八幡side
ーーー千葉仁堂会本部ーーー
やっと着いた。けどこっから長い、此処では走るのは基本的には禁止だ。外でも中でも歩行が原則になっているから、どんなに急いでいたとしても、走るという下品な音を立ててはならないというのが、本部の掟の1つである。
『お疲れ様ですっ!!』
そして遅刻した俺なんかの為に残っていてくれている千葉仁堂会の構成員。本当にすみません。
ーーー本部内ーーー
………この扉の向こう側に俺以外の組長と若頭の皆様方が待っている。粗相の無いようにしなくては皆様に失礼だ。
ガチャッ
八幡「遅れて申しわけございません。比企谷組若頭、比企谷八幡。只今参上いたしました。」
狂四郎「おっ、来たな!ちょうどお前の話で盛り上がっていたところだぜ、八幡。まぁとりあえず今は姉さんの隣に行きな。」
白石「おいおいそりゃねぇだろうが。こんだけ俺等組長を待たせておいて何も無しか?それは虫が良過ぎるんじゃねえが?」
狂四郎「何だよ白石?まだそんな小せぇ事気にしてんのか?八幡は高校生だから授業があっから、遅れるって事は目に見えてんだろうが。それに、姉さんからもその説明はあった筈だぜ?」
白石「俺は納得してねぇよ。いくら高校生とはいえ極道は極道だ。上が絶対だ。その上の連中を待たせてんだ、遅れましたじゃ割に合わねぇだろ。」
八幡「………」
白石「大体よぉ、ソイツが此処に居る時点でもう「それ以上はやめてくださるかしら?」……あ?っ!?」
………ハッキリ言うと見えなかった。俺はしっかりと白石の叔父貴を見ていた。けど瞬きした一瞬で白石の叔父貴の後ろにカナエさんが居た。しかも叔父貴の左の首元に刀を突き出していた。
カナエ「流石にもう抑えられないわ。白石さん、貴方はそんなに偉い人なのかしら?八幡さんが遅れるというのは此処に居る誰もが承知済みの筈ですよ?それなのに何故延々とイチャモンをつけるのでしょうか?もしかしてさっき八千代様の口喧嘩で勝てなかった腹いせを八幡さんで八つ当たりしているのでありませんか?だとしたら非常に失礼ですが、組を束ねる人格ではありませんね。もし不満があるのでしたら、今すぐこの場を立ち去ってくださっても構いませんよ?その場合、空席になったこの席は八幡さんに座ってもらいますけど。」
白石「………」
カナエ「あら?お喋りはもう終わったんですか?さっきまであんなに饒舌だったではありませんか。もっと喋ってもいいんですよ?」
白石「い、いや……もういい。」
カナエ「そうですか………では私も刃を収めましょう。それともう1つお伝えしますね。私はネチネチ言う人がとても嫌いなんです。次からは気をつけてくださいね?じゃあ八幡さん、八千代様の隣へ♪」
八幡「はい。」
なんか………圧倒されたな、今ので。
???「揃ったようじゃな。ではこれより、緊急幹部会を始める。」
この部屋の1番奥に座っている人が、この千葉仁堂会の会長。比企谷修作。俺の祖父だ。そして初代比企谷組の組長でもあった人だ。
修作「今日、お前達に集まってもらったのは西の動きについてじゃ。」
八千代「まさか……動き出したんですか?」
修作「いや、そこまでには至っていない。だが侮れない動きは見せている。闇烏。」
闇烏「はっ。拙僧とその部下複数名が神戸連合の動きに探りを入れていたところ、神戸の中でも大きい派閥とされている工藤組が兵を集めていました。しかもあろう事か、神戸の三次団体、五次団体までも自分の傘下に加えていました。要は武力行使というものでござる。引き続き調査は続行していくつもりです。」
修作「うむ、ご苦労。皆、そういうわけだ。もしかすると近い将来神戸連合が動き出すやもしれん。周囲には気を付けよ。そして闇烏、お主の組員は連日の調査で疲労しておる筈。少しは休めよ。」
闇烏「しかし、拙僧を含めても隠密や調査に長けたのは20名程。今でも10名ずつで監視を入れている状況故、休ませるのは困難であります。代わりの者が居れば話は別でござるが………」
カナエ「それなら私の組の
八幡「俺の組員にも隠密に長けた者が1人居ます。ソイツを使ってやってください。」
闇烏「……かたじけない。」
一先ずはこれで夜忍一派の補給は出来たな。
修作「次に移る。各組の上納金についてじゃ。これが先月の結果じゃ。うむ、また比企谷組が伸ばしたようじゃな。」
八千代「いえ、この上納金の約3〜4割が比企谷組の傘下組織、八十神会による上納金です。」
修作「八十神会……」
八千代「若頭の八幡に組織を持たせました。シノギや、組織を運営するにあたっての勉強をさせている最中です。そして息子は今月だけでも前月の上納金を約10%上回る数字を出しています。」
修作「そうか………ならば今の内に多くを学ぶと良い。学べるのは学生の特権じゃ。」
八幡「はい。」
修作「そして次はーーー」
その後も会議は続いたが、後に母ちゃんから聞いたんだが、後半は定例報告会と一緒だったみたいだ。
ーーー幹部会終了後ーーー
八幡「カナエさん。」
カナエ「ん〜?あら八幡さん、どうかしたの?」
八幡「いえ、先程はありがとうございました。自分からでは切り出しにくかったもので。」
カナエ「いいのよ〜。八幡さんを悪く言う人は許せないし、白石さん嫌いだもの。」
八幡「あはは……」
カナエ「そ・れ・に〜八幡さんになら、いつでも力を貸してあげたいもの〜♪」ダキッ!
八幡「っ!?」
しのぶ「ね、姉さん!!?」
カナエ「あらあらごめんなさいね?八幡さんだとつい抱き締めたくなっちゃうのよね〜うふふふっ♪」
八幡「い、いえ……」
カナエ「じゃあ私達はそろそろ行くわ。怪我をしたらいつでも胡蝶病院にいらっしゃいね。その時は私が手厚く処置をしてあげるから♪」
しのぶ「はぁ………姉さんは。じゃあ八幡、また今度会いましょう。」
………カナエさん、すげぇ良い匂いだった。花の匂いだよな?あんなに良い匂いすんの?
狂四郎「よう兄弟。」
八幡「っ!狂四郎さん。」
狂四郎「さん付けなくてもいいんだけとな……まぁ今はいいか。」
八幡「さっきはありがとうございました。白石の叔父貴の時に……」
狂四郎「良いんだよ。俺もあの野郎は好きじゃねぇ、同じ比企谷組の出身とは思えねぇよ。」
そう、狂四郎さんも元々は比企谷組の出身だった人だ。そこから2次団体に独立して、今では直系の組織にまで上り詰めている。
狂四郎「上納金の結果だって見たろ?奴んとこ全く稼げてねぇじゃねぇか。あれで偉そうな口利いてんだからよ、こっちだって気分悪くなるぜ。そんな口聞くんだったら、もっと納めるもん納めてから言えって話だぜ。」
八幡「狂四郎さん、聞こえますよ。」
狂四郎「構わねぇよ。好き放題言っちまっていいよ。俺だって奴の事、諦めの悪くて学習能力の無い猿って思ってるからよ。」
八幡「それ、もう悪口ですよ。」