今回はカズクリ編の続きです。
いつもより短いのは、ご勘弁を。
違和感を覚えた場面を削除したらこの文字数になってしまいました。
何とこの素晴らしい世界に●●を!の話数が50を超えてましたので、それを祝して更新します!
-YORUNOMACHIDE-
昼食を終え、宿屋を探すこととなった俺とクリスはホテル街に来ていた。
「すみません。一人部屋二つ空いてますか?」
「ごめんなさい。全部屋埋まってるのよ。他を当たって頂戴」
とまあ、こんな感じで行く宿行く宿で断られている。
最低二人部屋でもと言う隙を与えずに、満室を告げられる。
何でもお祭りが近く執り行われるらしく、祭りに向けた準備で、人が集まっているのだとか。
俺達運がいいはずなのに、全くついてない。
「昼食前に宿探ししてればこうはならなかった」
「迂闊だったよ。宿場町って程の街じゃないから普通に空いてると思ってたんだけどなあ」
「こうなったら野宿するしかないんじゃないか?」
街の近くなら野宿も比較的に安全にできる。
二人であっても心配はいらないはずだ。
「それはおすすめ出来ないよ。この辺は男性がよく行方不明になる街でもあるから」
「それってまさか・・・」
「キミの考えてる通りだよ。トラウマを蘇らせたくないから伏せておくよ」
配慮はありがたいけども、察した時点でオークの恐怖はもう蘇ってる。
あの時はアクアが本当に女神のように見えた。
お母さんのような安心感があった。
いや、まあ本当に女神なんだが、そこは置いておいてだ。
多分、あの時にめぐみんかダクネスが膝枕してたら惚れてた可能性はある。
「何考えてるの?」
「オークに襲われた後に膝枕してたのがアクアじゃなかったらってことを考えてた」
「変なこと考えてないで、泊まる場所を考えてよ」
なんて事を言ってくるクリスを無視し、俺はめぐみんから順番に膝枕シミュレーションをしていた。
めぐみんだったら、初めは見惚れてるだろうな。
・・・でも、途中から年下の女の子に慰められてるのが惨めになってきそう。
ダクネスだったら、たわわに実ったアレを堪能出来るだろう。
でも枕が硬そうなのと、慰めより、お花畑な妄想が始まってそれ所じゃなさそうだな。
・・・結局アクアしかあの頃はないのか。
いや待てよ?
俺が一番尊敬している人を忘れてた。
俺の貞操を守ってくれたゆんゆんを!
そういや、ちゃんとお礼出来てなかったな。
「俺今度からゆんゆんに危機が迫ったら飛んで行けるようにしよう!」
「急にどうしたのさ」
「恩返しの話だ。そうか。ゆんゆんの膝枕が正解だったのか」
うん。
ゆんゆんならめぐみんと同い年とは言え、そこまで年の差を感じさせる容姿ではない。
怯える俺にちゃんと向き合ってくれるだろう。
ダクネス程じゃないにしても、めぐみんよりも育ってるし、完璧だ!
「バカなこと言ってるとめぐみんやダクネス、本人に言うからね」
「ちゃんと泊まる場所考えるんで勘弁してください」
「よろしい」
膝枕シミュレーションはアクセルに帰ってから、例の店に頼るとして、宿屋か。
冒険者御用達の馬小屋は、野宿と同じ理由で危険だし、キャンセル待ちも確実性に欠く。
何かいい方法はと、考えているといつの間にか歓楽街に着いていた。
「もしかして遊び通して、寒さを凌ぐつもり?」
「馬車で寝ればいいかなって」
「魔物に襲われたりして眠れないかもしれないよ?」
「そうは言うけどこれ以外に何があるってんだよ」
他に案が浮かばないのか黙るクリス。
リスクはあるけど、一番確実だ。
でも、昨日も寝れてないから出来ればちゃんと寝たい。
日本で寝床の確保が難しい時の裏技を思い出せ。
車中泊はないし、ネカフェもない、留置所は論外だし、他には・・・
「あっ、一ついい案がある」
「どんな!」
凄い食いつくな。
やっぱりちゃんと寝たいのだろう。
「ただ、聞いて怒らないって約束して欲しい」
「もちろん。それでちゃんと屋根があって鍵の閉められる所のなら文句は言わないよ」
「じゃあ、黙って着いてきてくれ」
行き交う人に、話を聞きながら目的地へと向かっている。
話を聞く限りでは、今からでも泊まれるらしい。
クリスは検討がつかないのか考えを巡らせているようだった。
「そろそろどこに向かってるか教えてくれても良くないかなあ?」
「教えるも何ももう見えて来てるぞ」
「見えて来てるって風俗店とか賭博場とかしかないよね?」
歓楽街なんだから当然だろうと言いたい。
しかし、ここまで来て気付かないとは、察しが悪いのか、そういう店を知らないのか?
