やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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カナエとのお話

 

 

八幡side

 

 

………カナエさん、めっちゃ気持ち良さそうだ。俺はただ膝枕を撫でているだけなのに、カナエさんはこの場所から動こうとはせず、この時間をひたすら堪能しているような気がする。にしても10分以上経つのに、この部屋誰も来ないな。人払いでもしてあるのか?

 

 

八幡「……あの、カナエさん?」

 

カナエ「んん〜?」

 

八幡「堪能している所非常に申し訳ないんですけど、これっていつまで続ければ良いんですか?」

 

カナエ「私が満足するまでって言ったら?」

 

八幡「………お付き合いします。」

 

カナエ「えっ……私と付き合ってくれるの?」

 

八幡「そっちじゃありません。貴女の我が儘に付き合うという意味です。」

 

カナエ「冗談よ〜。でもそうね……私としてもこの時間が早く終わってしまうのは少し嫌だわ。八幡さんは今日のご予定はあったりするのかしら?」

 

八幡「いえ、特には。」

 

カナエ「あら、そうなの?やったわ!これで八幡さんともっと一緒にいられるわ♪」

 

 

今日は1日休みの日だから何もない。カナエさんもそれを見越して頼んできたのかと思ったが、そうではないらしいな。いや、俺の休みを把握してたらそれはそれで恐ろしいけどよ。

 

 

八幡「今日しのぶとカナヲはどうしてるんです?」

 

カナエ「しのぶは病院に出勤。カナヲは《九柱隊》のところで稽古を積んでもらってるわ。私たちの得物は刀だけど、それ以外にも戦う術を身につけておかないと危ないからね。私の場合は、刀以外に針とか使うから。」

 

八幡「……俺も稽古つけてもらおうか。」

 

カナエ「ダメ。」

 

八幡「………え?」

 

カナエ「ダメ。八幡さんに稽古をつけるのは私だけ。他の人に八幡さんの稽古は譲れないわ。」

 

八幡「え、でもこの前はしのぶに……」

 

カナエ「しのぶは良いのっ!後カナヲも!けど他の人はダメ!特に蜜璃ちゃんはダメなの!八幡さんは私と稽古するの!良い?」

 

八幡「わ、分かりました………」

 

 

これは何だ?独占欲によるものか?他の人には稽古を見させない為……もしさせてしまったら、今後稽古をつける頻度が増えて自分に構ってもらえなくなると思ったからか?

 

 

カナエ「あっ、そういえば八幡さん。私の香りがすごく良い匂いって言ってたけど、あれって本当なの?私は本当であって欲しいんだけど……」

 

八幡「……できればあの時のことは忘れて欲しいんですけど、それは事実です。カナエさん、よく俺に抱き着いて来たり、抱き締めたりするじゃないですか。その時にカナエさんの香りを嗅いでしまうんです。ホント、花の匂いってこんなに良い匂いだっけって思うくらい。」

 

カナエ「本気で思ってくれていたのね〜嬉しいわっ♪じゃあ今日はどうかしら?いつもとは違う香りの香水をつけてみたのだけど、分かるかしら?」

 

八幡「カナエさんの部屋に入った時点で分かりました。何の花かは分かりませんけど。」

 

カナエ「実はね、アザレアのお花を使った香水なの。お店で売っているのは高いんだけど、私ね、お花の栽培も趣味でやってて、色々調合しながら香水を作ったりしてるの!因みにアザレアは8月8日が誕生花だから、八幡さんとお揃いなの〜♪」

 

 

……1つ疑問に思ったことがある。何でこの人俺の誕生日知ってるの?まぁ大体教えた奴の人相は予想できてるんだけどな。どうせあのポンコツ本部長だろうし、いいか。

 

 

カナエ「八幡さん、抱き着いていい?抱き締めていい?そうすれば八幡さんも合理的に私に抱きつくことが出来るわよ♪あっ、もちろん八幡さんから抱き着いてくるっていうのも私は大歓迎よ♪むしろ推奨したい位だわ!八幡さんどうするの?」

 

八幡「なんかやる流れにさせてますけど、やりませんからね?これ以上変態扱いされたくはないですから。主にしのぶとかに。」

 

カナエ「大丈夫よ〜。今此処は人払いをさせてあるから誰も近寄らないもの。だから……ね?」

 

 

何が『ね?』なの?それはやれって事なの?そしてやめてくれません?そんな期待を篭めた目で俺を見るのやめてくれません?

 

 

カナエ「………八幡さん、してくれなさそうだからまた今度にするわね。」

 

八幡「できればその日が来ない日を祈りますよ。」

 

カナエ「もう〜八幡さんだって嗅ぎたいくせに。」

 

 

………否定はしません。良い匂いだから。

 

 

カナエ「………あぁっ!?そうだわ!」ガバッ!

 

八幡「何ですか急に?」

 

カナエ「すっごく大事なこと忘れてたの!八幡さんと会ったらやろうと思ってた事!」

 

八幡「………それって?」

 

カナエ「五分の盃っ!」

 

 

…………………………え?

 

 

八幡「え?盃?」

 

カナエ「すっかり忘れてたわ!ごめんね八幡さん、今すぐ盃と神酒を持ってくるから!」

 

 

カナエさんはそう言うと、一目散に部屋から出て行ってしまった。お酒取りに行ったのか?

 

 

カナエ「ごめんね八幡さん、お待たせ〜!それでねぇ〜八幡さん、私と五分の、兄弟の盃を交わしてくれないかしら?」

 

八幡「何でですか?7分3分でも充分でしょう?どうして五分何ですか?」

 

カナエ「だって時崎組長が羨ましかったんだもん!自慢気に八幡さんと兄弟になったんだ〜って言うのよ!?だから私も八幡さんと兄弟になろうって思ったの!ダメかしら?」

 

 

理由が私的過ぎる………

 

 

八幡「……まぁいいでしょう。俺が引き下がっても、貴女は引き下がらないでしょうしね。」

 

カナエ「うふふ、やったぁ♪」

 

 

カナエさんは早速盃に神酒を入れ始めた。鼻唄を歌いながら準備をする姿は本当に嬉しそうにしていた。俺と兄弟になるのがそんなに嬉しいかね?

 

 

カナエ「はい、これ!八幡さんの盃っ!」

 

八幡「どうも。」

 

カナエ「じゃあ腕を組んで飲みましょう?」

 

 

………近いな。しかも見つめ合って飲むとか、かなりやり辛い気がする。けど飲まないとな。

 

 

カナエ「うふふふっ♪これで私も八幡さんと兄弟に……やったわ!皆に自慢出来ちゃうわ〜!」

 

 

自慢する人、居るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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