この素晴らしい読者様に祝福を!   作:めむみん

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皆さんいつもありがとうございます!
この度『この素晴らしい世界に⚫⚫を!』のハーメルンにおける評価者数が50人になったことを記念して投稿する作品です。
このストーリーは『【リレー小説】 この紅魔の乙女達に恋愛を!』の題材決めの時に勾玉さんが出してくださったお題を少しだけ変えた物に近いので宣伝させていただきます。

【リンク】
勾玉さん https://syosetu.org/?mode=user&uid=243097
リレー小説 https://syosetu.org/novel/205900/
⚫⚫を! https://syosetu.org/novel/162652/



忘れられる勇者 ー前編ー

-WASURERARERUYUUSYA (zenpen)-

 

「サトウカズマだな」

 

突然現れた男はそう言った。

質問、と言うよりは確認の様だ。

 

「そうだが、何の用だ?」

 

身なりは公務員のようにピシッとしたスーツのようなもの。

セナに容疑掛けられた時みたいに思えてくる。

 

「貴様には死んで貰う」

 

言って男は俺に近付いた。

 

「は?あんた何いっ、ぐっぁあああああ!?」

 

腹部を襲う熱さに俺は叫んだ。

今まで即死だった事を感謝する程の痛みだ。

 

「これで我々の復讐はあと一段階だ。無様に抗えサトウカズマ。フハハハハハ」

 

バニルのような高笑いをして男、いや、悪魔は去って行った。

そして俺は気を失った。

 

 

 

「・・・・・・い・・・・・・・・・」

 

何かが聞こえる。

 

「・・にい・・・・・・ど・・・」

 

まあ、殺されたんだからエリス様だろう。

 

「おい・・・・・・いちゃん・・しっかりしろ」

 

あれ?男の声?それに何処かで聞いた声だ。

 

「・・・ちゃん!しっかりしろ!大丈夫か!」

 

どうやら生きながらえたらしい。

しかし、この声は・・・

 

「だ、大丈夫だ。テイラー悪ぃな」

「そうか無事で良かった」

 

知り合いに見つけて貰えて助かった。

しかし、刺された筈なのに傷がない。

どうなってるんだ?

 

「何があったと聴きたい所だが、如何して俺の名前を?」

 

そんな事をテイラーは不思議そうに聴いてきた。

 

「如何しても、何も、昨日も一緒に飲んでただろ」

 

互いの仲間の愚痴を散々語り合ったってのに、何を言っているのだろう。

 

「・・・すまない。昨日の事はあまり覚えていなくてな。飲み過ぎて記憶が飛んでしまったみたいで」

「いやいや、もっと付き合い長いだろ。ダストとパーティー交換した時から結構経つし」

「え?その事知ってるのか?・・・君の名前は?」

「佐藤和真だよ!魔王倒した勇者の!」

「・・・魔王倒したのはアクアさんのとこのパーティーだろう?あんた本当に大丈夫か?」

 

何がどうなってんだ。

テイラーも冗談言ってるようには見えないし。

 

「悪い、ちょっと気が動転してた。これはお礼だ。じゃあまた」

「お、おい。お礼なんていらな・・・」

 

俺はテイラーから逃げ出した。

 

 

 

混乱したまま俺は屋敷に帰った。

今はちょむすけにエサをあげて癒しタイム。

しかし、何故テイラーは俺の事を知らなかった?

考えられるのはあの悪魔か。

・・・何か嫌な予感がしてきた。

 

「ちょむすけ〜帰って来ましたよ〜。今からエサの準備し・・・だ、誰ですか!?どうやってここへ!?」

 

うっ、分かってたとは言え仲間から言われるのはきついな。

 

「あっ!ちょむすけを返してください!その子が目的なのは分かってます!」

 

しかもめぐみんから言われるのが何よりきつい。

 

「何ですか?泣き落としですか?そんな手には乗りませんよ!」

 

泣いてるのか。

俺。

そりゃそうだよな。

好きな子から忘れられた訳だからな。

 

「俺の事が分からないのか?」

 

掠れるような、か細い自分の声とは思えないそんな声で聴いた。

 

「何訳の分からない事を言ってるのですか?早くちょむすけを離して出てってください!今なら見逃してあげますから」

「めぐみん?何を騒いで・・・この男はどうしたのだ?知り合いか?」

 

ダクネスが入って来た。

この感じは間違いなく忘れられているだろう。

 

「違います!帰って来たらこの男がちょむすけを餌付けしてたんですよ!それに訳の分からない事を言ってるので、どうしようか悩んでいた所で」

 

話を聞いたダクネスは臨戦態勢に入り、敵感知に感あり。

もう此処は駄目だな。

そういや、めぐみんからは敵認識されてないのは何故だろうか?

