やはり俺の極道生活はまちがっている   作:生焼け肉

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中学の真実 ②

 

 

八幡side

 

 

ーーー回想ーーー

 

 

折本にお断りと今後の誘いは無しということを告げた翌日、俺はいつも通りに登校して、いつも通りに教室に入った。すると俺の机の上はカッターか何かで切りつけられていたのか、メチャクチャになっていた。誰がやったのかは分からないが、ものすごく幼稚な事をする奴だと俺は思った。

 

俺はその机を替えてもらおう、なんて事はせずにそのままで過ごした。だってノートとか下敷きとか敷いておけば問題ねぇじゃん。

 

 

すると同じクラスだった永山という奴が来た。

 

 

永山「おい比企谷、お前折本からの誘い断ったんだってな?」

 

八幡「あぁ。放課後にはちょっとやる事があるから、今後はそういうのなしにしてくれって言っただけだ。」

 

永山「何でそれを最初から言わねぇんだよ?」

 

八幡「いや、最初はこんなに何度も誘ってくれるとは思ってなかったからだよ。だから昨日、放課後はそんな暇ないからやめてくれって。」

 

永山「やる事ってなんだよ?」

 

八幡「それを言う必要ってないだろ。」

 

中島「それってさー、なんかヤバいことに手を染めてるって事?」

 

八幡「何でそうなる?ちげぇよ、ただの親の手伝いだ。もういいだろ?」

 

永山「はぁ?まだ終わってねぇよ。」

 

 

この時は学生によくある口喧嘩程度にしか考えていなかった。最初は確かにそうだった。しかし日を追う毎にそれは段々とエスカレートしていった。

 

しかもこんなご都合解釈までされる事も日常茶飯事だった。

 

 

・比企谷は何かヤバい仕事をしている。

・同中の女子を振って他校の女子と付き合ってる。

・酔っ払ったオッサンからカツアゲしている。

・年齢偽装して風俗に行ってる。

・不良グループを組んで女を強姦している。

 

 

どれもこれも確信の無い噂だ。した事もねぇし、やろうと思った事もねぇし。だが中学生とかはそういう噂とかに流されやすい。簡単に信じてしまうのだ。

 

 

永山「おっ、ヤリ谷くんの登校〜!昨日は何人とヤったんだ?教えてくれよ、なぁ?」

 

中島「俺らにもそのテク教えてくれよ〜。」

 

 

特にこの2人、永山と中島はよく俺にこうやって突っ掛かってくる。面倒だがかなり効果的なやり方なのだ。黙ってたら黙ってたで認めるようなものだし、言い返したらまた何か別の切り口に変えてくる。だからといって暴力を振ったらそれこそ大問題だ。中学は義務教育だから親が出てくる。そうなるともっと事態はややこしくなる。そうなると思って俺はこの2人を無視していた。

 

そういう学校生活が続いて、俺の立場は無いにも等しい。だが2人を除いては、立場のなかった俺に話しかけてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有栖「八幡さん、此処では気を緩めても大丈夫ですからね。此処には貴方を虐めるような人はいません。安心して下さい。」

 

折本「坂柳さんの言う通り、あたしらは比企谷がそんな事しないって信じてるからっ!」

 

 

有栖と折本だ。正直この2人には救われた。この2人がいなければ、俺はおそらく参っていただろう。違うクラスだった有栖にも俺の噂は届いていて、即座に対応してくれた。折本は同じクラスだったから動き辛かったようだが、秋頃になってこんな風に俺を慰めに来てくれるようになった。

 

 

八幡「あぁ、大丈夫だ。」

 

有栖「八幡さん、無理はしないようにしてください。お願いしますね?」

 

八幡「分かってる。それに、この落とし前はもうつけてやることにしたからな。1年後に。」

 

2人「?」

 

 

俺は2人のフォローを受けながら3年に進級した。勿論俺への嫌がらせは止まっていない。だがこれもこの先の為だと思って我慢している。流石にやり過ぎだと止めてくれる奴もいたが、当時クラス内で力を持っていた永山には逆らえなかった為、いうだけで終わってしまっていたのだ。まぁそれだけでも俺を助けようとしてくれたのは分かったからそいつは助けるけどな。

 

 

学校内でも暴力によるいじめではなく、精神的な嫌がらせが続いていた。

 

 

・上履き・ジャージを隠される。

・トイレをしてたら水をかけられる。

・教科書をボロボロにされる。

・靴箱に嫌がらせの手紙を入れる。

・上履きに落書きやイタズラをされる。

・机の上に落書きをしたり、切りつけたりする。

 

 