「ほらあそこ」
「・・・本気で言ってる?」
店の存在は知ってるみたいだな。
ただ考えになかった感じか。
「屋根があって鍵のある場所だろ?」
「確かにそうだけど……」
「つうことで、お頭手組んで入りますよ」
「う、うん……」
義賊活動をしていて良かったと思える数少ない場面。
恋人繋ぎとか初めてだ。
・・・あれ?
そういや前にも恋人装った事があったような?
あっ、ストーカーがいるとか何とかで偽装したものの、ストーカー容疑かけられた少年と共に爆裂されたあれか。
よく考えたら俺の初めてめぐみんじゃねえか。
しかも甘酸っぱい雰囲気とかじゃなくて、形式的なやつ。
少しガッカリしてクリスを見ると落ち着かない様子だった。
「どうかしました?」
「・・・潜入より帰ってからが怖くなってきたよ」
何故怖くなったのか理由を聞いても教えてくれなかった。
「いらっしゃい。どんな部屋がお望みだい?」
「えっと、シングル二つの部屋ってまだ空いてますか?」
「シングル部屋は改修中だよ。付き合いたてかい?」
なんだかんだあって、恋人繋ぎをやめた結果無難な設定に落ち着いたようだ。
ラブホテルに来る日が来ようとは……
そもそも日本だったらまだ利用できない施設だ。
「まあ、そんな所です。大きめの部屋ってありますか?」
「一番高いけど、大丈夫かい?」
「これで足ります?」
「大丈夫よ。はいこれ、鍵とお釣りね」
「ありがとう」
と難なく寝床を確保した。
確保したのだが、クリスがソワソワしていて寝るのはもう少し後になりそうだ。
「ねえ、これみんなにバレたらどうするつもり?」
「その時はクリスに誘われたっていう」
「何でさ!ここを提案したのキミじゃない!」
などと供述しているが、もしこれがバレてめぐみんルートとダクネスルートが絶たれてしまったら、責任を取ってもらわなきゃならない。
「俺がここを提案することになった理由は?」
「あたしが神器回収を頼んだから」
「つまり、お頭が俺を神器回収に誘わなければ、この状況はなかったってことだ」
もしこの活動をしていなければ、屋敷でちょむすけやゼル帝と戯れて癒されていただろうに。
・・・いや、クリスと添い寝できる今の方が絶対いい状況だ。
「・・・はあ、言っていいけど二人は事情知ってるんだからちゃんと説明してよね?」
「アクアにも知れたらどうするつもり?」
「先輩は、お酒とお金で黙らせるしかないよ」
流石は後輩。
アイツの扱いはよく理解してるな。
アクアのお守り役として、常にいて欲しい。
祭りの時とか、アイツ大人しくなってたし。
「どっちから風呂入る?」
「先に入っていいよ。あたしは作戦考えてるから」
「長風呂だって文句言うなよ」
「図面とか確認してると時間はあっという間にすぎるから大丈夫かな」
「分かった」
こうして了承を得たはずなのだが、風呂から上がるとご機嫌ななめなクリスさまがそこにはいた。
「いつまで入ってるのさ」
「文句なしって言ったよな?」
「それにしても長い!あたしはね!一緒に作戦立てたいんだよ!」
と言って俺にまとわりつくクリス。
酒の匂いはしないが、この構ってちゃんぶりは酔った時のアクアに近い。
「・・・何か飲んだか?」
「このオレンジジュース美味しかったよ。助手君も飲んでみなよ」
「・・・絶対何か入ってるだろこれ。それより、作戦の話だろ?」
クリスの誘いを断り、机に広がる見取り図を持ち出して心を落ち着かせる。
「そうだね。でもカズマくんが居れば大丈夫だから、今は一緒にゆっくりしよう!」
後ろから抱きしめられて動けなくなる。
こういう不意打ちでドキドキさせられるの多い気がする。
盗賊服の露出度の高さもあって、密着感が凄い。
どうしようか。
オレンジジュースもどきの所為でこうなってるのは間違いない。
でもだ。
この状況で振りほどくのは勿体ない気もする。
どうすりゃいいんだ!
