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ーーー警察本部ーーー
「何っ!?第一と第三の五小隊が全滅だと!!?一体何があったんだ!?」
『………奴等の気配が無く偵察として向かわせたところ、息を殺して我々を待ち伏せしていた模様。しかも武装をしていて、刃物だけでなく銃も扱っていました。拳銃だけしか対抗手段を持ち合わせていなかった我々はどうする事も出来ず………申しわけありません。』
本部に位置している司令塔は今の報告で困惑していた。まさかここまでするとは思っていなかったのだろう。幾ら極道とはいえ、全員が簡単に人殺しをするとは………それも、楽しんで殺している事に。
「……いや、謝る必要は無い。五小隊の遺体は?」
『敵の本拠地の前でそのまま放置されている為、未だ回収が出来ていません。』
「了解、君達は引き続き監視を行ってくれ………ふぅ、どうやら私達の判断が甘かったようだ。少し奴等に情けを与えていたようだ。」
「本部長、まさか……!」
「……あぁ、そのまさかだ。」
「奴等はもう極道や犯罪者といった生易しい連中ではない。最早テロリストだ!陸上自衛隊の派遣を要請する!」
『っ!!』
これはもう極道の事件を大きく逸脱していた。最初は襲われている市民の救出だったが、今ではどうか。仲間である警察官が60人も犠牲となった。罪に問われる事になったとしても、この怒りが収まる事は無いだろう。
天元「……またなんかやべぇ事になりそうだな。自衛隊って言葉が聞こえたぜ。」
妓夫太郎「どうすんだぁ?お前の大将が来たとしても、サツと奴等の戦争がとっくに始まってる頃だぜ?それにだ、もう俺達が関わる事もねぇんじゃねぇのか?」
天元「普通ならな。けど俺も極道の端くれだ、やられたままノコノコと引き下がれねぇよ。それに俺を助ける為、そして奴等を潰す為に各地から援軍が来てんだ。奴等根絶やしにするまで終わらねぇよ。」
妓夫太郎「……まぁ、だろうなぁ。お前等の立場を考えればなぁ。」
天元「だから少し話をする。」
妓夫太郎「………話?」
天元「つぅ訳だ。お互いに奴等を潰したいって考えは一致してるわけだから、どうだ?俺等と手を組まないか?」
「……君も極道、というわけかね?」
天元「あぁ、そうだ。けど奴等のようなヤバい事は一切してねぇ。話が逸れたが、今俺の仲間がこっちに向かってる。数は大体で言うが、12,000人だ。勿論銃も持っている。戦争だからな、奴等もこのくらいの用意はしてるだろうと思ってたしな。俺がアンタ達に求めるのは、手を組む代わりに、俺達の殺人や銃刀法に一切口出ししない事、事が終わっても逮捕しない事、まぁそのくらいだ。それを約束してくれんのなら、俺達も力を貸すぜ。
八幡『あぁ、俺は……いや、ウチのアタマもその方が良いと考えている。俺等は警察が居ようと居まいと奴等を全滅させるつもりで富山に向かっている。無論、警察に危害を加えるつもりは無い。』
「……君の意思は分かった、だがそれは君の言葉に過ぎない。私も警察官、その言葉を鵜呑みにできる程、極道を信用しては『おいおい、何寝惚けた事言ってんだ?』な、何?」
八幡『そんなの当たり前だろ?利害が一致してるから一緒に戦おうってだけで、他は何にもねぇよ。それに俺は北陸豪汪会に憤りを感じている。無関係だった警察を簡単に殺すような真似をして、のうのうと生かしておいていいのか?俺は御免だぜ?同じ思いを持ってんのなら、手を組むべきなんじゃねぇのか?』
「………」
八幡『答えはアンタに任せるぜ。アンタがどっちの選択をしようと、俺等は俺等で奴等の殲滅に動く。ウチの仲間に手を出したんだからな、それなりの代償は支払ってもらわないとな。』
そして電話は切れた。結果、八幡達と警察の協力は保留となり、その判断は警察本部にいる指揮官の本部長に任される事になった。
天元「……まぁ俺の総代からだ。こっからはアンタ次第だ。どっちでもいいが組まなかった時は、アンタの仲間がウチの流れ弾によって死ぬって事も想定しておけよ?極道同士の戦争なんだ、サツが介入してきたらどうなるかなんて、経験がなくても分かるだろ?」
「………」
(協力してくれるのは正直にありがたいが、彼等もまた極道だ。簡単には信じられない。ましてや裏切る可能性だってある。しかし他に道が無い……自衛隊を派遣するにしても、それまでの時間はどうする?待機させるか?いや、そうしたら仲間をいつまでも死地に置いておくようなものだ。どうする………どうする!?)
妓夫太郎「難しく考え過ぎなんじゃねぇのかぁ?」
「っ!?き、君は……」
妓夫太郎「警察の定義っつーのを考えてみろよぉ。俺はサッパリだが、警察の仕事ってのは民を守る事だろぉ?もっとあるんだろうが、奴等と戦おうとしているアイツの仲間を守るのも、アンタ等の役目だとは思わねぇかぁ?手を組めば、奴等の仲間だってアンタ等を守ってくれるかもしんねぇだろぉ?これからの事じゃなくてよ、今の最善を尽くす事を考えたらどうだぁ?」
「今の最善を………」
妓夫太郎「まぁ俺も、宇髄が戦うってんなら俺も戦う。奴には恩があるからな。」
妓夫太郎はそれだけ言うと、すぐに行ってしまった。だが本部長は何かを感じ取ったのか、すぐに行動に出た。
「宇髄君、彼の話を呑もう!細かな話し合いをしたい、もう1度繋げてはもらえないだろうか?」