八幡side
ーーー放課後・自宅ーーー
八幡「ただいま〜。」
「お帰りなさいませ、若っ!!」
いつもお出迎えご苦労なこって。やらなくてもいいって言ってんのによ。
八幡「親父は?家にいるか?」
「はい、御自室に居られるかと。」
八幡「そうか。」
ーーー父親の部屋前ーーー
八幡「親父ー、いるか?」
父親『?八幡か?どした?』
八幡「いや、この前話があるって言ってただろ?それを聞きに来たんだ。」
父親『あぁ〜そんな事も言ってたな。おう、構わず入れや。』
八幡「邪魔するぞ〜って母ちゃんもいたのかよ。」
八千代「あら、私がいたら変?」
八幡「いやそんなことはねぇけどよ。あっ、母ちゃん。取り敢えず今月のあがり、貰った分を確認したけど、間違いはなかったぞ。」
八千代「あぁ、ありがとね。」
八幡「別に良いって。学校は退屈でしょうがないからな。んで親父、教えてくれよ。」
父親「あぁ。今日はゆっくり出来るし、のんびりしながら話そうか。」
この人が今、俺たち比企谷組を支えている大黒柱である人だ。千葉仁堂会直系 比企谷組二代目組長
比企谷涼だ。
そして千葉仁堂会の若頭でもある人だ。要は組のトップでもあり、この全組織のナンバー2の立ち位置にいる。
涼「お前に話したいことっていうのはな……お前に1つ組を任せたいと思ってな。」
八幡「はぁ!?組!?おいおいちょっと待てよ!俺はまだ高校生だぞ!?んな突然組を持てなんて言われても動かせるわけねぇだろ!」
涼「そうか?俺はお前なら可能だと思ってるけどな。理由ならあるぞ。俺が他の地域に盃交わしに行ってる間、誰がこの組を仕切ってた?八千代か?それとも他の連中か?」
八幡「………」
涼「お前だろ?比企谷組を仕切ってばかりか、お前は俺の居ない2年の間、組の体制や士気、しかも新しくケツモチ持ってるとこの見回りの強化をしたおかげで、あがりの上納金が全体で20%も上がっていた。そんなお前が1つ組を持ったとしても何の問題もないと思うけどな。」
八幡「……けどよ、俺はまだ学生だ。いない時の方が多い。その間の指揮はどうすんだよ?」
涼「ンなもんお前が決めろよ、お前の組なんだからよ。」
うわぁ……もう作る気満々だよ、このオヤジ。
八千代「私も涼に賛成だよ。あんたにはただの若頭じゃ収まりがつかないからね。それに2年前のあんたの影響か知らないけど、下の連中の、特に若い子の中には『若が組を作ってくれたら、俺は喜んで力になるぜ!』って言ってるのもいるからね。」
涼「オメェはそれだけの価値があるって思われてんだ。下の連中の為にも組、持ってくれねぇか?」
八幡「………」
八幡「分かった、親父がそこまで言うのなら俺も覚悟を決める。組内で組、持つよ。」
すると親父と母ちゃんは満足したように頷いた。
八千代「それでこそ、私と涼の子ね。それで、あんたの組に入れようと思ってる人だけど、八幡は誰かいる?」
八幡「そうだな………なら、若中を10人くらい。母ちゃんのとこで勉強してる奴が1人欲しいんだけど、もらって行っても大丈夫そうか?」
涼「随分少ないな……もっと持っていっても良いんだぞ?」
八幡「いや、それじゃあダメだ。今の若い奴らにもシノギのやり方を教えねぇといけないからな。今の人選は取り敢えずシノギに触れてない奴らを選んだ。1からシノギについて教えて稼がせる。」
八千代「出来るの?」
八幡「その為に母ちゃんの所で働いてる奴を指名したんだ。本部長直々のシゴキを受けている奴なら皆を平等に見られる。それに、親父の下で働いてるんだったら尚更な。」
涼「よし分かった。取り敢えずはそいつらだな。俺から声を掛けておく。事務所も準備しておくから、そこから始めてみろ。」
八幡「あぁ。」
………さて、俺もシノギについて改めて勉強しねぇとな。若い奴らに指摘されて答えらんなかったら示しがつかねぇからな。
八幡sideout
八千代side
涼「引き受けてくれてよかったぜ。これで俺も少し楽ができる。」
八千代「何言ってんのよ。あんたが人抱え込みすぎていつの間にか組を大きくし過ぎたんじゃない。どっかの組に上げたりとかしないわけ?」
涼「それも考えたけどよ、あいつらここが気に入っちまってるみたいでな。無理に行かせたら絶対辞めるって。だったら八幡に持たせるのが1番だって考えたんだよ。」
はぁ………こいつは全く。今日の晩御飯は抜きかしらね?
八千代sideout
???side
???「このボンクラ共がぁ!!」
「ぐわぁ!!」
???「お前ら何人だよ!?これだけ兵力をつぎ込んでも、まだ比企谷組のシマの一部すら手に入れられねぇのか!?」
「す、すんません親父!!」
???「ちっ!使えねぇ奴らだ!おい大藪、次はお前が行け!!お前の抱えてる奴ら全員投入させても構わねぇ!!それで比企谷んとこのシマ手に入れて来いや!!」
大藪「へ、へい!!」
マジで使えねぇ………しかしどんだけ強えんだよ比企谷組は。こんだけ攻めてんのにビクともしねぇ。付け入る隙すらねぇってのかよ。
大藪「あの、白石の親父。」
白石「あぁ?何だ?」
大藪「昨日帰ってきた奴らから聞いたんですが、奴らが連れ去ろうとして失敗したあの女ですが、どうも比企谷組のシノギで1番の稼ぎ頭の令嬢みたいです。そいつさえ捕まえれば、俺たちにも勝機があると思います。」
白石「ほう……出来んのか?」
大藪「はい。」
白石「ようし……なら直ぐにやれ。明日だ、明日すぐに取りかかれよ。」
大藪「へい!!」