全く反応がない。

ちょむすけって言うよりウォルバクの関係者だと思っているからだろうか?

 

「何用だ?金に困っているなら幾らかはやろう。次このような事がっておい!待てっ!」

 

聞くに耐えず、俺はまた逃げ出した。

するとちょむすけが俺を追い掛けて走って来た。

 

「ちょむすけ!付いて行ってはダメです!」

「めぐみん待て。あの男は武器を持っている。近付くのは危険だ。ここは私が」

 

お前ら相手に刀抜く訳ないだろ。

って言っても通じないよな。

ちょむすけは俺を引き止めようとしているのか、足元で擦り付いてくる。

 

「ちょむすけ。お前は俺の事分かるのか?」

 

この問いにちょむすけはなーうと鳴き、顔を舐めて答えた。

 

「何を言っているのだ?そんな事より今すぐちょむすけを解放しろ!」

「言われなくても、もう離すさ。ちょむすけ、めぐみんの事頼んだぞ」

 

俺の言葉にちょむすけは悲しそうに鳴いたが、理解したのか、めぐみんの下へとゆっくり近付いて行った。

 

「めぐみん、あの男は本当におかしいぞ。今ここで捕まえた方がいいのではないか?」

「ですが、見逃すと既に言ってしまいましたし」

 

 

二人がそんな言い合いをしている中、俺は夕日が沈み行く街へと消えていった。

 

 

 

人が死ぬのは身が亡びた時ではない。

誰からも忘れ去られた時である。

あの有名な言葉を感動シーンではなく絶望的場面で実感するとは。

『貴様には死んで貰う』

この意味が分かった。

分かったからどうと言う訳ではないが、今後の身の振りが分かっただけマシだろう。

しかし、宿屋を取ろうにもこの時期はどこも満室。

馬小屋も寒過ぎて使えない。

高級ホテルくらいしかないが、一日泊まればそれで持ち金は無くなる。

俺はどうすればいいのだろうか。

頼る宛もなく、人通りの少ない路地裏で、独り憂鬱な時を過ごす。

留置所に入れられていた時の方がまだマシだ。

 

「おい、どうした?兄ちゃん大丈夫か?」

 

俺に声を掛けたのはダストだった。

嬉しさから近付こうとしたが、一歩踏み止まり、俺は一言大丈夫だと伝えて立ち去ろうとした。

すると・・・

 

「カズマか?何やってんだこんな所で?泊まるとこねえなら俺の部屋に『ダストッ!!』ってお、おい、……何が大丈夫だ」

 

俺は思わずダストに抱き付き、そのまま泣いた。

さっきまで押さえ込んで考えないようにしてた寂しさが、どっと押し寄せて来た。

 

「はあ、何一人で背負い込んでんだ。勇者様がこんなのでどうすんだよ」

「ううっ、だ、だすとは、ひくっ、おれのことおぼえて」

「……勿論、覚えてるって言ってやりたいが、悪ぃ覚えてねえ」

 

だったら如何して?

まだ会ってないのに俺の事が?

 

「テイラーから聞いたやつと同じ容姿で、絶望的な雰囲気醸し出してたから、そうだろうって思ってな」

「な、なんで……それでおれを」

「そんなのダチだからに決まってんだろ。俺が声掛けた時の表情で分かった。あいつと同じ顔だったんだよ」

 

あいつって?

 

「死んでからしか思い出せなかった幼馴染にな」

 

そう言い放ったダストは、まるで別人のような優しい顔をしていた。

そして、その幼馴染を思ってか辛そうにしていた。

 

「お前は死なせねえからな!カズマ!記憶になくてもお前はダチだ!早まった真似はするなよ!」

「ダスト、ありがとう」

「取り敢えず飯だな。所でカズマ、今金持ってるか?」

 

うん。

やっぱりこいつはダストだ。

別人かとも思ったけど間違いない。

 

 

 

ダストに連れられ、テイラーのパーティーに合流した。

話を聞いた三人は俺と言うより、ダストの行動を疑っていたが快く迎えてくれた。

一晩泊めて貰い、朝食を済ませた俺は、一度みんなと別れてあの店に向かった。

 

