八幡side
麗「そうなのですか、今は八幡の組に守ってもらっているのですね。」
秋乃「はい。娘1人が誘拐され、助けていただいた時にこの人なら信頼出来得る人だと直感し、決断しました。それからというものの、比企谷さんには何度も助けていただいてばかりで、何も出来ない私がお恥ずかしい限りです。」
麗「そうですね……この子程有言実行という言葉を体現している子は居ないと私も思っています。私も弟にはとても助けられていますから、成人となった今でも。」
秋乃「ふふふっ、どうやら私達は似通った部分があるのかもしれませんね。」
麗「そうですね。」
……やめて、この狭い車の中で俺の話をするのやめて。俺からしてみれば恥ずかしいだけだから。助手席に座っていても聞こえるんだからね?
都築「比企谷様、雪乃様や陽乃様もお車に乗った時は貴方様のお名前を口にして『早く会いたい。』というお言葉を呟く事が多いのですよ。」
……都築さん、貴方もか。
ーーー城廻インテリアSHOPーーー
秋乃「ふむ……確かに規模は△△社に比べると、お世辞にも良いとは言えないですね。」
麗「八幡、本当に貴方のオススメ出来るお店なのかしら?」
八幡「あぁ、中に入って見ればその違いがすぐに分かる。」
俺はそう告げてから2人を連れて中へと入り、希望している品がある所まで案内した。まずは雪ノ下さんからにした。
秋乃「っ!これは………」
八幡「何かありました?」
秋乃「このテーブル、とても良い作りをしています。色は黒で部屋に統一感が無くなりますが、逆に目立たせるように見させるような錯覚に陥ります。」
麗「確かに見ない作りね……こんな商品はどのカタログにも無かったわ。八幡、これはどの会社で作られているのかしら?」
八幡「それはどの制作会社でも作られてない。この会社個人で作っている自作品だ。」
麗「自作品!?それでこの完成度なの?」
八幡「あぁ。中にあるのは取り寄せた物もあるけど、この店を経営している家族はかなりの職人技術を持っていてな、これくらいのテーブルだったら簡単に作れちまうんだよ。俺も聞いた時は驚いた。因みに秋乃さん、このテーブルとセットになってるソファとクッション、全て手作りです。」
秋乃「まぁ………」
何で俺、この店の商品について教えてるんだ?別に店員じゃねぇのに。まぁいっか。
秋乃「……決めました、この一式を3つ程購入します。先程手作りと言っておりましたが、在庫はあるのでしょうか?」
八幡「そこは分かりませんね。めぐりとその母親に聞いてみないと……もしかしたら今作っているかもしれませんしね。」
麗「凄いのね、本当に……私も少し欲しくなっちゃったわね。」
さて、雪ノ下さんのお気に召した物が見つかったから、次は姉さんの寝具だな。
麗「このマット……低反発でも高反発でも無いのに、こんなにも弾むような感触なのね。」
秋乃「それにこの枕も先程のクッションと似た素材ですね。モチモチクッションという流行りの商品かしら?」
八幡「そのクッションとマットはモチモチクッションを題材にしたのをめぐりなりにアレンジを加えたものです。俺もさっきの店でモチモチクッションの感触を確かめてみましたが、こっちの方が格段に使い心地は良いですよ。」
麗(毎日八幡の事を思い浮かべながら眠るようにしているけど、この枕とマットを使ってみる価値はありそうね。もしかしたらいつもより気持ちよく眠れそうだわ。)
秋乃(私も何だか欲しくなってしまいました。寝付けないわけではありませんが、この感触がクセになりそうです。)
八幡(昨日見てても思ったが、疲れた時に顔を埋めたらすぐ眠れそうだよな、この枕。俺もこの枕買おっかなぁ………)
麗「決めたわ、これを買いましょう。」
秋乃「私も買いましょう。」
八幡「俺も買いです。」
それぞれ買う物を決めた俺達は商品の手続きを行う為、サービスカウンターに向かっている。
父親「いい加減にしてください!何度も言っているでしょう!このお店は城廻で通していくんです!」
めぐり「そうです!何度もお父さんを困らせるのはやめてください!!」
「貴方も物分かりが悪いですね〜。この回答はもう10回以上ですよ?譲ろうとは思わないのですか?」
父親「思いません!この店は僕の宝です!その宝を手放すような事は絶対にしない!!」
秋乃「あの方は△△カンパニーの社長ですね。」
麗「あら、あの会社の………」
「それと君はこの店長さんの娘さんかな?格好を見たところ従業員ではなさそうだが?」
めぐり「………お手伝いをしています。」
「成る程成る程、健気なお嬢さんをお持ちで。しかしね城廻店長、こんな子に楽をさせてあげようとは思いませんか?それと確か、創作もしているとか?」
父親「……それが何か?」
するとあの社長は近くにあっためぐりの作ったクッションを手に取った。何する気だアイツ?
