八幡side
文化祭のエンデングセレモニーが終わった今だが、少しだけ悪いムードになりつつある。それもその筈、最後の最後で良くない終わり方になったからだ。おかげで雪乃もまだ放心状態から抜け出せていない。実際、雪乃には何の責任も無い。アイツ等の起こした行動はアイツ等の責任だ。雪乃は実行委員長だが、だからといって今回の件に関して雪乃は責められる立場には無い。寧ろ少なくなった状態でよくまとめあげたとと言っても良い。
八幡「……どうだ?雪乃の状態は?」
めぐり「まだ少しだけかかりそう。叩かれた事がかなり大きかったみたい。」
八幡「そうか………」
めぐり「比企谷君、これでいいのかな?」
八幡「あ?何がだ?」
めぐり「だって比企谷君はこの後生徒指導に連れて行かれるんでしょ?幾ら暴力を振るったとはいえ、比企谷君は悪くないよ!雪ノ下さんの為にやった事だもん!」
八幡「……どう言い訳しようが、どんな理屈や綺麗事を言ったとしても、殴った事や蹴った事には変わりないからな。校門前のあれは生徒同士ではないから問題にはならなかっただろうが、今回は生徒と生徒だ。嫌でも問題に発展するだろう。良ければ注意、悪くて停学ってところだろうな。」
めぐり「そんな…比企谷君は何も悪くないのに……」
「そうよ!比企谷君は文化祭の為に頑張ってたし、不良達からも文化祭を守ってくれたんだから、責められないじゃん!」
「比企谷が居なかったら、ここまで文化祭が出来てるかどうかも分からねぇのに!」
「もし比企谷君が停学処分受けそうになったら、皆で直談判しに行こうよ!」
「そうだ!そうするべきだ!」
夏休み前の評価とは一変、今の八幡の評価は高まりつつあった。文化祭の仕事ぶりもそうだが、何より不良達から文化祭を守ったというのが、八幡自身の評価を改めるきっかけになった。
平塚「………比企谷、生徒指導室まで着いて来い。」
八幡「はい。」
めぐり「平塚先生!」
『先生っ!』
文実のメンバーが平塚先生に言い寄るように詰め寄った。先生も理解していたようで、苦笑い気味に俺達の方へと振り返った。
平塚「お前達の気持ちは理解している。勿論それを考慮するつもりでもいる。だが比企谷のやった行為は正当防衛にしては過剰でもある。教頭、校長を立会のもとで話し合いをする。親御さんも呼んであるから、少し長くなりそうだ。君達も片付けに入りたまえ。終わる頃にはこちらも話し合いは終わっている。」
その言葉に安心を覚えるものは誰も居なかった。というよりも不安しか無いようだ。
八幡「大丈夫ですよ。平塚先生は文実の担当者なので何があったのかも知っていますし、俺にも手札はあります。とりあえずはやるだけやってみますよ。」
平塚「比企谷、私達は裁判を受けに行くのではないのだぞ?」
八幡「俺だけ罰を受けるのは後味悪いじゃないですか。だったら奴等も道連れにしますよ。」
平塚「君はとんでもないな………まぁいい、着いてきたまえ。それから君達も作業に移りたまえ。」
ーーー生徒指導室ーーー
既に中には親御さんと先輩男子の2人、校長と教頭が居た。そして最後に入室したのが俺と平塚先生だった。どうやら少しだけ待たせたようだ。
平塚「遅れてしまい申しわけありません。文化祭実行委員担当の平塚と文化祭実行委員の比企谷です。」
校長「じゃあ平塚君、比企谷君、席に座りなさい。早速本題に入ろう。」
平塚「はい。」
俺は喋る事も無く、席に座った。
校長「では話し合いなのですが、「校長先生、まずよろしいでしょうか?」?はい、どうぞ。」
親1「私の息子は比企谷君に多大なご迷惑をお掛けしました。先程お話は伺いましたが、仕事を押しつけただけでなく、実行委員長を務めた後輩の女子にまで手を出したと……そして比企谷君に殴られたと聞きました。これを知った上で私は言います。今回はウチの息子が全面的に悪いです。」
「っ!?母さん!?」
親1「こんな事をする子だとは思いもしませんでしたし、大きく失望しました。比企谷君、ウチの息子がごめんなさいね。本当に迷惑を掛けて。」
八幡「いえ、俺……私も息子さんに暴力を振るってしまったので。」
親1「なので校長先生、教頭先生、そして平塚先生。もし比企谷君の処罰をお考えなのでしたら、それは取り下げていただくようにお願いします。」
親2「私も同じ思いです。まさか受験を控えていて、今年が高校生最後の文化祭だというのに、こんな事をする馬鹿息子だとは思いもしませんでした。文化祭の為に尽力してくれた比企谷君には頭が上がりません。この馬鹿にはキツく言っておきます。私も息子をやった事を認めます。比企谷君の処罰を今一度、考え直しては下さらないでしょうか?」
………意外だ。まさかあっち側から既に認めていたなんて。
校長「……私共が比企谷君に対する処罰に関しては、停学1週間を考えていたのですが、それは無しでよろしいと?」
親2「はい。寧ろその罰を息子に課してやってください。1週間では足りません。2〜3週間もあれば、自分のやった事の愚かさに気付くでしょう。」
親1「私からも○○さんと同じでお願いします。」
校長「分かりました。ではお2人のお子様には停学処分1ヶ月とします。比企谷君には注意を促しておきます。今後不用意に生徒への暴力を振るわないように3人にもお伝えしていきますので。」
八幡「すみません、親御さん。質問してもよろしいでしょうか?」
親「「?」」
八幡「事情があったとはいえ、私は皆さんの息子さんに暴力を振るいました。思うところは無かったのかどうか、お聞きしたいです。」
俺にとっては大事な事だ。子の事を考えていない親なんて居ない。これは極道社会においてもそうだ。だから俺はこの2人の意見を聞きたい。
親1「……正直、手を上げたと聞いた時には少しムッとしたけど、私達に代わって貴方が息子にやってくれたのだと思うと、気も晴れたわ。息子をよく殴ってくれたって思ってるわ。」
親2「僕も僕の代わりに息子を蹴ってくれてありがとうって思いだよ。帰ったら僕が君の続きを説教と一緒にやるから。」
八幡「……お答えいただき、ありがとうございます。」
校長「比企谷君、もう大丈夫かな?」
八幡「はい、充分です。」
校長「ではお話はこれで以上です。親御様は此処までご足労いただき、ありがとうございます。」
無事に終われて良かったぁ〜……!