やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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散歩

 

八幡side

 

 

八幡「………」

 

 

はぁ………全く、嫌な事があったもんだ。好意も抱いてない相手に交際を申し込む奴がいるわ、中学の頃を聞き出してくるわで、最悪だ。俺にとっては思い出したくもねぇ事だってのによ。なんかストレス発散出来そうなとことかないもんかねぇ………なさそうだな。

 

 

八幡「はぁ……無意識に溜息が出るな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「あら、八幡さんではありませんか。」

 

八幡「ん?」

 

???「私の事、お忘れですか?」

 

八幡「忘れるわけねぇだろ、久し振りだな有栖。」

 

有栖「はい、お久しぶりですね。所で、八幡さんはどうしてこんな所に?」

 

 

目の前にいる少女は千葉仁堂会相談役にして直系坂柳組組長の孫娘の坂柳有栖だ。天才的な頭脳を持っていて、彼女の頭脳戦略もあって、坂柳組のシノギに関しては比企谷組に次ぐ2番の稼ぎ頭だ。ちなみに俺と同い年の同じ小学・中学の出身だ。高校は別だが。

 

 

八幡「ちょっと知り合いの奴にお誘いをもらったんだが、これがまたイラつく話でな。」

 

有栖「………と言いますと?」

 

八幡「好きでもないのに付き合ってくれだの、組織同士の繋がりを強くしたいから婚約してくれだの、中学時代の事を教えてくれだので、疲れたわ。」

 

有栖「………それは災難でしたね。八幡さんの過去を知る者としては、余り許せるものではありませんね。他人のプライバシーに関する情報を聞き出そうとするなんて。」

 

八幡「中学時代の事は教えていないが、教えても問題ない事は教えたけどな。それよりも、お前こそ何してんだ?こんな所で。」

 

有栖「日課の散歩です。」

 

八幡「………護衛も付けずに?」

 

有栖「1人で散歩したい時もありますから。ですが、今ちょうど良いSPを見つけたところです。」

 

八幡「………今日は1日オフだ。付き合うぞ。」

 

有栖「ありがとうございます。」

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

しかし、いつ振りだろうか……有栖とこんな風に並んで歩くのは。多分2年以上前だよな。

 

 

有栖「……?どうかしましたか、八幡さん?」

 

八幡「いや、こうやって歩くのはいつ振りだろうって思ってた。中学の頃はよく一緒に登下校してたからな。ちょっと懐かしくてな………」

 

有栖「そういえばそうでしたね。ですが、あの中学には良い思い出は少ないです。良い思い出は八幡さんと過ごした日々、良くない思い出はあの時あの学校にいた醜い方達の笑い声や蔑んだ笑みでしたから。あの声や笑みを聞いて何度潰してあげようと思った事か………」

 

八幡「もういいだろ、終わった事だ。それに卒業式で思い切りやったから問題ねぇよ。全校生徒、卒業生の親がいる前で暴露したから良いんだって。」

 

有栖「八幡さんのおかげで教室に戻った時にはお通夜のような状態でしたが、私はとても気分が良かったです。ようやくこれまでやってきた事のツケが飛んできたと清々しました。」

 

 

おかげで校門前は地獄絵図だったな。喜ぶはずの親は子供を叱りつけたり、俺に謝りにくる親がいたり、仕舞いには子供に土下座をさせる親もいた。別に頭下げられても嬉しくねぇからどうでも良かったけど、ちょっと気分は晴れてたな。

 

 

有栖「私は信じていましたから。八幡さんはあんな事をする方ではないと。小学・中学と貴方をずっと側で見てきた私が言うんですから、間違いありません。八幡さんと長くお付き合いしているのは、家族の方々を除けば私なんですからね。」

 

八幡「………そうだな。」

 

有栖「それにしても八幡さん。最近八幡さんの周りには女性が多いようですね?」

 

八幡「?どういう事だ?」

 

有栖「誤魔化せませんよ?八幡さんの組員を始めとして、時崎組のご令嬢 時崎狂三さん、胡蝶組組長 胡蝶カナエさんに若頭のしのぶさん、若頭補佐のカナヲさん、今通われている総武高校の同学年で国際教養科の雪ノ下雪乃さんとその姉の雪ノ下陽乃さん、その1つ上の現生徒会長 城廻めぐりさん、分かっているだけでも10人以上はいますが、ご婚約はされていないのですか?」

 

八幡「いないな。可能性があるとすれば、同じ組織にいる狂三、カナエさん、しのぶ、カナヲ、そしてお前だな。他は今の所あり得ない。」

 

有栖「……その中で今1番というなら誰です?」

 

八幡「………難しいな。悪いが答えられない。何せ回答が回答になってないからな。1番が2人いる。」

 

有栖「成る程、確かに答えになっていませんね。分かりました、保留にしておきましょう。」

 

八幡「それ、絶対いつか聞く奴だろ……」

 

有栖「さぁ、どうでしょうか?」

 

 

ーーー数時間後ーーー

 

 

有栖との散歩を終えた俺はまっすぐ家に帰っている。他にやる事がないからな。けど良い気分転換にはなった。いつもは巡回という形でしか街を見ないから、こんな風にのんびりしながら街を歩くのも悪くはなかったな。

 

 

雪乃「あら、比企谷くん。こんな所で奇遇ね。」

 

八幡「………姉の次は妹か。」

 

雪乃「?姉さんに会ったの?」

 

八幡「あぁ。付き合ってくれだの婚約してくれだの言われたな。」

 

雪乃「っ………貴方は受けたの?」

 

八幡「受けねぇよ。アイツ選ぶんだったら、お前選んだ方が100倍良い。」

 

雪乃「そ、そう……///」

 

八幡「お前は下校途中か?」

 

雪乃「えぇ、そうよ。貴方は………いえ、プライバシーを探るのはいけないわね。また明日、学校で会いましょう。さよなら。」

 

八幡「あぁ、じゃあな。」

 

 

 

 

 

 




はい、というわけで『よう実』から坂柳有栖さんを引用しました!因みに有栖さん、病気は無しにして普通に運動できます。だから杖も無しです。


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