雪乃side
……久しぶりに実家からの呼び出しだけれど、何かあったのかしら?それに姉さんも呼ばれているみたいだから一緒に雪ノ下家の車に乗って実家に向かっているのだけれど、都築に聞いても何も答えてくれないのよね。
雪乃「姉さんは母さんから何か聞いていないの?」
陽乃「なぁ〜んにも。私もお母さんから連絡があったんだけど、何も聞かされてないから。跡目の話かなぁ?私この前お母さんに八幡君のお嫁に行っちゃうって言っちゃったしさ。」
雪乃「そんな事を言ったのね……けど今考えても仕方ないわね。家に着くまでお預けって事ね。」
ーーー雪ノ下家・応接室ーーー
都築「奥様、雪乃お嬢様と陽乃お嬢様をお連れして参りました。」
秋乃『入りなさい。』
都築「はっ、失礼いたします。」
雪乃「失礼するわ……っ!葉山君、それに葉山の小父様も居らしてたのですか。」
陽乃「えぇ〜隼人が居るの〜?あっ、小父さんもお久しぶり〜。」
葉山父「久しぶりだね、雪乃ちゃんに陽乃ちゃん。見ない間にまた綺麗になったね。」
陽乃「またまたぁ〜お上手ですね〜!」
秋乃「雪乃、陽乃。此処に来て早々で申しわけありませんが、此方に座りなさい。我々のこれからについてのお話よ。」
我々………母さんにしては妙な言い方をするのね。我々というのは私達の関係について?それとも会社について?色々な意味が捉えられるわ。
秋乃「……さて、ではお話させてもらいます。今現在、葉山さんの息子さんの隼人君には、ウチの娘の雪乃と陽乃と婚約させているのはご存知だと思われます。」
葉山父「えぇ、こちらとしても息子と雪ノ下さんの娘さんの何方かと婚約をさせていただき、とても嬉しく思っております。」
秋乃「こちらこそ昔からのお付き合いもありますから。隼人君も娘と仲良くしてくれてありがとう。」
葉山「いえ、とんでもないです。」
秋乃「そこでお話があります。」
……この話の流れ、まさか私か姉さんのどちらかが葉山君と?
秋乃「ウチの娘達2人との婚約、そちらの破棄をお願いしたいのです。」
葉山「えっ!!!?」
葉山父「………」
雪・陽「っ!!」
婚約の破棄?母さん……今の話の流れでどうしてそんな話にっ!?
葉山「ま、待ってください小母さん!!破棄って一体どういう事ですかっ!?」
葉山父「落ち着け隼人。雪ノ下さん、婚約の破棄を要求されるという事はそれなりの理由がある、という事ですよね?詳しくお聞かせ願えませんか?」
秋乃「勿論です。そうですね、理由はいくつかありますが、個人的に言わせてもらうとすれば、『娘の幸せを願っているから』でしょうか。」
葉山父「……続きを。」
秋乃「勿論これまでも娘達の事を思って色々な事をさせてきました。しかしそれが逆に娘達を追い詰めていました。いつしか心を閉ざすようになり、私も娘達と次第に距離を置くようになっていました。そんな時、陽乃がとある組織に誘拐されてしまったのです。」
葉山父「誘拐っ!?」
秋乃「はい。幸にして怪我はありませんでした。それは1人の少年によってもたらされたものです。」
葉山父「ほう……その少年とは?」
秋乃「比企谷八幡。千葉……いえ、この関東地区で1番の極道組織である千葉仁堂会の構成員であり、現在は直系組織をお抱えになってる人物です。雪乃と同じ総武高校生でありながら極道の仕事を兼任している方です。」
葉山父「ほう、極道………ですか。」
秋乃「それだけ聞けば不安になるのも頷けます。しかし彼が私達雪ノ下家を助けていただいたのはこの1度ではありません。今し方述べた誘拐の前にもひと騒動ありました。その後は文化祭、ゲーム内誘拐事件、そして阿保露組の誘拐事件、他にも小さい出来事はあるとは思いますが、比企谷さんからはこれだけの数ある大事件から娘を救っていただきました。極道でありながらその人柄、頭の回転、統率、様々な力の使い方、交渉能力、その他まだ幾つもございますが、私から見ても大変好ましい方と言えます。」
葉山父「成る程、そして雪ノ下さんの娘さんお2人も彼に好意を持っていると?」
秋乃「その通りです。」
葉山「っ!?」
雪乃「か、母さん……///」
陽乃「ぶっちゃけるね〜。」
秋乃「その比企谷さんのおかげで私達家族の中も大変改善されました。娘達の心からの笑顔を見たのはあの時、何年振りだったか………楽しそうに笑う2人を見ていると、話題になるのは比企谷さんの事なのです。共通の話題になって話を進めていく2人を見ていると自然と笑みが溢れ、私も自然と笑うようになりました。」
葉山父「それは……相当な人格者のようですね。」
秋乃「比企谷さんからは家族の大切さや心からの笑顔というものを教わりました。そうですね?」
陽乃「そうだね〜。あの誘拐があった後から、私達ずっと八幡君の話してたもんね〜。無茶ばかりするとか、極道なのに優しいだとか、色んな事を話してる内にいつの間にか気まずいのが無くなってたよね。」
雪乃「……そうね。私も最初は彼が気に食わない人だと思っていたけれど、【雪ノ下】ではなく【雪ノ下雪乃】を見てくれていると知った時から変わったと思うわ。彼と居たり話したりするのは楽しいし、その話題で話が盛り上がるのも楽しかったわ。」
あの時の事は今でも忘れないわ。八幡君が私個人を見てくれていると知った時、どれだけ嬉しかったか……その時からなのよね、八幡君を意識していたのは。
秋乃「……このように娘達からの評価も高く、私のような大人相手にも物怖じせずに向かってくる胆力も評価出来ます。」
葉山父「………隼人、お前に1つ聞きたい。お前がここ最近で雪乃ちゃんか陽乃ちゃん、どちらでもいい。心からの笑顔にさせた事はあるか?」
葉山「そ、それは………………無い。」
葉山父「そうか………雪ノ下さん、単刀直入に聞きます。最大の理由をお聞かせくださいませんか?」
秋乃「……ふふっ、失礼。やはり葉山さんには分かってしまいますか。」
葉山父「これでも長い付き合いです、それなりには理解しているつもりですので。」
秋乃「分かりました。では言いましょう、最大の理由は2つあります。それは先程も申した通り、『雪乃と陽乃が好意を持っているから。』そして『比企谷さんなら娘2人を幸せに出来ると信じているから。』でしょうか。これも私自身の答えになりますが、娘達を見ての判断と思ってください。」
葉山父「………そうですか。成る程、よく分かりました。そうであれば、私達の答えは1つしか無いでしょう。」
葉山父「婚約の破棄は私も賛成する事を宣言いたしましょう。」