八幡side
夜架「八幡さん、こちらを。」
八幡「ん?」
夜架「バレンタインのチョコです。皆さんきっとアレンジしてお作りになると思いましたので、私も趣向を凝らしてこちらにしてみました。」
夜架が俺に渡してきたのは、プリンだった。しかもチョコのプリンで、頂上にはホイップクリームとカットした苺も乗せられていた。
八幡「……美味そうだな。このプリンはお前が?」
夜架「はい。」
八幡「菓子作りも出来るなんてな………逆に作れない物ってあるのか?そっちが疑問に思えてきた。」
夜架「作れない物なんて山程あります。それよりも八幡さん、召し上がっていただけませんか?」
八幡「こんな美味そうなのを出されたら食べるしか無いだろ。それにそうでなくてもバレンタインのチョコは残さず食べる事にしてる。んじゃあ早速いただくぞ………あむっ。」
口の中にプリンを入れた瞬間、チョコの甘味が広がった。しかも甘過ぎず、程良いチョコの甘味が効いている。食感もプリンとスポンジ生地を合わせたような感じで、食べ応えのある物になっていた。
八幡「うんまっ!何だこりゃ?どうなってんだよ………むちゃくちゃ美味ぇぞ。」
夜架「そ、そうですか?」
八幡「あぁ、もしこれを店に出したら売れる事間違い無しだな。俺はそのくらい美味いと思うぞ。これなら何個でも食えそうだ。」
夜架「でしたらお代わりも作ってありますので、お食べになりますか?」
八幡「いいのか?他の奴等には渡さないのか?」
夜架「お世話になっている方々には既に別の品をお渡ししています。これは八幡さんにだけ特別に、です。ふふふっ♪」
俺だけの特別………小町、お前にも食わしてやりたいって思ったけど、ごめんやめたわ。夜架の想いを聞いたらそうしてやれそうに無い。
後は正直に言うと、誰にも譲りたくないという俺のわがままでもある。
その後俺は夜架のチョコプリンを3つ程頂いて、少し遅いタイミングで家族も夜架の飯を食すと、大絶賛していた。小町が冷蔵庫の中でチョコプリンを見つけたのだが、夜架から『八幡さんの為に作った特製のプリンですので、食べてはいけませんよ?』っと釘を刺されていた。小町からは『食べたい!』という視線を送られたが、俺もあのプリンを独占したいから敢えて無視をした。
「しっかし若も大したもんです!組み立ち上げてからまだ1年も経ってねぇのに直系なんですからね、流石は親父の息子でさぁ!」
八幡「3年前の親父が居なくなって俺が代行だった時の事を思い出すな。お前が俺に『親の七光りにぁ、組を継ぐなんて無理なんじゃないですかい?』って言ってたのをよ。」
「わ、若っ!それは言わねぇでくだせぇ!今でも思い出すんです、俺ァ親父と同じくらいのカリスマを持ってる若にあんな事言っちまったのかぁって。」
八幡「別にいいって。お前等がその時思ってる事は正しいしよ。けどまぁ、俺もそこまで言われたからには何も言えなくなるくらいお前等を動かしてやるとは思ったけどよ。結果は、まぁこの通りだな。」
「えぇ、御見逸れしました!」
夜架「八幡さん、此方においででしたか。」
八幡「何かあったか?」
夜架「いえ、お湯が沸きましたのでそのご報告をと思いまして。」
八幡「そうか、ありがとな。じゃあまた世間話にでも付き合ってくれ。」
「へい、俺で良ければ喜んで!」
さってと、風呂だ風呂〜。
八幡sideout
夜架side
「……アンタも若の正妻を狙ってんのかい?」
夜架「はい。八幡さんは魅力的という範疇を超えていますから。それに、待つだけでは逃げられてしまいますので、私は私の出来る範囲で攻めるのです。」
「はっはっはっ、若も大変だな。こんだけの女に囲まれてよ。しかも全員が美人と来たもんだからな。若も真剣になんのは当然か。」
夜架「?そのお話、本当ですか?」
「あぁ。俺も親父から聞いた事だから詳しくは知らねぇんだけどよ、若は今それで頭を悩ませてるらしい。アンタを含めて10人も居ると来たもんだ。若も今や組織を支える直系組長の1人、跡継ぎや後継者を作るにしても、結婚の事も考えねぇといけねぇって事だ。まぁ全員囲んじまえばいいって話にもなるが、若はあぁいう性格だからな。」
………
「けど若なら良い答えを出してくれるんじゃねぇか?今の直系の幹部連中の殆どを認めさせちまう程の男だ、間違った答えは出さないと俺は思うぜ?」
夜架「………そうですね。私が付き従っている人はそういうお方ですから。」
ーーー風呂場ーーー
八幡「………お前さぁ、何で俺が居るのにこうも淡々と風呂場に入って来られるわけ?俺に裸を見られるの恥ずかしくないのか?」
夜架「寧ろ八幡さんには隅々まで見て欲しいと思っています。それに今更ではありませんか。私の身体を隅々まで洗ってくださいましたし………残す事はもう1つしか無いと思いますが?」
八幡「………頼むからやめてくれよ?」
夜架「八幡さんさえ望んでくだされば、私はどのような行為でも喜んでお受けいたしますのに………八幡さんは焦らしがお好きなのでしょうか?」
八幡「焦らした覚えはねぇし、好きでもねぇよ。」
夜架「では夜架がお嫌いですか?」
八幡「いや、嫌いだったら俺の組に入れてねぇから。半端強制みたいな形で入れちまったけどよ。」
夜架「では何故?」
八幡「………さぁな。」
夜架「………では八幡さんが私達を大切にしたいからという事で手を打たせてもらいますね。」
八幡「………もうそれでいいわ。」