「へい、らっしゃい!意中の爆裂娘から忘れ去られ、知り合いのチンピラ冒険者に救われ、軽く惚れかけた小僧よ。このガラクタはいかがか?」

「要らねえし、惚れかけてなんかねえよ!変な事言うな!・・・ってやっぱりお前は覚えてたのか」

 

最悪覚えてなくても見通せば、分かるだろうけど。

 

「我輩を誰だと思っておる。成り上がり悪魔のしょぼい魔法なぞにやられる訳がなかろう。そこのポンコツ店主とて、小僧の事を覚えておるぞ」

 

バニルが言った先を見ると煙上げながら倒れるウィズが居た。

 

「ウィズ大丈夫か?」

「あっ、か、カズマさん。いらっしゃいませ。お見苦しい所をすみません。今日はお一人ですか?」

 

バニルの言う通り、ウィズも俺の事を覚えていた。

 

「まあ、色々あってな。それでバニル。さっき言ってた悪魔の魔法って何だ?」

「被術者に関する記憶、いや、記録を抹消する魔法だ。小僧の場合は記憶だけで済んでいるが、これは鬱陶しい神どもが迅速に対応したからであろうな」

 

神ども。

つまりアクアやエリスが動いてくれた訳で。

 

「アクアは俺の事、分かるのか?」

「曲がりなりにも神であるならば、この様な魔法にかかりはしないであろうな。そもそも眩しさに溢れたあの世界へ干渉出来る悪魔などおらん。チンピラ女神が姿を見せぬのは対処に追われているからと考えれば分かるだろう?」

「どうやったら元に戻る?」

 

完全に忘れ去られた訳ではないなら頑張れる。

 

「これ以上聞くのであれば」

「全部買ってやるから早く教えろ!」

 

仲間から忘れられる状態からの解放なんて、いくら払っても足りないくらいだ。

 

「おお!さすがお客様!では一つ目といこう。この魔法の効力はチンピラ女神どもによって、一週間もすればなくなる。しかし、それだとお客様の仲間が死ぬ事になる」

「そ、それはどう言う」

 

仲間って事はめぐみんとダクネスか?

 

「成り上がり悪魔はお客様のパーティー。特にお客様と爆裂娘に復讐しようと企んでおる。この先は言わずとも分かるであろう」

「めぐみんが狙われてるのか!今すぐ助けに行か、ない、と・・・」

「うむ。お客様は見事に術中に嵌ってしまった訳である」

 

あああああ!

何も考えずに帰った俺のバカ!

 

「じゃあ俺はどうすればいいんだ?」

「この後、爆裂娘と変態騎士は二人でクエストへ出掛けるようだ。後を潜伏スキルで追い、成り上がり悪魔が現れたのならば、それを倒すと言うのが、一番可能性として高いものだ」

 

カウンターで倒すって訳か。

やってやろうじゃねえか。

魔王以来の真剣な殺り合いだ。

出来ればやりたくないけど、仕方ない。

二人が危ないのだから。

 

「お客様、二千万エリス追加で、露払いは要らぬか?」

「それも頼む。全部終わったら払ってやるよ」

 

言って不敵に笑うバニルを後目に店を出た。

 

 

 

街を出て数分。

二人を見つけた。

あと、後ろを見ると、バニルとウィズが居た。

何故かウィズは凄い血相になっている。

一つ言えるのは、前に居るであろう敵の方が怖くない。

そんな気にさせる程、怖かった。

 

『アクアは今日も帰って来ないのでしょうか?』

『まあ、女神の仕事が忙しいのだろう』

『そうですね。あっ、見えてきましたよ。憎きカエルどもです』

 

めぐみんの言う通り、ジャイアントトードがうじゃうじゃ居た。

そう。

大量に居たのだ。

明らかに人為的な現象だ。

周りを見回すと、詠唱中のめぐみんに矢を向けている奴が居た。

その近くにバニルが向かっている。

露払いってそういう事か。

いや、でもこれはバニルも間に合わなっ!?

くそっ!こうなったら!

 

「最高のシチュエーションです!ダクネス、帰り頼みますよ。『エクス「『ウィンド』ッ!」・・・え?」

 

風で矢の針路を変えようとしたが無理だった。

こうなったら!

