本作品には、『異世界迷宮の最深部を目指そう』最終章(八章)までのネタバレが大量に含まれています。また、同九章のネタバレも若干ないこともないです。
ネタバレを望まない方はご注意ください。
あと、表現がわかりづらかったり、設定周りで無理があったり変だったりすると思いますが、可能であれば許してor流していただけると幸いです。……申し訳ない。
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――冷たい。
身体が少しずつ
……
自分で考えておきながら、私はその言葉に妙な引っ掛かりを覚える。
確か
そういえば、この『異世界』には似たようなものはあるのだろうか――そこまで考えて、違和感が明確な形になった。
これは、確か――混線だ。
『親和』した『魔石』からは、知識が流れ込んでくることがあると教わった。
それが誰の『魔石』からかなんて、一々考えるまでもない。私はそいつのことを、世界で『一番』よく知っている。だから――
「――
心の底に灯った熱が、いままさに氷漬けにされようとしていた真実を溶かしていく。
あの『運命』の日、フーズヤーズ攻城戦を制したのは私だった。
忘れられるわけがない。カナミに勝ってノスフィーさんに勝って、私は『全て』の『魔石』を奪い、ママの教え通りに何もかもを背負って進んだのだから。
ただ、そうまでして辿り着いた『一番』の『頂上』に、ママは待っていなかった。
代わりにそこにいたのは、黒髪黒目の少女。
『水の理を盗むもの』アイカワ・ヒタキだった。
「
あれこそが、世界を影で操っていた黒幕だ。
白い『魔法の糸』を操る『異邦人』。
『次元の理を盗むもの』を作り上げて『不老不死』を与えようとした、ママの同類――そして、私が挑むべき次の『一番』。
ああ、わかりやすい。
戦って、私は負けたのだ。
そして、間違いなく、あの女は私の人生で『一番』の敵。
「
いまの私は『不老不死』――ノスフィーさんを殺して、奪い取った力のおかげだ。
私はその光に照らされているから、何度だって挑戦できる。
たとえ、世界の理からして【アイカワ・ヒタキには勝てない】と決まっていたとしても、問題はない。
いいや、むしろ『理想』的ですらあった。
それなら、『永遠』に挑戦し続けられる。
目を開けて、豪雪と『魔法の糸』に閉ざされた、白くて暗い空を見上げる。
心身がぴたりと一致して、ふわりと前髪が揺れる。
ノスフィーさんと……一応ついでにカナミのおかげで、ようやく私はそれに気づけた。
だから私は『勇気』を出して、何度でも叫ぶ。
何の飾りもない、心からの笑顔すら作りながら――
「――『
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【――どこかで聞いたような叫びを、相川陽滝は聞いていた】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【もう何度目になるだろうか。
だから、彼女の感想は――
「……はぁ、またですか。本当に、しつこい女……」
僅かに苛立ちを滲ませた、その一言に集約されていた】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【本当ならば、こんなことに付き合っている場合ではない。
『陽滝の兄』は死んだ。このラグネ・カイクヲラという少女に殺されて、
陽滝が目的を果たす為には、すぐにでも次の『異世界』へと移り、渦波の蘇生と計画の再構築に取り掛かる必要がある】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【不幸中の幸いと言うべきか、もうこの『世界』に敵はいない。――たった一人を除いて。
指し手すら倒れた盤上で、未だ陽滝を執拗に阻み続ける『最後の敵』だけが残っている。
『光の理を盗むもの』を奪い、『不老不死』となった『月の理を盗むもの』を下手に放置してしまえば、どんな致命的なタイミングで背中を刺されるかわからない。それは陽滝にとって、
ゆえに、陽滝はラグネへの対処を強いられ――そして、難儀していた】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【『不老不死』を手にしてる存在相手に、殺害という選択肢は取れない。
しかし、何度陽滝が《
「――返してもらうっすよ!! 私が受け継いだ、カナミのお兄さんの魔石を……!!」
そしてまた、いつも通りの戦いが始まる。
「『私は幻を追いかける幻』『
それは唯一、いまの陽滝を害しうる手段だった。
単純な肉体の損壊に依らない、生死の『反転』という即死攻撃。『魔法の糸』による自動修復でも、直接的な『死』からは回復できない。
「『私は――っ!?」
「それはさせませんよ」
もちろん、陽滝がその直撃を喰らうことはない。止めるのは簡単だ。喉を『静止』させて『詠唱』を妨げるだけでいい。
ラグネが陽滝に勝てることはなかった。
身体そのものとなっている『光の理を盗むもの』以外の全ての魔石を奪われているというのもあるが――単純に、敗北の記憶を奪われて、戦術がいつも同じなのが大きい。
「く、くそっ……――」
「……はあ。またあなたの負けです」
胸に《ディスタンスミュート》を差し込まれたラグネは、悪態をつく権利すら奪われて、再び凍結されていく】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【戦いにすらなっていない――筈なのに、それでも終わらない】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【――今日もまた、その『詠唱』が凍てついた世界に響き渡る。
「『私は幻を追いかける幻』『
毎日毎日、同じような天気の下、同じような戦いを繰り返す。
その繰り返しはいつまで経っても終わらなくて、陽滝の心の底を引っ掻くような台詞を含んでいた。
――だから、止めていた筈の思考が、ほんの少しだけ動いてしまう。
もしかして――】
◆◆◆◆◆
「――『
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
【――この繰り返しが終わることは、『永遠』にない。
ラグネは立ち上がり続け、陽滝はそれを止め続ける。
どちらも、目的を果たせないまま。
『最後の一人』が二人いるという『矛盾』は、ずっとずっと解決されない――】
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
「……どうして、こんな
その呟きを聞いたのは、いつだったか。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
「ねぇ。……あなたは、どう思う?」
その問いに、どんな『答え』を返したのだったか。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
◆◆◆◆◆
――まだだ。
そう誓って、『契約』を重ねる。
いつまでもいつまでも、『永遠』に。
『未練』の先の先に、『夢』を見て。
『過去』も『未来』も塗り潰して、『理想』は演じ続けられる。
実質ラグひたエンド(終わらない(でも終わってる))