やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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引き継ぎと気持ち

 

 

八幡side

 

 

浅見「ーーー以上が今回の誘拐事件の顛末でございます。」

 

涼「………そうか、白石のバカもここまでするようになって来たか。これはもう幹部会で言ってやらねぇと奴も分からねぇか?」

 

八千代「毎度毎度困ったものね。」

 

浅見「………そこで先方の雪ノ下建設様と若様の間で提案があったのですが、お聞きしては下さらないでしょうか?」

 

涼「ほう、聞こうか。」

 

八幡「………前回も今回も、比企谷組には関係ないとはいえ、組織的には少なからず関係しているとも言えます。この前のナンパでは本部長が話をつけてくれたからそれで解決しましたが、今回の件は事が事なので雪ノ下建設からの謝礼は受け取らないようにしました。しかし相手側は納得のいかない様子でしたので、私は誠に身勝手な事ですが、相手側にある提案をしました。」

 

八千代「……それは?」

 

八幡「雪ノ下建設の上納金を比企谷組ではなく、新しく発足する私の組に納める事です。」

 

 

親父と母ちゃんの真剣見が変わった………こりゃ下手な事は言えねぇ。

 

 

涼「………続けろ。」

 

八幡「はい。これについてはまだ決定ではありません。雪ノ下建設代表取締役社長 雪ノ下秋乃さんと親父の承諾があって成立するものです。先方は承諾して上納金の準備を始めると仰っていました。親父が承諾すれば成立して、今後は比企谷組ではなく私の組の上がりになります。不成立の場合は今までと変わりません。全て親父の判断で決まる事です。身勝手な事をしてしまい、申し訳ございません。」

 

涼「いや、それはいい。雪ノ下建設もお前の事を信頼したから承諾したんだ。けどな八幡、雪ノ下建設はウチの組の中でも上納金が上の方だ。それを比企谷組からお前の組に移動するってのが、どんなことが分かるか?ウチの信頼を丸ごとお前が引き受けるって事だ。お前がヘマすりゃその分相手の信頼も無くなる。その事をよく覚えておけ。」

 

八幡「………はい。」

 

涼「雪ノ下建設はお前に任せる。ていうか任せる気だったしな。お前なら上手く出来んだろ。」

 

八幡「ありがとうございます!」

 

 

よしっ!親父からの許可も貰えた!これで雪ノ下建設と俺の組のシノギが成立した!

 

 

八千代「八幡、あんたの所でシノギをやってた4人が居るでしょ?その4人が受け持っていた所も引き続きやらせるから、そこから伸ばしていきな。浅見ちゃんもいい?」

 

八幡「はい。」

 

浅見「分かりました!」

 

涼吾「よし、じゃあ行っていいぞ。今日はご苦労だったな。」

 

2人「失礼します!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅見「はぁ………やはりあのお2人の前だと緊張します。普段優しい八千代様も真剣になるとあんなにも雰囲気が変わるのですから。」

 

八幡「責任ある立場にいるからな。それにこっからは雪ノ下建設のパイプは俺たち次第って事になる。休めるのは今のうちかもしれねぇからな、浅見。」

 

浅見「はい、明日から忙しくなりそうです。」

 

 

明日の学校でも雪ノ下が何かを言ってきそうだしな、ちょっとだけ覚悟しておかねぇとな。

 

 

八幡sideout

 

陽乃side

 

 

ーーーバスルームーーー

 

 

………2度も助けられた。1度目は偶々だと思うけど、2度目は確実に私の為に……ううん、もしかしたら雪ノ下建設の令嬢っていうのがついてるかもしれないけど、それでも嬉しかった。私の為に助けに来てくれたのが。

 

それに………ここ最近では初めてな気がする。誰かに抱き締められたのは。しかもあんな風に全身を包み込んでくれた………

 

 

陽乃「………」

 

 

あの感覚。常に守られているような感じだった。きっと忘れられないと思う。しかも私が抱き締めても嫌な顔1つしなかったし、鼻の下も伸ばしてなかった。普通の男の子なら伸ばしてもおかしくはないのに。雰囲気の問題もあったかもしれないけど。

 

 

陽乃「比企谷……八幡……///」

 

 

ちょっと……良いかも///

 

 

ーーー渡り廊下ーーー

 

 

陽乃「………」

 

雪乃「っ!姉さん、大丈夫?」

 

陽乃「?あぁ雪乃ちゃん。うん、大丈夫。心配してくれてありがとう。どうかしたの?」

 

雪乃「……母さんが呼んでいたの。私たちに話ががあるって。」

 

陽乃「雪乃ちゃんにも?」

 

 

………やっぱり比企谷くんの事かな?

 

 

陽乃「……お風呂上がりでも良いなら今すぐ行こっか。待たせちゃ悪いしね。」

 

 

ーーー応接室ーーー

 

 

雪乃「母さん、姉さんを連れて来たわ。」

 

秋乃「ありがとう雪乃。じゃあこれで揃ったわね。早速本題に入りましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋乃「貴女たち、比企谷八幡さんとお付き合いする気はないかしら?」

 

 

ポクッ ポクッ ポクッ チーン…………

 

 

雪乃「あ、あの……母さん?今比企谷くんと交際する気はあると聞いたのかしら?」

 

秋乃「えぇ、その通りです。」

 

陽乃「随分彼を買ってるんだね……でもどうして?彼とは初対面でしょ?」

 

秋乃「えぇ、初対面よ。話をするのも今日が初めて。この前は彼の母親と会話だったから。」

 

雪乃「だとしたら尚更分からないわ。どうして母さんは初対面の人と私たちを付き合わせようと?」

 

 

そうだよね雪乃ちゃん。1番の疑問はそこだよ。お母さんが見ず知らず……では無いけど、全く知らない他人と私達をくっつけようとするはずがない。

 

 

秋乃「そうね……1つ確実に言えるのは、彼の人となりですね。あの年でよくやっているものです。彼の生きている社会では上下関係が激しいものです。それに加え殆どが年上の男性です。それに臆さずにあの業界にいるのは、並々ならない精神が居るでしょう。そして自分より遥かに年上の人にも立ち向かっていく程の勇気もあります。私に対しても目を1度も逸らさずに話していましたから。」

 

 

わ、わぁ……お母さんがベタ褒め。

 

 

秋乃「後、これは確信なのだけど、貴女たちも彼の事を気に入っているのでしょう?」

 

2人「っ!?」

 

秋乃「ふふふっ、どうやら図星のようですね。」

 

陽乃「な、何で分かるのかな?」

 

雪乃「そ、そうよ母さん。勝手に決めつけられては困るわ。」

 

秋乃「あら、そう?私も彼のことを気に入ってしまったから、貴女たちもそうなのだとばかり思っていたのだけど?」

 

 

ま、まさかのお母さんの中でもお気に入りに入ってた!?あの短い時間の中で!?

 

 

秋乃「やはり親子ですね。好みの殿方のタイプも似るようですね、ふふふっ。」

 

 

………何だか、お母さんからこんな風に言われたの、初めてな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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