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しのぶ「それで、これどういう事?」
カナエ「ん〜?何が〜?」
しのぶ「何で私がお手本を見せる事になったのかって聞いてるの!!それに何で姉さんは八幡に抱き着いてるのよ!?」
八幡「それは大いに同感だ。」
花屋敷・道場内にて八幡は、カナエに稽古を申し立てた。そこまでは良かったのだが、何故かしのぶが手本となる動き、舞を見せる事になっていた。そして依頼を受けた当のカナエは八幡の後ろに座って八幡を抱き締めていた。
カナエ「まぁまぁそう言わずに。私はしのぶの笑った顔が好きだなぁ〜♪」
しのぶ「大体、姉さんが八幡から受けた稽古でしょう!?姉さんと八幡でやってよ!」
カナエ「ん〜?じゃあ八幡さんが私の事を押し倒したら、しのぶはどうする?」
しのぶ「八幡を蹴る。」
八幡「おい、俺は路頭の石じゃねぇぞ。」
カナエ「そうすると思ったからこうしてるのよ。八幡さんを守ってるんだから〜。」ギュ-
八幡「ちょ……」
しのぶ「姉さん!!」
カナエは抱き締める強さと密着度を強めた。当然しのぶにしてみれば、その光景は面白くないようだ。
カナエ「もう〜そんなに怒らなくてもいいじゃない。後でちゃんとしのぶにも八幡さんを抱き締めさせてあげるんだから、今は我慢して、ね?」
しのぶ「わ、私は別に八幡を抱き締めたいわけじゃないわよ!」
カナエ「あら、そうなの?じゃあ今日は私が八幡さんを独り占め出来るのね!やったぁ〜♪」ギュ-!
八幡「カ、カナエさん……ちょっとくっつき過ぎです。もう少し離れてください。」
八幡(ていうか前から思っていたけど、カナエさん本当に良い匂い過ぎる。何これ?花の匂いってこんなに心をくすぐるような匂いしてたっけ?なんかずっと匂いを嗅いでいたいわ。1日中嗅いでいても飽きない自信ある。」
2人「………」
八幡「……ん?なんか急に静かになったが、どうしたしのぶ?カナエさんも何かありました?」
カナエ「ふふふふふっ♪あらあらぁ〜………」
八幡に抱き着くのをやめて八幡の正面に回り、満面の笑みを浮かべながら再び正座をして座った。八幡も正座をしている為、その距離は膝と膝がつくくらいの近さだった。
八幡「え?な、何ですか?」
カナエ「えいっ♪」
八幡「え、ちょっ!?」
しのぶ「っ!!!?」
カナエ「もぉ〜八幡さんったら〜♪そんなに私の香りが気に入ってたの〜?今なら嗅ぎたい放題よ〜♪ねぇどう?ねぇねぇ?さっきよりも良い匂いする?ギューって抱き締めてもいいからね〜♪」ギュウ-!
八幡「ちょ、ちょっと!カナエさん、やめっ…!」
カナエ「やめないも〜ん♪」
カナエは八幡に抱き着いた。それだけならまだ良かったが、抱き着いた際に八幡は後ろに倒れ、そのまま伸びた脚をカナエは自身の脚で絡めて逃さないようにしていた。そのまま2人はしのぶの前でゴロゴロしていた。八幡は引き離そうとしているのだが、カナエは全く引き離せなかった。しのぶには2人がイチャついているようにしか見えていなかった。
しのぶ「姉さん、八幡………」
カナエ「あら?どうしたのしのぶ?」
しのぶ「いい加減にして?八幡、貴方は此処に何しに来たの?」
八幡「け、稽古をつけてもらいに来ました……」
しのぶ「だったらそれは何?」
八幡「お、俺にも何が何だか………」
しのぶ「姉さんと八幡は今すぐ正座っ!!!」
カナエ「えぇ〜……楽しかったのに〜……」
しのぶ「いいから正座っ!!!」
カナエ「ぶぅ〜。」
しのぶ「八幡も早く!!」
八幡「は、はい!!あっ!?」
しのぶの正座宣言に不満ありげに八幡を離したカナエに、瞬時に起き上がろうとした八幡。だが八幡は何故かまた突っ伏してしまった。
八幡「って〜……足痺れた。正座する前から痺れるって正座したらもっとヤバい奴だろ………」
しのぶ「八幡、早くしなさい。」
八幡「鬼だろお前………」
八幡は再び床に手をついて起き上がろうとした。
ムニュン
カナエ「あんっ/////」
八幡「………え?」
しのぶ「………え?」
カナエ「八幡さんったら………大胆ね。しのぶもいるのに目の前で堂々と/////」
八幡の手は床ではなく、カナエの胸に置いてしまったのだ。
八幡「っ!!?す、すいません!!今すぐどきます!!」
しのぶ「八幡、いますぐ姉さんから離れて!!」
八幡「ちょ、待てって!今まだ足が痺れてっいっつ!」
しのぶ「ちょっと、きゃあ!?」
しのぶは八幡を無理やり立たせたが、足の痺れが取れていない八幡はいとも簡単に倒れてしまった。しのぶと一緒に。
八幡「〜!悪いしのぶ、また足の痺れが完全に取れていな……く……っ!!?」
しのぶ「/////」
八幡「す、すまん!!」
しのぶ「い、いいわよ別に。急に立たせた私も悪いもの/////」
あろう事か、倒れたと同時に八幡の手はカナエの次に忍の胸へと吸い込まれていた。あたふたする八幡だが、そこにカナエがやって来た。
カナエ「八幡さん、しのぶの匂いを嗅いであげて!早く!」ボソッ
八幡「は、はぁ!?何言って「いいから早くやって!」……わ、分かりましたよ!」ボソッ
八幡「いっ!?あ、足がまだ!」
八幡はしのぶに気づかれないように痺れた脚を使って立ち上がろうとした。だが痺れている為それは失敗し、しのぶの顔の横辺りに自身の顔を置いた。そしてそのまましのぶの髪の匂いを嗅いだ。
八幡「………良い匂いだ。これは藤の花か?爽やかで落ち着く優しい匂いがする。」
※意図せず無意識に八幡の本心から出た言葉です。
しのぶ「あ………/////」
しのぶは八幡の言葉に目を見開いた。自分の胸を鷲掴みにされている事も忘れていた。余程嬉しかったのか、八幡を抱き締めた。
八幡「お、おい……///」
しのぶ「と、特別よ………バカ/////」
カナエ「あらあら〜これは1本取られちゃったわね〜。塩を送っちゃったかしら〜。」
結局この後は稽古を行われず、しのぶとカナエに交互、または同時に抱き締められる八幡だった。