やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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職場見学 前編

 

 

八幡side

 

 

職場見学当日。俺たちが向かう職場は千葉県立総武保育園という場所だ。実の所、少しだけ不安である。年上の相手なら何度もした事あるんだが、自分より年下の相手なんか、これまで一度もした事がないからだ。

 

しかし、何故こんな所が見学先なのかというと、俺と狂三ともう1人、川崎って奴なんだが、そいつの妹が其処の保育園に通っているらしい。その事もあって今回の見学先にこの保育園を希望したとか。

 

俺らは何処でもいいと言ってしまったから、先生に今更断りになんて言い辛い。身から出た錆、って訳ではないが、これも自分の言った事だし、甘んじて受けよう。

 

 

八幡「集合場所はここだったよな?」

 

狂三「えぇ、その筈ですわ。後は川崎さんが来るのを待つだけですわ。」

 

 

ーーー5分後ーーー

 

 

沙希「ご、ごめん、待たせて。」

 

八幡「いや、それほど待ってないから大丈夫だ。」

 

狂三「八幡さんの言うとおりですわ、お気になさらないでください。」

 

沙希「あ、ありがと………」

 

八幡「んじゃ行くか。幼稚園児の相手とかどんな風にしてやればいいのか分からんが、なるようになるか。」

 

狂三「泣かせないでくださいね?」

 

八幡「………それを言うなよ。」

 

 

本当に泣かせちゃったらどうすんの?俺、あやし方とか全く分からないからね?

 

 

沙希「………」

 

 

ーーー総武保育園ーーー

 

 

先生1「あら沙希ちゃん!今日は見学に来てくれてありがとう!後ろの2人………って八幡くん!?」

 

沙希「え?」

 

八幡「どうも。いつも美味しい野菜、頂いています。今日はよろしくお願いします。」

 

先生1「まさか八幡くんも此処の見学だったなんて知らなかったわ!じゃあ中に入ってちょうだい。いろいろ説明するから!」

 

 

ーーー移動&説明中ーーー

 

 

先生1「大体施設の中はこんな感じね。後は子供たちのお世話だったり、遊び相手、お勉強会もしているわ。良かったら3人も参加していかない?」

 

八幡「元々そのつもりでは?」

 

先生1「うん!」

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

先生1「はい皆〜お話を聞いてね〜!今日は皆と一緒に遊んでくれたり、お勉強をしてくれる先生を紹介しま〜す!入って来てください!」

 

 

川崎を先頭に俺、狂三の順番に入った。おぉ……ちっちゃい子供ばっかだ。当たり前だけど。

 

 

先生1「左から順番に沙希先生と八幡先生と狂三先生です。皆、仲良くしてね〜!」

 

園児「「「はぁーい!!」」」

 

 

狂三「うふふふ、可愛らしいですわね。」

 

八幡「今のところはな。」

 

川崎「ちょっと?」

 

八幡「冗談だよ、微笑ましい光景じゃねぇか。」

 

先生1「はい、それじゃあ今日はお絵かきをやりますよ〜!好きなお友達と一緒にグループになっていろんな絵を描きましょう〜!」

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

狂三「はい、お馬さんですわ。」

 

「狂三先生、絵上手〜!」

 

「すご〜い!」

 

「可愛い〜!」

 

狂三「ありがとうございます。次は何を描きましょうか?皆で決めましょう。」

 

「「「はぁ〜い!!」」」

 

 

 

八幡「うぅむ……これ、何か分かるか?」

 

「八幡先生、何これ?」

 

「分かんない。」

 

八幡「………飛行機、なんだが………」

 

「えええぇぇぇ!?似てな〜い!」

 

「僕の方が上手だよーん!」

 

八幡「うぐっ……絵心の無さがここまで出て来るとは。もっと練習しないとダメか?」

 

 

 

沙希「はい、りんごだよ。」

 

「沙希先生の絵、可愛い〜!」

 

「りんごにお目め付いてるー!」

 

「見て見て〜、私も描けたよ〜!」

 

沙希「あっ、上手だね〜!これお魚?」

 

「うん!」

 

 

先生1「はい、皆〜1回クレヨン置いてね〜。上手にお絵描きできたかな〜?」

 

「「「出来た〜!!」」」

 

先生1「本当?じゃあ先生の絵はどうだった?」

 

「「「「「「上手だった〜!!」」」」」」

 

「「「八幡先生の絵、へたっぴ〜!!」」」

 

 

八幡「うぐっ、心を抉る一言だな………」

 

狂三「ふふふっ、後で見せてくださいね?」

 

八幡「断る。」

 

沙希「私も気になるから見せてよ。」

 

八幡「断る。」

 

 

お前らまで俺の心の傷を抉るつもりか?

 

 

先生1「それじゃあ次は………あっ!今、11時だ!皆、11時は何のお時間だっけ〜?」

 

「「「お昼ご飯〜!!!」」」

 

先生1「はい、正解でーす!じゃあ皆、1番広いお部屋に行ってご飯の用意をしましょうね〜!」

 

 

そこから俺たちもお昼休みになって、職員の休憩室で弁当を食べる事になっている。

 

 

ーーー休憩室ーーー

 

 

沙希「アンタたちって子供の相手上手いね。てっきりしたことないのかと思ってたけど。」

 

八幡「いやいや、俺は今日が初めてだぞ。あれくらいのガキンチョ相手にするの。」

 

狂三「八幡さん、言葉が汚いですわよ。ですがそうですわね。八幡さんの言う通り、私も今日が初めてですわね。」

 

沙希「………なんか、比企谷って噂とは全然違うんだね。」

 

八幡「噂?極道の事か?」

 

沙希「うん。噂では、いつも女を侍らせているとか、飲食店で恐喝してタダ飯を食べるとか、お金持ちをボコボコにしてお金を巻き上げてるとか、そんな噂。」

 

八幡「暇な奴らだね〜。そんな噂広めて何が楽しいんだか。どれもやった事ねぇし。」

 

沙希「うん。あたしは別に信じてたわけじゃないけど、アンタはそんな奴じゃないって確信したよ。だって、もしそんな奴だったら、あんな風に子供と遊ばないからね。」

 

八幡「お前、よく見てんだな……」

 

沙希「べ、別に!子供に変なちょっかい出さないか見てただけ。」

 

狂三「素直ではありませんのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 


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