
八幡「……俺がコイツを背負った理由は、龍じゃありきたり過ぎるからって理由で麒麟にしたんだが、1番の理由はこの麒麟の意味だ。」
2人「意味?」
八幡「あぁ……コイツの象徴は【聡明】【親愛】【仁愛】【平和】【守護】【得】【信義】とされているそうだ。その中で俺は【守護】に感銘を受けてこの麒麟を彫ってもらった。俺は仲間を誰1人として失いたくない。だから俺に出来うる限りの力で仲間を守り抜く。たとえ自分が傷だらけになったとしても仲間さえ無事でいてくれればそれでいい。」
2人は八幡がただ単にこの刺青を彫ってもらっただけではない事に少し驚いていた。八幡の覚悟、そして決意の現れなのだと認識した。
八幡「だが俺は……仲間を守れなかった。煉獄さんを……夜忍一派の人達を守れなかった。俺は極道としても、人としてもまだ半人前だ。だから俺はもっと強くなりたい。」
しのぶ「八幡、少なくとも八幡は私達を守ってくれたわ。その事を忘れないで。」
カナエ「そうよ八幡さん。貴方は私達を助けてくれた。ちゃんと救ってくれた。だから私達は生きてる。死んでいった煉獄君や夜忍の皆さんの分も頑張って生きましょう。それが私達に出来る、彼等に対しての償いなんだから。」
八幡「………あぁ、そうだな。」