やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

35 / 321
お昼終わりと作戦

 

 

雪乃side

 

 

八幡「すぅ……すぅ……」

 

雪乃「………」

 

 

よく眠っているわね。こうも気持ちよさそうに眠っているのを見ると、何だか起こしにくくなってしまうわね。それで彼、無意識だと思うのだけれど、私の手を握って離さないのよ。強く握っているわけでも、引っ張るわけでもなく、ただ握っているだけなのだけど、私にはこの手を自分から離すことができないでいる。惚れてしまった弱みというものかしら?

 

 

平塚「入るぞー、雪ノ下。」

 

雪乃「先生、ノックをお願いします。それと今はお静かにして下さい。」

 

平塚「ん?何故………って、おいおい。その子はこの学校で知らない者はいないとまで言われている比企谷ではないか。何故此処に?それも寝ているようだが?」

 

雪乃「睡眠不足でしたので、寝場所を提供しただけの事です。それに、彼には少なからず恩義もありますので。」

 

平塚「気にはなるが、個人情報は聞き出さないでおこう。しかし、君がこんな行動に出るとはやはり意外だ。以前の君だったら考えられなかった。」

 

 

以前の私………そうね、比企谷くんに出会う前の私だったらこんな事は絶対にしない。その辺に吐き捨てているでしょう。けど彼と出会ってからは色々と変わったわね。

 

 

雪乃「えぇ………私もそう思います。」

 

平塚「君が良い方向に変わってくれて何よりだよ、雪ノ下。」

 

雪乃「それよりも平塚先生。何かご用件があったのではないのですか?」

 

平塚「いや、ただ様子を見に来ただけだ。まさかこんな風に過ごしているとは思わなかったがな。」

 

雪乃「週に1〜2回はこんな感じです。」

 

 

個人的にはもっと増やしたいのだけど、それだと当番制の意味がなくなってしまうから、ここは妥協するしかないわね。

 

 

ーーー数十分後ーーー

 

 

雪乃「………そろそろね。名残惜しいけれど、起きてもらわないと。比企谷くん、起きて頂戴。もうすぐお昼休みが終わるわ。」

 

八幡「ん?んんぅ〜……もう終わりか?」

 

雪乃「えぇ、お休みのところゴメンなさいね。」

 

八幡「いや、いいんだ。起こしてもらう約束だからな………んんぅ〜〜あぁぁ……」

 

 

比企谷くんは寝起きが良いのね。

 

 

八幡「昼寝程度でもこんなに変わるもんなんだな。ビックリするくらい目が冴えてる。それよか雪乃、俺お前の手握ってたか?なんか誰かの手を握っていたような気がしたんだが………」

 

雪乃「さぁ、どうだったかしら?」

 

八幡「何だよ、教えてくれてもいいじゃねぇか。減るもんじゃねぇのに。」

 

 

教えないわよ、秘密だもの。

 

 

八幡「さて、んじゃあ教室戻るか。雪乃、弁当とベッドありがとな。放課後も来ていいか?」

 

雪乃「えぇ、歓迎するわ。まさかまた寝る気?」

 

八幡「流石に夕方辺りには昼寝しねぇよ。ちょっとしたまとめをしたいだけだ。そういう時は静かな所でするに限るからな。」

 

雪乃「そういう事ね、分かったわ。来た時には紅茶を淹れてあげるわ。」

 

八幡「あぁ、頼む。」

 

 

ふふっ、また1つ楽しみが増えたわ。放課後が楽しみになったわ。

 

 

ーーー教室ーーー

 

 

「「「……………」」」

 

雪乃「♪〜………」

 

女子1「ね、ねぇ。雪ノ下さん何かあったの?」

 

女子2「知らないよ!」

 

女子1「見て分かるくらい機嫌良いじゃん!」

 

「「「「「何があったの?」」」」」

 

 

………何故かしら?教室がやけに静かね……私には関係のない事だから気にしても仕方ないわね。

 

 

女子1「あ、あのぉー雪ノ下さん?」

 

雪乃「?何かしら?」

 

女子1「お昼休みに何か良い事でもあったの?」

 

雪乃「………どうしてそう思うの?」

 

女子2「だって雪ノ下さん、教室に入る前からかは分からないけど、すっごい気分良さそうに鼻歌歌ってたよ?そこの所どうなのかなぁって。」

 

 

ま、まさか鼻歌までしていたなんて………そこまで嬉しかったのかしら?比企谷くんが放課後に来てくれる事が。

 

 

雪乃「い、いえ、特に何もないわ。気に障ったのなら謝るわ。」

 

女子1「ううん、別にそこまでじゃないから大丈夫だけど、雪ノ下さんがそこまでして嬉しいことって何だろうって思ったから……放課後に良い事でもあるの?」

 

雪乃「べ、別に何もないわよ。」

 

 

(((((………怪しい。)))))

 

 

女子2「そっか。なら良いんだ!ごめんね急に押しかけて。」

 

雪乃「いえ、気にしてないわ。こちらこそごめんなさい。」

 

女子2「いいよいいよ!またお話しようね。」

 

 

何とか気付かれずに済んだわ。もし此処で何かに勘付かれでもしたら、比企谷くんに迷惑を掛けかねないわ。それだけは避けないと。

 

 

雪乃sideout

 

ーーーーーー

 

 

女子1「ねぇ、どう思う?」

 

女子2「いや、これはもう確実に黒だよ。雪ノ下さん絶対昼休みに何かあったって!」

 

女子3「やっぱり?やっぱりそう思う?私見てだけだけど、雪ノ下さん少しだけ顔強張ってたもん。あれは放課後何かあるね!」

 

女子1「雪ノ下さんには悪いけど、放課後になったら後を追いかけてみる?」

 

「「さんせ〜い!!」

 

女子1「よし!じゃあ今日の授業が終わったら、皆で雪ノ下さんの動きを見ながら行動。廊下に出たら皆で後をついていく。どう?」

 

「異論ありません、隊長!」

 

「いつでもいけます、隊長!」

 

女子1「よろしい!では放課後まで解散!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。