「………こんな物が売れると?無駄な労力を使って作った品がこの程度の物なのだとしたら、この店の程度が知れますね。こんな物売れなくて当然だ。」
めぐり「あ………」
すると社長はめぐりの作ったクッションをパッと放した。クッションはそのまま床に落ちてしまった………
あの野郎………許さねぇ。
八幡「おい………」
「ん?誰だね君は?」
父親「ひ、比企谷君っ!!」
八幡「テメェ今なんつった?こんな物?無駄な労力?コレが売れなくて当然?そう言ったのか?」
「事実だろう?我が社の商品に比べれば、そんな手作りの小物など、ガラクタに過ぎないのだよ。」
八幡「あぁ、そうかい………」
八幡「ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞ、この屑野郎がっ!!」
「っ!!?」
八幡「テメェ何様だ!?人が丹精込めて作ったモンを平気で貶すような事しやがって………だったらテメェにコレが作れんのかよ!?そんだけ偉そうな事言えんのなら作ってみろや!!」
「な、何だいきなりっ!!私を誰だと思っている!!」
八幡「んな事知るかっ!!何処のお偉いさんだか知らねぇがな、お前の会社が出してる品より、此処の商品の方が良いって奴は少なくとも3人は居るんだよ!!それとお前、さっきこれが売れなくて当然だって言ったよな?今売れたぞ、しかもソファとテーブル一式を3つな!!」
「はっ!!こんな物を買う奴が3人も!?バカな奴が居たものだ!!そんな奴の顔を見てみたいものだなっ!!」
秋乃「此処に居ますが?」
「はぁ?……っ!!!?ゆ、雪ノ下社長!?」
秋乃「えぇ、私がそのセット3つ購入したバカな奴です。それともう1人、寝具を購入する方が私の隣に。因みに私もその寝具を購入します。」
麗「はじめまして、かしらね。【GraCieuX】総本店社長の比企谷麗という者よ。その売れなくて当然な物を買う予定のバカな人よ。」
「なっ!!?グ、【GraCieuX】総本店社長っ!!?」
驚いてやがるな……けどな、お前はもう驚くだけじゃ済まされねぇからな?
秋乃「△△カンパニー社長、貴方の行いはこの目でしっかりと見させていただきました。以前までは1人の会社の社長として交流をして来ましたが、それも本日限りです。本日同時刻を持ちまして、私雪ノ下建設代表取締役社長の雪ノ下秋乃は△△カンパニーとの提携を打ち切らせていただきます。」キッ
「なっ!!!?」
秋乃「そしてその代わりにこちらの城廻インテリアSHOPとの提携を希望いたします。」
父親「えっ!?」
流石は雪ノ下さんだ、こういう時の判断が早い。もう目星付けてたのかよ。
秋乃「冷たい言い方をしますが、貴方と貴方の会社との縁はもうこれまでです。手作りの品というのは、その人の気持ちがとても込められた品です。その品をあんな乱暴な発言や投げ捨てるような行為は決してしてはなりませんし、許していいものでもありません。今後この店舗への侵入は私が許しません。以後この城廻インテリアSHOPの後ろには我々雪ノ下建設が居ると知りなさい。」キッ!
「ヒ、ヒイイイィィ!!」
あっ、逃げた。
秋乃「確かこれを作ったのは貴女でしたね?」
めぐり「は、はい!」
秋乃「私はこのクッションと一緒のセット一式と寝具に使うマットと枕を高く評価します。なので気を落とす事はありませんよ。貴女はとても良い物を作ったのですから。」
麗「そうね、私もあの枕は気に入ったわ。新しくなる度にその品が気になってしまうくらいに、ね。貴女はもっと堂々としていれば良いわ。」
めぐり「……グズッ、ふ、ふえぇぇぇぇん!!」ポロポロ
感極まったのか、自分の作った物を此処まで評価してくれたのが余程嬉しかったのか、めぐりはその場で泣いてしまった。まぁともかく、あの屑野郎はもうこの店には来ないだろう。
祝!△△カンパニー撃退!!轟沈を確認!!