八幡side
八幡「まぁ別に急いで行く理由も無いからな、歩いて行くのもありか。っとその前に雪ノ下さんにも連絡を入れておくか。」
もしかしたら知らないかも………いや、あの人に限ってそれはないか。何でも知ってそうだし。
pipipi…pipipi…っ!
秋乃『もしもし、比企谷さん?』
八幡「はい雪ノ下さん、お疲れ様です。今何方に?病院ですか?」
秋乃『はい。先程看護師の葉山さんから陽乃の意識が戻ったとの連絡がありましたので、車で向かっている最中です。それと比企谷さん、ニュースやネットを拝見しました。その手腕、お見事でした。』
八幡「こんだけ世間を賑わせたんですから、どうせならこういうのも騒がせた方が良いでしょう?」
秋乃『ふふふっ、そうですね。比企谷さん、今は何方に居らっしゃいますか?そちらに向かいます。』
八幡「いえ、先に向かってください。陽乃さんも雪ノ下さんの顔が見たいでしょう。俺はこのまま向かいますから、お気になさらず。親子で積もる話もあるでしょうから。」
秋乃『………では、そうさせていただきます。比企谷さん、改めて娘を救っていただいた事、深く感謝致します。本当にありがとうございます。』
八幡「………はい。」
秋乃『では、後程病室で。』
………ふぅ、陽乃も目を覚ましてたか。良かった良かった、これでウチの組員の連中も目を覚ましてくれりゃあ後の字だな。あと残ってるのって何があったっけ?何かあったか?
雪乃「八幡君!」
八幡「ん?」
前を見ると、そこには黒い車から顔を出して俺の名前を呼んだ雪乃が居た。
八幡「おぉ雪乃、これから病院か?」
雪乃「えぇ、母さんからさっき電話があったから。姉さんが目を覚ましたって。八幡君は?」
八幡「後始末も終わったから、俺も今病院に向かってる最中だ。今日はバイク乗ってきてないから歩きで向かってる。お前の母ちゃんから一緒に行こうって言われたけど、寄り道させるのもアレだと思ったからよ、お前もすぐに迎えよ。俺はのんびり歩いて行くからよ。」
雪乃「いいえ、八幡君も乗って行きましょう。目的地は同じなのだから、一緒に行った方が都合が良いもの。」
………こりゃ引き下がらないだろうな。
八幡「分かった、じゃあ乗らせてもらう。すみませんが、よろしくお願いします。」
執事「はい。」
雪乃「じゃあどうぞ。」
雪乃に誘われて一緒に行く事になった。まぁ別に歩いていかなくちゃいけない理由なんてなかったから構わないんだけどな。
ーーー車内ーーー
雪乃「比企谷君、姉さんを助けてくれて本当にありがとう。凄く嬉しいわ。」
八幡「あぁ、素直に受け取っておく。まぁ今頃あの飯渕はカメラの前で喋りたくもない秘密をお茶の間の皆さんに暴露してるだろうさ。何せネットもTVもこれで皆知ってるわけだからな。」
雪乃「まだ流していない情報はあるの?」
八幡「ウチの組織の事は載せてない。そこまで細かく記載させたら流石に怪しまれるからな。まぁ奴はきっと俺等の事も言ってくるだろうから、そこは臨機応変にってところだな。」
そこは爺ちゃんに何とかしてもらうしかないな。引き入れたのは爺ちゃんだから、少なくともこういうのは代表的な立場の人間に任せるのが得策だ。
ーーー病院ーーー
胡蝶病院以外の病院に来るのは初めてだな……にしてもやっぱ多いな、それだけ今回のゲームで囚われた奴が多いって事か。
「っ!雪乃ちゃん?」
雪乃「っ!葉山さん!」
「来てくれたのね、良かったわ。お母さんならもう病室に向かっているわ。行ってあげて。」
雪乃「ありがとうございます。じゃあ八幡君、行きましょう。」
八幡「あぁ。」
……今のが葉山の母親か、あんま似てないな。っていう事は父親似なんだろうな。
ーーー陽乃の病室ーーー
雪乃「………」
八幡「………」
………ん?何で止まってるんだ?
八幡「おい、どうした?入らないのか?」
雪乃「……少し緊張しているのかしらね、1ヶ月ぶりに姉さんと話すから。」
八幡「緊張するもんなのか?」
雪乃「貴方は肝が座っているから緊張なんてしないでしょうけど、私はするのよ。」
八幡「……ったく仕方ねぇな。」
もうまどろっこしいから俺が開けよう。
ガラガラッ
雪乃「えっ、ちょっ!?」
八幡「今更緊張したってしょうがねぇだろ?お前の言いたい事、全部陽乃にぶちまけちまえば良いんだよ。一緒に行ってやるから、ほれ。」
雪乃「は、八幡君!」
扉を開けて奥に進む。そして中からは話声が聞こえていたが、そのまま進む。そして行き着いてベッドの方を見てみると、涙目になりながらも嬉しそうに会話をしている雪ノ下さんと、身体を起こして優しい顔をしながら雪ノ下さんを見ている陽乃の姿があった。
陽乃「っ!雪乃、ちゃん……八幡君……」
雪乃「………」フルフル
八幡「………ほら、行ってこいよ。」
雪乃「………」ポロポロ
陽乃「ごめんね、心配掛けちゃって。雪乃ちゃん、ただいま。」ニコ
雪乃「……うっ……うぅ……姉さんっ!!」ポロポロ
我慢の限界を迎えたのか、雪乃は陽乃の言葉が終わった途端に涙を流しながら陽乃のお腹に抱き着いて、静かに泣いていた。陽乃は困ったような顔を浮かべていたが、俺にはその顔が仮面だと気付いていた。俺から見る陽乃の顔は嬉しそうに、それでいて雪乃の頭を撫でながら優しく微笑んでいた。