まぁ代表的なのがこのくらいだな。まぁそんなこんながあって卒業式の日までそれが続いた。俺は総武高に進学先を選んだ。理由は地元では誰も選ばない進学校だったからだ。偏差値も高かったから受ける奴は1人もいなかった。俺を除いて。

 

 

そして卒業式の日、俺は卒業生代表の答辞をやる事になった。俺が申し込んだからだ。

 

 

 

八幡「暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の蕾も膨らみ始め、春の訪れを感じる今日、僕達は卒業の日を迎えました。本日、お忙しい中、私たちのためにご臨席くださいました皆さま、誠にありがとうございます。

 

いま思い返してみると、総武中学で過ごした三年間はあっという間でした。3年前の春、真新しい制服に照れながらも、少し大人になれたような気がした入学式。とても不安な中で見たクラス分け発表では知らない人の名前がたくさんありました。この仲間達と共に楽しい3年間を過ごしていくのだと胸を躍らせていました。」

 

 

さて、ここからだな……地獄を見せてやるよ。

 

 

八幡「しかし、現実というのはあまりにも残酷で醜いものでした。2年生になった1ヶ月後、クラスメイトから遊びの誘いを断っただけで学校からは悪者扱いをされ、自分ではやった覚えのない噂を学校中に広められて、とても苦しい思いをしました。文化祭、体育祭、修学旅行、その他多くのイベントでも邪魔者扱いをされて、机の上に落書きをされたり、カッターで傷つけられたり、上履きを隠されてはズタズタにされて返されたりしました。他にもトイレをしていたら水をかけられたり、ジャージを隠されたり、靴箱に画鋲や悪口の書かれた手紙を大量に入れられたりしました。誰がやったのかは分かりませんが、明らかにいじめの範疇を超えていると思っています。」

 

 

全校生徒、教師、保護者、来賓、全員が俺の言葉に騒ついている。まぁまだ終わってないけどな。

 

 

八幡「些細な事から始まったこの虐めですが、いつの間にか3年生全員が関わっていた事に驚きを感じているのと、こんな事に喜びを感じているのかと思うと、ゾッとしました。クラスメイト1人から学年全体にまで広がったこのいじめですが、学校側が何も対処してくれなかったのが1番の驚きでした。まさか2年間もいじめを受けている生徒を放っておくとは思いませんでした。僕の友人の1人が1ヶ月に1度に報告してくれていたのですが、全く対処をしてくれていませんでした。」

 

八幡「最後にこのいじめを起こした生徒の名前と、自分を支えてくれた人の名前をここで言いたいと思います。」

 

 

そして俺はその場でいじめを最後までやり続けた生徒の名前と、支えてくれた生徒の名前を告げた。そして答辞を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、まだ終わりではない。

 

 

八幡「最後に言い忘れましたが、このいじめを起こした主犯生徒の名前は永山と中島っていう生徒で、3-○組の生徒です。名前を呼ばれなかった人は………どうでもいいです。参加していたかもしれませんし、していなかったかもしれません。無視していただけかもしれませんが、長々というのもアレなのでこれで終わりにします。卒業生代表、比企谷八幡。」

 

 

その後、校門前は地獄絵図だった。普通なら喜ぶはずの親御さんだが、子供を叱りつけていたり、怒鳴りつけていた親御さんが殆どだった。

 

 

名前を呼ばれなかった生徒の親も『なぜ知っていて止めなかったの!?』と質問するばかりだった。自分には無関係だから、って答えるしかないよな。まぁそれは返って逆効果だけど。

 

主犯生徒やいじめに参加していた生徒の親はその生徒を連れて俺に必死に謝り続けた。勿論子供も強制的に頭を下げらせてだ。どちらかの頬に叩かれた跡か殴られた跡が残っていたが、俺からしてみれば『ざまぁ見ろ、倍返しだ。』って心境だった。

 

 

俺を支えてくれた、もしくは助けてくれようとした生徒の所には俺から進んで挨拶をしに行った。そうでもしないと親には信じてもらえないと思ったからだ。

 

 

教師も俺に問い詰めてきたが、俺はこう返した。

 

 

八幡『じゃあ何でこうなったのか考えてください。何もしてくれなかったのは先生達ですよね?友人がいじめに遭っている人がいるって説明した筈ですけど、聞かなかったのはそっちでしょう?』

 

 

そう言ったら何も言い返せずに黙るだけだった。なんかもう………呆れちゃったよ。

 

 

っとまぁ、これが最悪の中学時代の真実だ。あまり気分の良い話じゃないだろ?だから嫌だったんだよ、この話をするのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





八幡の容赦の無さがエゲツねぇ………

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