八幡side
各学年毎の種目、全校合わせた種目を一通り終えた。予定ではこの後にあるのは、1〜2時間くらいの昼食の時間だ。
放送係「これにて、午前の部を終了します。次の種目は昼食後となります。皆さん、時間に遅れないように気を付けながらお昼を楽しみましょう。」
この学校では学校の友人同士で食うもよし、親が持ってきたのを食べるのもよし、どちらをとっても良いのだ。俺はどちらでもなく、1人で食べていた。去年までは……そう、去年までは。今年は………
カナエ「八幡さ〜ん!お昼ご飯食べましょう〜♪」
………最強の姉的な存在がいるから無理だろう。
八幡「行くしかないか。狂三、いこうぜ。」
狂三「八幡さん、私はお呼びではないようですが、よろしいんですの?」
八幡「いや、カナエさんの隣見てみ?」
だって狂四郎さんすげぇ見てるんだよ?アレ絶対連れて来いって言ってるようなもんだろ。
狂三「………分かりましたわ。」
八幡「なんか悪いな。」
ーーー観客側ーーー
八幡「お待たせしました。」
カナエ「待ってないから大丈夫♪狂三ちゃんも一緒に食べましょう。でないと時崎組長がうるさそうだものね〜♪」
狂四郎「失礼な事言うんじゃねぇよ。」
さっきまで俺のこと睨んでた人が何言ってるんですか?狂三大好きファザコンですか?
カナエ「よければ麗さんもご一緒に。皆で食べた方が美味しいですから。」
麗「……では胡蝶組長のお言葉に甘えて、ご一緒させてもらいます。」
こうして俺ら極道一派は全員で食べる事になった。
ーーー5分後ーーー
………のは良いんだが、何故こうなった?
今縁を描くように座っている。俺を基準にして順で行くと、俺・麗姉さん・狂四郎さん・狂三・しのぶ・カナエになって、俺のあぐらにカナヲという奇天烈な陣形になっている。
八幡「……あの、カナヲ?何で?」
カナヲ「………?」キョトン
八幡「いや、本当に分かってない!?何でお前が俺の足の上にいるかって聞きたいんだ!」
カナヲ「………八幡の身体を、暖める係。」
八幡「いやそれ要らないから。しかもそれ前にも同じような台詞を聞いた気がするぞ。太陽の光で充分暖かいから結構だ。これだと食べにくいから退けてくれ。」
カナヲ「……私はここが良い。八幡には私が食べさせる。」
いや、そんなこと言われても……
カナエ「カナヲ……やるわね。」
いやどこに関心持ってるんですか?貴女の妹なんですから止めて下さいよ。俺の足の上から下ろさせてよ。てこでも動かないつもりだよこの子。
麗「私もああした方がいいのかしら?」
どこに対抗心燃やしてるんだよアンタは。こんな事に燃やすくらいならライバルの店追い抜く事に燃やしてくれよ。
八幡「カナヲ、退いてくれないの?」
カナヲ「………」ニコッ
おい、こいつ笑いやがったぞ。カナエさんから教えてもらったであろう、困ったら笑う作戦………どんな作戦だよ。
狂四郎「おいおい、そんな事はいいから早く食おうぜ。八幡はそこの嬢ちゃんに食わしてもらうなり、隣にいる2人に食わせてもらうなりして貰えば良いじゃねぇか。」
2人「その手があったわ!」
八幡「いやねぇよ、自分で食うわ。」
それから程なくして食事を開始するのだが、俺は自分で食う事は叶わず、カナヲ・カナエさん・麗姉さんの3人から食べさせらてもらう事になった。狂四郎さん、恨みますからね?にしてもこれ誰が作ったんだ?めっちゃ美味い。
狂四郎「……んぐっ。なぁ兄弟、いつになったら俺の事をタメで呼んでくれんだ?もうすぐ半年経つぜ?もうそろそろさん付けは無しにしてくれよ。」
八幡「いや、そう言われても……立場で気にしますので。簡単に呼び捨てにするのはちょっと……」
カナエ「それを言うなら私とも盃を交わしたんだから、私も呼び捨てにして欲しいわ!さっきはしてくれたじゃない!」
え?さっき?
八幡「何の事です?俺呼び捨てにしてませんよ?カナエさんはずっとカナエさんって呼んでますよ?」
カナエ「借り物競争で私を連れて行く時に、『行くぞカナエ!』って言ってくれたわ♪もうあの時すっごくキュンと来ちゃったもの〜♪旦那様に名前で呼ばれるのってこんな感覚なのかしらね〜♡」
例えの話だよね?旦那っていたらの話だよね?
麗「うふふ、八幡。私の事も『麗』で良いのよ?1度呼んでみて?」
八幡「……麗。」
麗「っ………これからは麗って呼ぶ事にしましょう。良いわね八幡?」
八幡「まぁ俺も姉呼びにこだわりは無いからな、麗がそれで良いなら俺もそう呼ぶ。」
呼び捨てに拘る意味は分からないが、取り敢えずはこれで収まって「八幡さん、私と時崎組長がまだだけど〜?」………忘れてなかったか。
八幡「………つまり狂四郎とカナエって呼んで、今みたいな口調で話せってことか?」
カナエ「そう!まさに今のそれ!その口調で喋って!八幡さんには普段通りの喋り方でお話したいの♪ねっ、お願い!」
狂四郎「俺は胡蝶程の頼みではないが、もう兄弟なんだし、そろそろ良い頃合いだと思っただけだ。」
八幡「分かったよ、今日からはこれで行く事にする。もしかしたら敬語になるかもしれないが、勘弁してくれよ。」