やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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スローガン

 

 

雪乃side

 

 

文化祭実行委員が結束して作業してから1週間と少しが過ぎたわ。全体的に進行は良い感じといったところね。後は決めなければいけないのはスローガンくらいかしら。宣伝広報はストップさせて、装飾に取り掛かっているから大丈夫ね。有志統制もこれ以上は取れそうもないから、スローガンを決める会議でストップさせるように言いましょう。と物品管理と保健衛生も殆ど終わりを見せている頃だから、まだ残っているのは記録雑務くらいね。

 

それにしても良かったわ、比企谷くんのデスクの上に余裕があるわ。幾ら彼が優秀でも、あの量を捌くのなんて無理があるもの。時崎さんもフォローに回ってくれているから、何とかなっているようね。それに、他の係からも手伝いに来ている人がいるから良い流れになっているわ。

 

そして有志統制をしに来た姉さんがそのままここに居座っている。悪いとは言わないけれど、どうしているのかしら?

 

 

雪乃sideout

 

ーーーーーー

 

 

ーーースローガン決めーーー

 

 

雪乃「では会議を始めます。本日の議題は城廻先輩から連絡があった通り、文化祭のスローガンについてです。今出されている案をボードに書いていきます。」

 

 

『友情・努力・勝利』

 

 

八幡(いや、友情と努力は分かるが、何に勝つつもりなんだ?ちょっと分からんぞ?)

 

 

『面白い!面白過ぎる!〜潮風の音が聞こえます 総武高校文化祭〜』

 

 

雪乃(なんというか………よく分からないわね。)

 

 

『一意専心』

 

 

狂三(意味はよく分かりますけれど、テーマとしてはアウトですわね。少し堅すぎますわ。)

 

 

『ONE FOR ALL』

 

 

陽乃(これ絶対に隼人の案ね。見てすぐに分かったもの。)

 

 

『☆絆〜ともに助け合う文化祭〜』

 

 

4人(最後に1番まともなのが出た。)

 

 

雪乃「他に何かある方はいませんか?」

 

八幡「………他には何かなかったのか?」

 

雪乃「いえ、ないわけではないのだけれど……文化祭のテーマにするには、決め手に欠けるものばかりだったから。」

 

八幡「成る程な……その案、少し見せてくれ。」

 

 

八幡(決め手に欠けるなら、1つずつ足していけば良いだけの事だ。)

 

 

八幡「………」

 

雪乃「ど、どうかしら?」

 

 

八幡は雪乃から受け取ったスローガンの束を1つ1つ見ていった。そしてそれを紙に物凄いスピードで書いていった。

 

 

八幡「これとこれならいけるな。」カキカキ

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

八幡「取り敢えず即席で作ってみたんですけど、考えてみてください。」

 

 

『千葉の名物、踊りと祭り!同じ阿呆なら踊らにゃ ♫Sing a Song♪』

 

『笑え!騒げ!叫べ!狂え!祭りがあるなら楽しめ!』

 

『祭りは何処でやってる?此処しかねぇだろ!総武高の文化祭、此処でやってるヨォ〜!』

 

 

八幡「多少脚色を足してあるが、色んな意見をまとめて出してみました。お遊び半分で作ってみたんですが、どうですか?」

 

陽乃「ぷっくくくくっ!!あ〜ははははっ!面白いよ!八幡くんの案、型破りも程があるよ〜!でも、私は良いと思うよ、面白ければOK♪」

 

 

周りからは考える声がヒソヒソと聞こえてきた。

 

 

八幡(前の意見が悪いとは言わないが、どうにもインパクトに欠ける。ならそこに色を足してやれば良いだけの事だ。)

 

 

雪乃「………では、良いと思った案に手を挙げてください。」

 

 

その後、決まったスローガンは俺の出した最初の案に決まった。後の2つも良い案だったのだが、少し怖いイメージがあるようだった。それを考えたら音符マークがあるのが良かったのかもしれない。

 

 

ーーーーーー

 

雪乃side

 

 

雪乃「貴方、よくあんな事を思いつくわね。」

 

八幡「遊びだと思えば良いんだよ。例えばパンさんをテーマにするんだったら、『パンさんが待ってる!行こう、デスティニーランド!』とかな。」

 

 

い、良い………!凄く良いわ!パンさんが待ってるだなんて最高じゃない!

 

 

八幡「おーい、現実に戻ってくんない?後で幾らでもスローガン出してやるから。」

 

雪乃「っ!んんっ、ごめんなさい。けれどパンさんは何処で待っているのかしら?」

 

八幡「パンさんから離れろや、今は文化祭な。」

 

雪乃「そ、そうだったわね……」

 

 

私とした事が……取り乱したわ。

 

 

八幡「記録雑務は今のところ問題ない。宣伝広報はスローガンをHP(ホームページ)や街の掲示板のポスターに足せば完了で、その貼ってきた掲示板の場所を俺らが纏めれば大丈夫だと思う。」

 

雪乃「えぇ、分かったわ。」

 

八幡「お前は大丈夫か?無理するなよ。」

 

雪乃「えぇ、平気よ。本牧くんも副委員長としてフォローしてくれるから、なんとかなっているわ。」

 

八幡「ならいい。」

 

 

……本番までには間に合いそうね。もしあそこで比企谷くんがスローガンを作っていなければ、時間の無駄になるところだったわ。あの先輩達ではないけれど、彼にあんな感情を抱くのも少しだけ分かる気がするわ。でも私は彼が凄いって分かっているから、割り切れるのよね。

 

 

「委員長、この書類の確認お願いします!」

 

雪乃「えぇ、分かったわ。」

 

陽乃「雪乃ちゃん、調子はどう?」

 

雪乃「えぇ、問題ないわ。比企谷くんのおかげで問題なく進められているわ。」

 

陽乃「そう、それは良かった。にしても本当に面白かったよね〜♪私もあんなのは流石に出せないよ。頭の中身どうなってるんだろうね?」

 

雪乃「それよりも、姉さんはどうして此処にいるの?ダメとは言わないけれど。」

 

陽乃「後輩達の仕事ぶりを見学しているだけ。邪魔をする気はないから安心して。」

 

雪乃「邪魔はしないでちょうだいね、本当に。」

 

 

姉さんが邪魔をしたら、対処出来るのは比企谷くんだけなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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