狂三side
放課後になり、私達は本来であれば帰るところなのですが、お昼休みに新聞部の部長さんの父君の職場に案内させてもらう約束を立てておりますので、教室で待っております。一応の為説明をしておきますが、八幡さんはデータが盗まれないようにとUSBの中にデータを移行させています。PCの中にはデータは入っていません。なので見たければすぐに見る事が可能なのです。PCがあればですが。
「済まん比企谷、待たせた。」
八幡「いや、突然で済まなかった。あの時はマジで嬉しくてよ。」
「それはいいが、親父に何の用なんだ?」
八幡「それは親父さんと直に話がしたい。当然お前も同席してもらっても構わないが、一切の他言無用が条件だ。」
「そ、そこまでのものなのか?」
八幡「あぁ、そうだ。」
狂三「八幡さん、こちらで話していては時間が押しますわ。歩きながらでも。」
八幡「そうだな。早速案内を頼めるか?」
「あぁ。」
八幡「そういや取材の事だが、結局やれず終いだったな。」
「あぁ〜別にいいよ。必ずやんなきゃいけねぇってわけでもねぇし。けどもうあのゲームのネタはやんない方が良いかもな。皆からイタい目で見られてもやだし。」
八幡「虫扱いはいいのか?」
「俺さ、今だから分かってるけど、お前気が短いな奴にそれやるなよ?絶対殴られるぞ?」
八幡「あぁ大丈夫大丈夫、やり返すから。」
狂三「八幡さん、そこではありません。」
「比企谷、そこじゃねぇよ。」
絶対その後にしつこいくらい付き纏われるから、という警告ですわよ?
「まぁ比企谷なら、そういう奴が来ても適当にあしらってるかもな。」
八幡「あぁ、大抵の奴なら口で撃退出来るし。」
「………最近のヤクザってこんななのか?」
狂三「いえ、八幡さんが特殊なだけですわ。」
本当に、八幡さんが特殊なだけです。
ーーー新聞社ーーー
「着いた、此処が俺の親父が働いている新聞社だ。じゃあこっからはお前の仕事だからな。」
八幡「あぁ、恩に着る。それで……幾らだ?」キリッ
「いや要らねぇよ。案内くらいで金なんて。お前には悪い事したからそれでチャラでいい。」
八幡「………お前って意外と義理固いのな。」
ピンポーン
『はい。』
八幡「どうも、総武高等学校2年の比企谷と言います。すみませんが、○○さんは居ますか?」
『少々お待ちください。』
ガチャッ
「やぁ、お待たせして悪かっ……晴也?何でお前が此処に居る?」
晴也さん、というのですね。ですが名字が知りたいですわ。男性の方を名前で呼ぶのは抵抗がありますから。八幡さんは特別ですが。
晴也「親父。実はこの2人が親父と話がしたいって言うから案内したんだ。俺は道案内だけ。」
「お前な、頼まれたからって……一体何の用なんだい?今は何処も彼処もゲームだらけだ。それ以外の話でないのならあまり受け付けないよ?」
八幡「そうですか、じゃあこう言います。このゲームの真相について、知りたくはありませんか?」
「詳しく聞いてもいいかい?」
八幡「勿論です。」
「じゃあ中へ入って。あぁそれと、俺は古川だ。息子の晴也がいつもお世話になってるようだけど、よろしく頼むよ。」
八幡「改めて比企谷です。そして隣に居るのは時崎といいます、よろしくお願いします。」
ーーー応接室ーーー
古川「それで………ゲームの真相、だったかな?それはどういう事なんだい?」
八幡「この際なのでハッキリ言いますが、他言無用にお願いします。自分は極道組織の千葉仁堂会系・八十神会の総代を務めています。」
古川「ご、極道………」
八幡「まぁ今は暴力を起こそうだなんて思ってません。寧ろ嫌いですし。それで本題なのですが………このUSBに入ってます。失礼。」
八幡さんはノートパソコン横にあるUSB差し込み口に挿入して、データをPCと接続してからマウスを動かしてデータが入っているフォルダを開きました。
八幡「ゲームのタイトルはご存知だと思いますので省きますが、このゲームでは不可解な現象が起こってます。それは今現在およそ300人に及ぶプレイヤーが現実に戻っていない事。長い人で3週間ずっとゲームの中に居ます。流石に不自然です。運営に問い詰めても問題は無し。デモンストレーションで不具合が無いかどうかの検査も生中継で行いましたが、何も無かった。運営からの答えは『ゲームに夢中になり過ぎていると思われます。』の一言。素人の俺でも分かります、この回答は雑にも程がある。」
古川「………続けて。」
八幡「少し長くなると時間も勿体ないので、短く簡単に纏めながら進める事にします。この現象が起きたのはこのSDカードが原因です。このSDカードには装着者の個人情報を接続先のPCに自動移行する様に細工がされていて、その他にもログアウト不可の設定もされています。それと個人情報の自動移行ですが、これを見てください。」
八幡さんはPCを操作して脳が真ん中に映し出されて周りには数式や何かが映されている画面を出しましたわ。そして私も見た、感情欄も。
八幡「これは見て分かる通り人間の脳です。何故これが出されたのかといいますと、ココに注目してください。これは人間の主にある感情です。怒りや喜び、悲しみといった人間誰にでも当たり前に持っているものです。そしてココをクリックすると………」
八幡さんが左クリックをすると、脳に目掛けてオレンジ色の光線が発射されました。
八幡「今のはサンプルですが、これが本物だったらこの機械で脳に怒りのデータを送る事になっています。この脳を刺激する装置を使って、ゲーム内に居るプレイヤーに実験という名の名目で行う。例えば、ゲームで負けてしまった時のイライラしている時に怒りのデータを、欲しいものが手に入って嬉しい時に喜びのデータを、メンバーが居なくなって1人になっている時に悲しみのデータを、仮説ではありますが、このように脳に刺激を与え続けていたのではないかと思っています。そしてこちらを。」
八幡さんが携帯を置いて動画を出しましたわ。
八幡「これは自分と関係を持っている優秀な方が取ってくれた動画です。」
飯渕『お前達、今日は昨日伝えた通り作業スピードを早くするぞ。何か報告する事はあるか?』
『はい、昨日の時点で今行っている実験の約3割が完了しました!今のところ順調です!』
飯渕『よし、出来ればそのペースを上げるようにしろ。もし無理そうなら今のペースでも良い。他にいないか?』
『飯渕さん、今日はどうするんですか?雪ノ下家に行くんですか?』
飯渕『いや、もうやめておく。2度も誘いを断られたら流石に行く気にはならない。これからは研究に没頭する。僕も実験に加わる。雪ノ下陽乃のナンバーを教えてくれ。この子は僕が徹底的に弄ってあげないとねぇ〜、君のお母さんには色々とお世話になったからね〜。』
古川「………なんて奴等だ。」
八幡「今のを聞いて大体予想出来たとは思いますが、このゲームを開発した奴等の目的は人間の『感情と記憶の操作』という事になります。」
八幡、もっと色々教えてあげて!飯渕さんも喜ぶよ!