世界ランカーにはチートはいりませんよ。   作:天道 士

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 次の投稿は明日、もしくは一週間後、あるいはそれ以外の日になると思います。


第十三話

 

 

 

主人公side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は勝手に自分のことだけを言いたいだけ言い、彼女のことを見向きもせずに話し終わった後も、一人泣いていた。

 

 ふと彼女を見ると、彼女が震えていた。おもわず俺は彼女の手を握ってしまった。俺には彼女をどうすることも出来ないのに。する資格もないくせに。

 俺は黙って、彼女の震える手を握っていた。

 彼女は何も言ってこなかったが、俺の手を振り解こうとはせずに黙って握っていた。

 

 

 

 いつの間にか店内は誰も居なくなっており、それに気付いて俺は今更ながら安心した。

 

「詩乃、家帰ろう。」

 

 彼女は俺の手を握ったまま何も言わずに立ち上がった。

 

 彼女の震えは、止まっていた。

 

 

 店を出ると、辺りはすっかり暗くなっており、帰る途中、誰一人としてすれちがうことはなかった。

 

「そう言えば、詩乃の家ってどこにあるの?」

 

 自分のアパートについてから、慌てて気付いた俺は、彼女にそう聞いた。

 

「ここ。」

 

「っえ、そうなんだ。本当に近くに住んでいたんだね、僕達。」

 

 エレベーターに乗ると、詩乃が10階のボタンを押した。

 押してから気付いたのか彼女は慌てて、

 

「直樹は何階に住んでるの?」

 

 と聞いてきた。

 

「10階だけど……。」

 

「ホント、偶然ね……。」

 

 エレベーターが止まり、俺は自分の部屋の前で足を止めると、彼女も足を止めた。

 

「俺(私)、ここだから。」

 

 そう言って、俺が指差した部屋の隣の部屋を彼女は指差していた。

 

「僕たち、隣に住んでて全く気付かなかったっていうことかな……。」

 

「そういう事になるわね。」

 

 どこか微妙な間が開いた後、

 

「ねえ、直樹。今日は貴方のところに泊めてくれない。」

 

 と彼女が言った。

 

 俺は驚いたが、黙って頷いた。

 

「意外と片付いているのね。」

 

 リビングに来て彼女が発した最初の言葉は、なんとも素っ気ないものだった。

 

「意外とは、失礼だなぁ。これでもきちんと掃除してるんだよ。あ、お茶持ってくるね。」

 

 そう言って、台所へ向かおうとした俺の手を彼女が掴んだ。

 

「いい、大丈夫。ここにいて。」

 

 俺は言われるがまま、彼女の隣に腰を下ろした。

 

「直樹は、自分のこと俺って言うのね。」

 

「あははは、」

 

 俺はカフェでのことを思い出し、おもわず苦笑いした。

 

「別にいいわ。そんなことくらい____。

 私ね、直樹。私、人を殺したの。

 5年前東北の小さな街で起きた郵便局の強盗事件で。報道では、犯人は銃の暴発で死んだってことになってたんだけど、本当はその場にいた私が、強盗の拳銃を奪って撃ち殺した。」

 

 彼女は俺に寄りかかり、下を見つめながらそう話始めた。

 

「11歳のとき。それから私、銃を見ると吐いたり倒れたりしちゃうんだ。

 銃を見ると、殺した時のあの男の顔が浮かんできて____。

 怖いの、すごく怖い。」

 

「でも____。」

 

「でもGGOでなら大丈夫だった、シノンは違ったの。

 だから思ったんだ。GGOで一番強くなれたら、きっと現実の朝田詩乃も強くなれる、あの記憶を忘れることができるって。

 なのにシノンはいくら強くなっても、現実の私は弱いまま。きっとbobで優勝しても、多分それは変わらないと思う。」

 

 

 そこで、詩乃の話は途切れた。

 

「でも私、貴方と出会って、直樹の話を聞いて、私以外にも同じ経験をして苦しんでいる人がいるってことを知った。私は辛い過去のことから逃げてばかりだけど、直樹はしっかりそのことに、向き合っているんだってわかった。 

 だから私決めたの____。」

 

 詩乃は立ち上がり、こう言った。

 

「私も、私から逃げない。自分の過去としっかり向き合うって、貴方がさっき話してくれたから決められた。

 ありがとう、直樹。」

 

 そう言った彼女の顔は出会った時よりも少し、輝いているように見えた。

 




 ここまで読んで下さりありがとうございます。
 感想などをいただくと、励みになります。
 あと、シノン可愛い。

???の正体は誰がいいでしょうか。

  • 主人公(黒田直樹)
  • 新たな敵(既存)
  • 新たな敵(オリキャラ)
  • シノン(朝田詩乃)
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