少し早過ぎましたかね?
狂三side
狂三「八幡さん、こちらの処理終わりましたわ。」
八幡「あぁ、済まない。助かる。」
狂三「次はこちらをやりますわね。」
八幡「いや、お前の分もあるだろう。そっちを「私の分はもう終わりましたわ。八幡さんのを手伝わせてくださいまし。」………分かった、頼む。」
………八幡さんがプリントの処理に追いつけなくなっていますわ。何かがおかしいですわ。初日はそれ程、量は多くありませんでしたが、2〜3日は捌けていましたわ。ですが昨日と今日で途端にスピードが落ちましたわ。八幡さんの処理は見ていても落ちていないのは分かりますけれど、それでもプリントの量が減って行きません。作成したプリントを打ち込み作業をして行くのですが、打ち込んでいる間に別のプリントが来るので溜まる一方になっていますわ。なんとか応援を呼びたいのですけれど、今はそんな暇はありませんわ。
めぐり「比企谷くん、大丈夫?プリントすごいあるけど……手伝おっか?」
八幡「今は猫の手も借りたい気分だ。けどお前も自分の仕事があるだろ、そっちを優先してくれ。」
めぐり「私達の所も今日の目処はついたんだ。だから比企谷くんのを手伝うよ。」
八幡「……じゃあ宣伝広報の資料を頼む。」
めぐり「うん、分かったよ。」
城廻先輩、助かりますわ。
「いやいや会長、自分の仕事を優先した方がいいんじゃねぇの?」
めぐり「え?でも比企谷くんのデスクの上にはこんなに溜まってるし………私の所はそこまで溜まってないから明日にでも出来るし……」
「そうだとしてもよ、ここで手伝ったらその後輩の成長にもならないだろ。ここは出来る所まで頑張ってもらう事にしようぜ。」
めぐり「でも比企谷くんは今困ってるよ。後輩が困っていたら助けてあげるのも先輩の役割じゃないかな?間違ってる?」
「い、いや、それはそうだけどよ……」
めぐり「それに隣の時崎さんだって比企谷くんのを手伝ってるよ。2人だけだと限界があるよ。」
………そういえばあの先輩は私たちと同じ記録雑務係でしたわね。あまり手が動いていないようですが、あの先輩方は大丈夫なのでしょうか?
「……分かったよ、仕事に戻る。」
めぐり「うん、お願いね。じゃあ比企谷くん、宣伝広報のプリントちょうだい。」
八幡「あぁ、一応これが全部だ。」
めぐり「うん、わかったよ。」
………あの3人、どうにも引っかかりますわね。ですが今は目の前の作業に集中ですわ。
ーーー放課後ーーー
八幡「狂三、今日も悪いな。仕事手伝ってもらっちまって。昨日今日でやたらとプリント増えてよ。だんだん追いつけなくなってきた。」
狂三「いえいえ、いいんですのよ。八幡さんのお役に立てたのなら良かったです。」
八幡「しっかしあんなのを毎年やってるなんて、記録雑務やってた奴らってすげぇな。」
狂三「はい、そうですわね………」
………明日、少し調べてみる必要がありますわね。
ーーー翌日・放課後ーーー
狂三「八幡さん、私は少し先に行きますわね。」
八幡「ん、分かった。」
さて、あまりやりたくはありませんが、私達と同じ記録雑務の先輩方のPCを見させて頂きますわ。
ーーー会議室前ーーー
「でよ〜……」
「まじで!?」
「www」
………まさかもういるなんて思いませんでしたわ。これでは確認ができません。
「しかしよ、あの2年相当だぞ?まだやり続けてるぞ。根性あるよな。」
「いやいや、そのうちバテるって。」
「会長もお人好しだよな。あんな奴の仕事を手伝うんだからよ。」
………まぁまぁ、そうでしたのね。これを持ってきておいて正解でしたわ。
「それによ、隣のあの可愛い子……誰だっけ?」
「時崎だろ?時崎狂三。」
「そうそう!あの子にも仕事やらせてんのって最低だよな。自分の仕事は自分でやれってんだよ。」
「俺だったらカッコつけて自分でやるけどな。」
「まぁ良いだろ、結果的にやってくれてんだからさ!俺らの分もよ。ここは俺たちの分もあいつに働いてもらおうぜ。」
「後輩の為にってか?」
「そういう事っ!」
「よっ!流石!」
「「「wwwww!!」」」
………そういう事でしたのね。これは雪乃さんにご報告ですわね。早い段階で見つけて良かったですわ。もしこれがもっと遅かったら………
ーーー会議室ーーー
雪乃「ではこれより定例報告を始めます。まず宣伝広報、お願いします。」
雪乃さんの進行で定例報告会が行われている中、記録雑務は1番最後に報告する事になっていますわ。一応代表は3年生の女子がやっていますけど、あの様子では気付いていませんわね。ですが、これで気付くでしょう。
雪乃「では記録雑務係、お願いします。」
「特にありませんが、比企谷くんの資料が溜まりつつありますので、そのフォローをしつつ作業を進めていきます。」
雪乃「その事なのですが、先程2-F組の時崎さんから報告がありました。記録雑務で比企谷くんが受け持っているのは何ですか?」
「え?有志統制の打ち込み許可の降りたプリントの作成だけど……」
雪乃「……その比企谷くんのプリントの中に宣伝広報、物品管理、会計監査が混じっていました。それもそれを担当しているのは3年生の男子の皆さん、そうですね?」
「え?あ、あぁ……」
「う、うん、そうだな。」
「………」
雪乃「しかもご自分達がやっていたのは僅かな有志統制と保健衛生のみ。これはどういう事ですか?」
「「「………」」」
「ちょっと、アンタらこれどういう事なの?」
「もしかして仕事押しつけてたの?」
「い、いや、そういうわけじゃなくて………」
狂三「あらあら何が違いますの?私、報告会が始まる前にこんな会話を聞いたのですけれど?」
私は持っていたボイスレコーダーを全員に聞こえる音量で流した。その内容は先程3年男子3人の会話だった。その内容を聞くや否や、周りの生徒は3人に対して冷たい視線を浴びせ、教師も睨むように見つめていた。
狂三「……以上ですわ。」
雪乃「ありがとう、時崎さん。先輩方、何か言い分があるのならお聞きしますが?」
「「「…………」」」
………呆気なく終わりましたわね。
雪乃「……他に何かありますか?」
平塚「では私から。他の係には居ないとは思うが、こんな事はしないように。していたら今すぐやめることだ。恥をかくのは自分だからな。それからお前達、話があるから生徒指導室まで来い。厚木先生、一緒にいいですか?」
厚木「はい、わかりました。」
雪乃「では定例報告会を終わります。各自、自分の仕事に取り掛かってください。」