 

「『パワード』ッ!」

「・・・あっ!貴様は!めぐみんには手を出させないぞ!」

 

ダクネス達からは、死角となって見えていないのだろう。

 

「ぐっ!?・・・鉄塊でやられる海兵にはならずに済んだな」

 

そう思い、傷痕を見たのだが、何も無かった。

そこに刺さっているはずの矢がなかったのだ。

振り向いて確認するも、何処にも矢はない。

ただ血が伝っていた。

 

「何を言っている!次現れたらと言ったはずだぞ!」

「お前らとやりあうつもりはねえ!」

 

俺がそう言った直後、警官風のあの悪魔がやって来た。

 

「キミたち!大丈夫か!そこの男は指名手配中の悪魔で、くっ、私はそう簡単に負けない!」

 

こ、こいつ!

完全に二人殺そうとして近付いてた。

俺の反応が遅れて、初手がめぐみんならば終わっていた。

しかし、この状況だと、ダクネスは、

 

「何!?そうだったのか!助太刀感謝する」

 

くそっ!

一番の敵を味方と思いやがって。

近接戦は苦手だってのに、当たらないとは言え、敵が増えるのはまずい。

しかもめぐみんの奴、此方に杖構えてる。

逃げたりしたら俺は死ぬな。

 

「ダスティネス卿、ご無事で何よりです」

 

こいつの攻撃は、さっきから俺には一切向けていない。

俺が避けるとめぐみんかダクネスに当たる方向に繰り出している。

四面楚歌の方がマシだろうな。

本当にみんながそっちに心移りしてたとして、一緒に居る仲間は仲間なのだから。

 

「さあ、抵抗せず捕まれサトウカズマ!」

「捕まってたまるか!『スリープ』ッ!・・・ちっ、やっぱり効かねえか」

 

対峙した時に、レベル的に無理だとは感じていたが、残念だ。

 

「賊め!卑怯な手を!しかし、あの男も耐性があって助かった」

 

何も助かってない。

俺が殺られれば、少なくともめぐみんは死ぬ。

ダクネスは硬いから何とも言えないが。

そして、そのめぐみんはと言うと、ずっと俺を見てる。

信じられないモノを見るかのような目で俺を。

 

「姑息な手ばかりだが、一時しのぎで私から逃げられると思うな!」

 

これはヤバい。

何がって、範囲攻撃だ。

向きを変えないと二人が!

ってこいつ!

下級悪魔召喚しやがった!

ダクネスは俺が召喚したと思ってるだろうな。

 

「ふっ、流石、英雄。敵と言われてもなお、仲間を守るか。無様に散れ!」

 

剣の摩擦音で、俺にしか聞こえない声量でやつは言った。

最後は掛け声のように大声だったが、様子が変だ。

キョロキョロしだした。

なるほど。

バニルの露払いか。

ホント助かる。

 

「・・・」

「残念だが、援軍は来ねえよ!『ライトニング』ッ!」

 

言って俺は愛刀ちゅんちゅん丸を振りかざした。

 

「くっ、貴様この短時間でどうやった!」

 

今から倒す奴に言う義理はないな。

 

「お前が知る必要はない。今から消えて貰う相手にはな」

 

うわぁ、この状況でこの台詞。

完全に俺、悪役ですわ。

ダクネスが歯ぎしりしてるし。

 

「くそっ、私も何か出来ないのか。めぐみん大丈夫か?」

「へ?わ、私は大丈夫です」

 

目の前で繰り広げられる命の奪い合いに、めぐみんは怯えているようだった。

ダクネスにしがみつき、震えていた。

 

「油断したな。死ね襲撃者」

 

悪魔が告げると斬撃が二人へいや、めぐみんへと飛んで行った。

しかし、二人は気付かない。

否、気付けない。

一見すれば、俺を狙ったように見えるからだ。

 

「させるかあああああ!!」

「これでも、駄目か。案外しぶといな」

「伊達に、敵には回したくない、鬼畜のカスマさんなんて言われてねえよ。お前の誤ちはかはっ!?」

 

決め台詞を言う前に俺は崩れた。

原因は、吐血である。

 

「ふっ、これで痛手を負ったな。さあ、観念しろ。オヤジの仇!」

 

さっきのが、負荷を掛け過ぎたようだ。

何となく分かる。

体の限界だ。

 

「めぐみん、ここから動くな。私も加勢してくる」

 

もう、ダメだ。

アクア、ごめん。

俺、みんなを守れなかった・・・




後編の投稿はハーメルン及びTwitter、pixivにおいてありがたいことがあれば投稿します。
果たしてカズマさんはどうなるのか乞うご期待です!

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