「クリス、このままだと本当にクリスが誘って来たって説明をすることに……」
「スー……スー……」
知ってたよ。
いつもと同じ。
クリスもめぐみんやダクネスと同じく、昂らせるだけ昂らせて終わるパターンだってことだ。
ベッドに移してソファーで寝るか。
「お風呂まで連れてって」
「・・・このまま?」
持ち上げ方が悪かったのか目を覚ましてしまった。
持ち上げ方はお姫様抱っこだが、眠った人を運ぶにはこれしかないだろう。
「うん」
ここまで素直に頼まれると断れない。
抱き上げてることで上目遣いになってるのも攻撃力が高い。
「はぁ、しょうがねえなあ」
クリスを風呂場まで運んでから俺は眠りについた。
目覚めるとソファーで寝たはずなのに、ベッドの上にいた。
・・・隣にはクリス。
えっと、俺は昨日部屋に着いてから何か摂取したか?
何も覚えてない。
クリスと添い寝なんて貴重な経験を覚えてないなんて……
「んー!よく寝た。今日も一日・・・か、カズマくん!?」
「クリスも覚えてないのか。いよいよ何が起こったか分からないな」
「ちょっと待って頑張って思い出すから、確か宿を取ってカズマくんがお風呂に入って……」
言葉が途切れ、みるみるクリスの顔が真っ赤に染まっていく。
昨日のこと覚えてたのか。
「き、昨日のあれは違うから!多分あのドリンクに何か入っててその、人肌が恋しくなったって言うか、その、ね?」
「分かってる分かってる。クリスが俺のこと密かに想っていて、オレンジジュースもどきに入ってた何かのせいで想いが表面化したんだろ?」
「そうそう。ってちがーう!」
「違うと言うと?」
からかってはいるものの何があったのかすごく気になってしょうがない。
早く教えて欲しい。
「だからその、あたしがキミのことどうとかって話じゃなくて、あと、ベッドに移したのはソファーで寝苦しそうにしてたからであって他意はないから!」
「クリスがそう言うならそういうことにしとく」
何も無くて良かった。
安心して、クリスをからかうのに専念できる。
クリスは今も尚パニック状態であった。
視線があちこち動いて動揺してるのがバレバレだ。
「そろそろ出た方がいい時間じゃないか?」
「そ、そうだね。出発時間近いし」
「ちょっと待てって、着替えないと行けないだろ?」
寝巻きのまま飛び出そうとするクリスを引き止め、着替えを済ませた後に宿を後にした。
宿を出る時昨夜はお楽しみだったねと言われたせいで俺達は自分たちの知らない何かがあったのかもしれないと探り合い状態となり、また街に着くまで喋ることは無かった。
次の街へ無事に到着。
やはり俺らの運は強いらしい。
この前みたいなことが起こらなければ自信持てるんだが……
とは言え、いつも何かと襲われてるのに比べると安全な旅路だ。
「さてと、今日は真っ先に宿屋に向かうよ」
「朝起きたら添い寝させられてるのは目覚めが悪いからな」
「・・・ともかくホテル街に向かうよ!」
あまり数日前の話はしない方がいいかもしれない。
凄く機嫌が悪くなった。
「一人部屋を二つだよな?そんなに予算あるのか?」
「予算はたっぷりあるけど、この前のことを考えると、もうシングル二つの部屋だったら問題ない気がしてきたよ」
「じゃあ、二人部屋にしようぜ、手続きも早いし」
「そうだね。不測の事態に備えてコストカットは大事だよ」
この時の判断を俺達は後悔することとなるのであった。
次回更新の予定作品は未定です。
ちゃんと週一投稿に戻すのが今の目標です。